第23話[オーナー]
大繁盛のスタリエ食堂だったが……。
あまりの忙しさからか、スタリエの表情から完全に生気が抜けていた。
「スタリエちゃん大丈夫?」
心配そうにスタリエを見つめる日菜にスタリエは弱々しく笑顔を向ける。
流石にキッチン二人じゃ大変だよね。
ホールには神速の緑ちゃんが居るから今の所なんとかなってるけど……。
日に稼いだ百万ベル。
宿屋に幾らか渡しても十分な売り上げだ。
ここは新しくバイトを雇ってみるか……。
キッチンに二人、ホールに一人とアルバイトを募集する事をスタリエに相談し、街の掲示板にそのチラシを貼る事にする。
そして……。
「えっ、私が面接するの?」
「スタリエ食堂なのに?」
「当たり前じゃない」
「日菜程頼りになる人材何て何処を捜しても居ないわ」
顔を赤くし照れる日菜。
そんな日菜をスタリエは更にヨイショする。
「このスタリエ食堂のオーナーは日菜」
「ここで一番偉いんだから」
一番……、偉い……。
キャリアウーマンを想像し日菜は更に照れた。
「でも良いのかな〜、私みたいな不幸体質の人間がオーナーで、倒産とかしない?」
無言で笑顔を向けるスタリエ。
「ん?」
「スタリエちゃん?」
「何か言ってよ」
そのままスタリエはキッチンへと向かって行った。
「緑ちゃん、どう思う……、って居ないや」
そして矛先はララへと向けられる。
「ラ〜ラちゃん」
「私がオーナーで大丈夫だと思う?」
「私は日菜さんを魔法使いとして最大限に尊敬しています」
ん?
魔法使いとしてでは無く、オーナーとして聞いてるんだけどな?
「ララちゃ……」
「私は魔法使いとして日菜さんを最大限に尊敬しています」
力強くそう言うとララは宿屋から出て行った。
「あれ?」
「何だろう、涙が出てきた……」
第23話 完