第19話[二人は仲良し]
深夜、皆んなが寝静まったこの時間。
勇者はペンダの部屋にこっそりと侵入していた。
豪快にいびきをかいて眠るペンダの鼻を摘み、起こす勇者。
寝ぼけ眼を擦りながら、ペンダはベッドから体を起こす。
「何だ?」
「何か用か?」
「これから良い所へ行くよ」
「バレない様に支度して」
ペンダは大きな欠伸をしながら、パジャマを着替える。
「それで?」
「良い所って何だよ」
「フッフッフ、笑顔が絶えないこの世の天国みたいな所さ」
「天国?」
「ケッ、そうかよ」
「やっと戦う気になったのかよ」
張り切りるペンダに勇者はズッコケながら、キャバクラについて説明した。
「何だ、くだらねぇ」
「私には雪花という心に決めた魔物がいるんだぜ、興味がねぇ」
とか言いつつ、勇者の後をついて行くペンダ。
店に案内され、ペンダの隣に嬢が座る。
(くだらねぇ)
(魔王軍幹部のビッチと変わらねーじゃねーか)
(こんなのの何処が良いんだよ)
とか言いつつ、勇者と一緒に嬢の胸に札束を挟むペンダ。
そんなペンダの隣に清純派の美少女が横に座って来た。
「なっ、可愛い」
「ありがとうございます」
どうやら彼女の両親は不治の病に侵されているらしく、治療費の為にここで働いているらしい。
「そうだったのか」
村の事を思い出し、悲しい表情を浮かべるペンダ。
今の私ならこの子を救える。
そう思い、三百万ベルをテーブルに置き、彼女へ貢いだ。
「こんなに頂けるんですか?」
「ペンダ様、素敵です」
ペンダの腕に彼女の胸が押しつけられる。
柔らかく幸せな感触を堪能するペンダの耳元で彼女は甘く蕩ける様な声でおねだりをする。
「お酒は好きですか?」
「私、ペンダ様とメチャタカイーゾが飲みたいです」
「ああ、いいぜ」
「おい、メチャタカイーゾ持って来い」
近くに居るボーイに酒を頼み、しばらくして高級そうなグラスと高そうなビンに入ったお酒がペンダの前に置かれた。
「何だコレ?」
「めちゃくちゃウメーじゃねーか」
メチャタカイーゾを気に入ったのか、ペンダは酒を浴びる様に飲み勇者と豪遊する。
「キャバクラ最高じゃねーか」
「でしょでしょ」
上機嫌のペンダに上機嫌の勇者。
二人はとっても仲良しである。
第19話 完




