第18話[八百万]
日菜達が大パニックに陥っている中、ララは独自の調査で街の長の家を突き止めていた。
更に、自身の王国騎士団という肩書きを利用し、長から追加報酬として、八百万ベルを手に入れる事に成功していた。
そして宿屋で日菜達の帰りを待つ事、数時間。
「あれ、ちょっと遅いな」
様子を見てこようかな?
いや、止めて置こう。
どうせ、勇者さんが何か失敗して、虫でも逃して大変な事になっているんだろう。
こう、遅いと絶対にロクな事が起きていない。
絶対にそうだ。
更に時間が経ち、ララは自分の選んだ選択が正しかった事を確信する。
あの時、勇者が虫を手に取ったのを見て、逃げる事を決意したララ。
流石に仲間を置いて行った引き目を感じ、こうして八百万の大金を手にしたが……。
「あの場に留まらなくて本当に良かった」
しばらくして、スタリエが帰って来る。
「あんた、私達を見捨てたわね」
顔を真っ赤にして怒るスタリエにララはビビりながらも、今日の成果を机の上に置いた。
「お金より仲間でしょうが、ねぇ日菜……」
「すごい、どうしたのコレ?」
事の経緯を説明し、日菜は喜び、近くにいたスタリエに抱きついた。
「スタリエちゃん、金欠から脱出できたよ」
「そ、そうね」
「流石ララね」
「それじゃあ、ゴキブリの一件はチャラという事で?」
「当たり前じゃない」
「日菜も喜んでるんだし」
さりげなく日菜を抱き返すスタリエ。
そんな中、勇者がしばらくララを見つめながら、今夜の事を想像し、ヨダレを垂らしていた。
第18話 完




