第16話[ドラゴンの価値]
ドラゴンの肉は人の細胞を活性化させる効果があると言う。
更に、ドラゴンの脂はお肌に良く、血液はどんな難病にも効き、脳を食べれば頭も良くなるとかで王国の専属魔導士達に人気だとか。
「ちなみにお肉一キロでお幾らに?」
ゴクリと喉を鳴らし日菜が尋ねる。
ペンダは少し考えながらその問いに答えた。
「そうだなぁ、ドラゴン自体なかなか討伐される事はないからな」
「ましてや、王族や貴族が主に買うわけだから、キロ数万から十万ベルの間位じゃないか?」
キロ数万から十万。
キロで。
て事はあの肉を全て売れば……。
億万長者も夢じゃないのでは?
いや、お金に変えるより、自分達の健康の為に使うのもアリかも。
お肌も良くなって、体の細胞達も喜ぶ。
肉は腐らない様に干物にして持ち歩くのも良い。
何よりドラゴンの血液だ。
もしかしたら私の不幸な体質も難病って事で治るかも?
いや、流石にそれは無いか。
「よし、ドラゴンの肉を取りに戻ろう」
そう息巻いて出発の準備をする日菜をスタリエが止める。
「今から取りに行っても無駄よ」
「血抜きしてないでしょ?」
「もう、お肉が傷んじゃってるんじゃないかしら」
「いや、でも洞窟だし何とかなったりは……」
二人の会話にペンダが割って入る。
「いや、流石に洞窟の魔物達が食い荒らしているだろう」
「人間にとっても魔物にとっても、ドラゴンは高価で貴重な食材だからな」
二人の意見を聞いて落ち込む日菜に、ペンダは更なる追い討ちをかける。
「それにしても、ドラゴンの頭と洞窟にある宝石の採掘場」
「この二つが手に入り、この街はボロ儲けだろうな」
「えっ?」
「どういう事?」
ショックで混乱する日菜。
そんな日菜にペンダはドラゴンの頭が非常に高価な事を告げた。
そのお値段、何と500万ベル。
「は?」
開いた口が塞がらない。
「それにドラゴンが居なくなった事から宝石の採掘もできる」
「本当にボロ儲けだな」
ケラケラと笑うペンダを他所に、日菜では無く、勇者が激怒して酒場へ向かった。
第16話 完




