第12話[依頼書]
ペンダと旅をして数日。
一同は街へ着き、食糧と水を調達していた。
「ここが人間達が住む街か」
「破壊以外に訪れたのは初めてだよ」
サラッと怖い事を言うなぁ。
一緒に旅をしてて忘れてたけど、一応魔王軍の幹部なんだよなぁ〜。
そんな事を考えながら、日菜は酒場で割りのいいクエストを探していると……。
「おっ、これなんか良いんじゃねぇか」
そう言ってペンダは勝手にクエストを張り出している掲示板から依頼書を剥取り、依頼を受ける事に。
「へぇ〜、どんなクエストなの?」
そう言って依頼書を覗き込む日菜。
そして、固まった。
スペースドラゴン討伐依頼。
報酬は百万ベル。
(注意)命の保証はありません。
尚、死者数は百を超えていますので、覚悟して挑んで下さい。
「いや、えっ?」
「死者数……、えっ?」
普通に嫌なんだけど……。
何の罰ゲームなの?
「ぐへへ、さぞ痛い攻撃をしてくるんだろうなぁ〜」
ヨダレを垂らし妄想に浸るペンダを見て、日菜は溜め息を吐いた。
これだから変態は、自分の性欲を満たすのに、こっちまで巻き込むのは正直やめてほしい。
大体スペースドラゴンだよ。
宇宙ドラゴン。
即ち無限大の強さを誇るドラゴンって事でしょ。
そんな化け物を倒せる訳ないでしょ。
「キャンセルしてきます」
そう言って、ハンコを押された依頼書を返却しに向かう日菜を勇者が止めた。
「日菜ちゃん、忘れてない?」
「ペンダは魔王軍幹部なんだよ」
「魔物の中でも上位の存在」
「そんなペンダが手伝ってくれるって事は?」
そうか。
これは楽に稼げる依頼かも……。
日菜はゲスい笑みを浮かべ、ドラゴン討伐の依頼を受ける事にした。
第12話 完




