第11話[私に任せなさいな]
この日、日菜達は食糧難に陥っていた。
「どうしよう、全然、街や村が見つからない」
やばいよ。
もう、食糧が底を尽きたよ。
どうしよう、一体どうすれば……。
頭を悩ませる日菜を見て、ペンダが動く。
そして……。
「おーい、魔物何匹か狩って来たぞ」
そう言って、ペンダは中型の魔物を数体、日菜の前に置く。
「やるじゃ無い」
「よぉーし、待ってなさい」
「今、私が美味しい奴、作ってあげるから」
意気揚々と調理を始めるスタリエに対して日菜の顔が青くなる。
過去に勇者と一緒に魔物を食べた事がある。
あの時の不味さと言ったら……。
「日菜ちゃん、ここは仲間を信じようよ」
勇者……、そうね、勇者の言う通りだわ。
仲間を信じよう。
そうよ、スタリエさんは、この異世界の最強の料理人。
(注:僧侶です)
あの不味い魔物でさえ、きっと上手く調理してくれる。
そう期待を胸に、日菜達は食事が出来るのを待った。
そして……。
「いただきまーす」
そう言って料理を食べようとする緑とララを止め、勇者と日菜はペンダに毒味をさせた。
「うっ、うめぇ」
「何て美味さなんだ」
「お前の料理、本当に最っ高だよ」
ガツガツ食べるペンダを見て、安心した勇者と日菜。
緑とララを離し、一斉に料理にかぶりつく。
そして四人は一斉に虹を吐き出すのだった。
第11話 完