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第10話[家族]

雪花の看病のお陰で私の体は大分良くなった。

それから魔王に呼び出され、私は奴の目的を知った。

世界を統一させて、魔物と人間。

二つの種族が共存して生きていける世界を作る。

それが魔王の目的だと聞かされ、私は仲間に誘われた。

人と魔物が共に暮らせる世界か……。

あの村での生活が思い起こされる。


「フッ、悪りぃなぁ」

「人と魔物が共存できる世界なんて興味が無い」


私にとってあの村が全てだ。

例えその野望が達成されたとしても、私の住んでいた村はもう戻って来ない。

そう思い帰ろうとする私をガチュミが止めた。


「話しを聞く限りお主の村、疫病で滅んだのじゃろ?」


「疫病?」

「何だそりゃ?」


小難しい事を言っていて、よく分からなかったが病気で滅んだのは確かだ。


「今回の件、妾達なら救えた」


「なっ、救えただと……」

「嘘吐くんじゃねぇ」

「私がどれだけ頑張ったと……」


「一昔前に流行った病気じゃ」

「今では薬も対処法もある」


そんな、なら何で……。


「じゃが、お主が住んで居ったのは辺境の地」

「お主が鬼神と呼ばれ有名になるまで妾達もその村の存在を知らなんだ」


その後、魔王が約束してくれた。

もし世界統一を果たしたのなら、私の様な者を出さない様、しっかりと街や村を管理してくれると……。


それらの話しを聞いて暗い表情をする日菜達を見て、ペンダが笑う。


「おい、本気にすんなよ」

「私は魔王軍幹部だぜ、この話し全部嘘かもしれないんだから」


「嘘なんかじゃない」

「ペンダの顔、辛そうにしてた」


勇者は涙ながらに叫ぶ。


「全く変わった勇者だぜ」

「本当、変わり者過ぎて困る」

「そんなんじゃ戦い辛いじゃねーか」


しばらく沈黙が続き、ペンダは口を開いた。


「他の幹部連中は知らないが、魔王を殺すつもりなら私は賛成だ」

「できる事なら私も力を貸してやりたいくらいだ」


そう、今の魔王は最悪だ。

初めて会った面影もねぇ。


「だが、魔王軍幹部の連中を裏切る訳にはいかねぇ」

「あいつらが、私の今の家族だからな」

「という訳で、出発するぞ」

「目的地まで、まだまだあるんだからな」


それを聞いて日菜は思う。

まだ付いて来る気なのかと……。


第10話 完


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