154/367
第3話[納得]
ペンダは勇者と対峙しながら考え込んでいた。
同じ……、つまりは雪花の奴、私と似ているから勇者に惚れたってわけか。
なーんだ。
それなら納得もいく。
よく見れば、顔立ちも私と同じで可愛らしいじゃないか、いや、どちらかと言えば、綺麗系って奴か?
「どうしたの?」
「戦わない気?」
勇者の言葉を聞いて、ペンダは首を横に振る。
「もういいさ」
「会って、そして話してみて分かったよ」
そう、私と同じなら仕方がない。
「雪花がお前に惚れるのも納得だな」
それを聞いた勇者は剣を地面に落として、両手で顔を抑えた。
「雪花ちゃんが、私を……」
「どうしよう、敵なのに困っちゃう」
いや、困ってないでしょ。
そう心の中で思いながら、日菜は自分の頬を摘む。
同時にララとスタリエも日菜と同じ様に自分の頬を摘んでいた。
「お前の事が好き過ぎて、もう人は殺さないんだとよ」
それを聞いた日菜とララ、そしてスタリエは全力で両頬を摘む。
こんな変態を好きになるなんて、何かの間違いだ。
そう、三人が思う中、魔王城に居る雪花は漆黒の空を見つめながら、日菜の事を考え、恋焦がれていた。
第3話 完




