第6部第1話[ペペンコペンダ]
道の両脇に咲く花々。
勇者達も乙女。
それらを見て、心をときめかせていた。
そんな時だった。
馬車の前に立つ、ペンダ。
馬車を操作するララはペンダをそのまま轢き馬車を走らせた。
「ちょっ、ララちゃん何やってんの?」
「もし、死んでたら異世界転生しちゃうレベルだよ」
そう言う日菜に、勇者は笑顔で言う。
「馬車に轢かれて異世界転生しましたってか」
それを聞いた日菜は(また下らない事を言って)と内心思いながらも、勇者を無視して、馬車を止めるよう指示を出し、急いでペンダの元へ走った。
「あの、大丈夫ですか?」
「へっ、流石勇者達、容赦ねぇなぁ」
あっ、コイツ魔王軍幹部だと思った日菜は急いで馬車へと戻っていく。
「何か大丈夫そうみたい」
「寧ろ、あのまま異世界へ転生してくれたら楽だったかも……」
見た目で魔王軍幹部だと気付いていたララはペンダが生存していた事を知り、溜め息を吐いて、馬車を走らせた。
急いで馬車にしがみつくペンダ。
仕方がないのでララは馬車を止め、ペンダに近づいた。
「何か用ですか?」
「何か用ですか?っじゃねーよ」
「テメー、こっちは被害者なんだぞ」
「どちらかと言えば、あなたは加害者ですよね?」
「魔王軍幹部ですし」
言い返す事のできないペンダに勝ち誇る表情をするララ。
それらを見ながら日菜は溜め息を吐いた。
早く先へ進みたい。
第1話 完




