第41話[魔王軍幹部達]
ペンダの声が室内に響き渡る。
雪花からもう誰も殺さない事を告げられ、ペンダは動揺していた。
別に人を殺さない事はどうでもいい。
出来る事なら私も殺したくは無い。
だけど問題なのは影だ。
奴がこの事を知れば雪花に何をするか分かったもんじゃない。
そう思い、必死になって雪花を説得していたペンダだが、雪花の意思は固かった。
どんなに説得しても、雪花は首を縦に振らなかった。
「もういいだろう」
「雪花には向いて無かったんだ」
「うるせぇ、筋肉馬鹿は黙ってろ」
黒騎士とペンダが睨み合っている中、サライヤが雪花に近いて耳元で囁く。
「人間相手に恋しちゃったとか?」
「は?」
「雪花がか?」
「お前みたいにドスケベじゃないん……だぞ……」
雪花の今にでも溶け出しそうな真っ赤な顔を見てペンダは固まった。
「ほう、恋とな」
「確か、雪花はマグマの国に攻め入ったのだったな?」
「相手はその国の国王か?」
それを聞いた雪花は怒り、ガチュミを凍らせた。
「実はその……勇者……」
ボソボソと呟いていて、何を言ったのか上手く聞き取れなかったが、ハッキリと聞こえた単語はある。
勇者。
雪花をたぶらかした愚か者め、私が捌いて腑を引き裂いてやる。
「勇者、絶対に殺す」
(ペンダちゃん)
(私が、勇者に意地悪された事を知っていたのかな?)
(その仕返しをしてくれる何て、ペンダちゃんは相変わらず優しいなぁ)
第41話 完




