第32話[人魚の女王]
人魚達の住むお城へ案内された日菜達。
人魚の魔法で海の中でも呼吸ができる。
そんな中、勇者はホタテを密猟し始めた。
「ぐへへ、今夜は殻付きホタテの刺身かな」
「何オヤジみたいな事を言ってるの」
「犯罪だから返してきなさい」
異世界に漁業権があるのか疑問だけど、万が一、これが原因で何処かの国に逮捕され、また牢屋に入れられるのは絶対に嫌だ。
そう思い、勇者を注意した日菜だったが……。
「日菜殿、これも駄目ですか?」
伊勢海老を両手に持ち、涙目で訴える緑。
更に上目遣いでおねだりされるが、ここは心を鬼にして、日菜はそれらを元の場所へ戻す様に注意した。
お城の先へ進み、ある部屋へと案内される。
そこには、人魚の姉妹の様な人魚達が複数人居て、勇者がこれを見て呟いた。
「成る程、ここが天国か……」
一同は勇者を無視して、人魚達に何故人を襲うのか話しを聞いた。
「私達人魚は魔物と言えど、元は中立の立場だったんです」
「ある日、仮面を被った人がお城に現れて、壺を開けてから皆んなが変わり、人を襲い始めたのです」
仮面を被った人って……。
ガチュミの話しを思い出す。
奴の仕業か……。
一同はそう思いながらも、どうしたものかと頭を悩ませた。
壺を破壊して解決できるのなら、それはそれでいいのだが、壊しても意味がないのなら……。
最悪のケースについて勇者が人魚達に語る。
人魚達はそれぞれ頷き、覚悟を決めた。
話し合いがまとまり、一同は人魚の女王を助けに王室の間へ向かった。
第32話 完




