第26話[日菜の叫び]
人魚達に乗った日菜達は海底神殿にたどり着く。
びしょ濡れの服、日菜達は寒さで体を震わせた。
そんな中、勇者が服を脱いで乾かそうと提案するのだが、日菜は頑なにそれを拒否した。
「どうして?」
「このままだと風邪引いちゃうよ」
「いやどうしてって……、そんなの決まってるじゃん」
日菜は一呼吸置き、叫んだ。
「ノーパンだからだよ」
神殿内に響き渡る日菜の声。
それに驚き、何処かへ飛んで行くコウモリ系統の魔物達。
緑はボーッとそれを眺める。
(海の底にコウモリの魔物、謎です)
緑がそんな事を考えている間に、勇者が行動を起こしていた。
「女の子同士だから気にしないで」
日菜のローブを脱がそうと手をかける勇者。
そんな勇者の頭を杖で殴りながら、日菜は叫んだ。
「勇者は女の子同士だからって、下半身丸出しで平気な訳?」
「平気じゃないでしょ?」
「えっ、平気だよ」
「寧ろ興奮するよ」
その勇者の言葉に緑も賛同する。
「気持ち分かります」
くっ、この二人はこういうタイプだったっけ。
くそぅ、いつもなら杖で数発叩けばいいのに、今日はどうして倒れないの?
興奮しているからか?
日菜はスタリエに助けを求めた。
「ごめんなさい、想像してたら鼻血が出て……」
何を?
何を想像したの?
くっ、こうなったらララちゃんに……。
そう思い、ララに助けを求める日菜だったが……。
「ララ殿なら先程、日菜殿に杖で叩かれてダウンしましたよ」
えっ……。
日菜の額に冷や汗が滲む。
「日菜ちゃん、眼鏡……、海の底だよね」
勇者が不敵に笑い、日菜の耳元で囁いた。
そんな……、勇者だと思っていた人物がまさかララちゃんだった何て……。
倒れているララを手探りで探し、抱き抱える。
手にはネメっとした液体が……。
「嘘……、ララちゃんが死んでる」
鼻血を止める為、横になっていたスタリエを抱きしめ、日菜は涙を流しそう叫んだ。
第26話 完




