130/367
第20話[黒炎纏し魔法使い]
伝説の賢者の杖を手にした日菜はクエストを受注し、近隣で魔物を狩っていた。
「魔界に存在する漆黒の炎、我が呼び声に力を貸したもれ、いでよダークファインズ」
日菜の掛け声と共に辺り一面、漆黒の炎に包まれる。
「フッ、また恐ろしい魔法を作ってしまった」
片手で顔を抑えキメ顔を決める日菜を放置し、勇者達は小声で話し合いを始めていた。
「確かにすごい魔法だけど、全部消し炭になってるじゃん」
「尻尾か何かを持ち帰らないとクエスト達成にならないよ」
そう話す勇者にスタリエが意見する。
「じゃあ、気持ち良さそうに変な事を言って魔法を発動させている日菜をあんたが止めるって訳?」
黙り込む一同。
「じゃあこうしましょう」
「私達でクエストの魔物を狩って、日菜殿には気持ちよく魔物を狩って頂きましょう」
「日菜殿が魔物を狩れば狩るほど私達にも経験値が入る訳ですし、特にデメリットはないかと……」
緑の提案に一同が納得した。
その時……。
「さぁ〜て、そろそろ火炎柱でもいっちゃおうかなぁ〜」
勇者達は全力で日菜を止めた。
第20話 完




