第19話[スタリエ復活]
料理対決再戦の日。
スタリエと優勝した料理人は会場に立っていた。
スタリエを心配そうに見つめる日菜。
そんな日菜にララが言う。
「スタリエさんなら大丈夫ですよ」
「うん」
二人が料理を始めて数分後。
スタリエは料理を完成させ、審査員の前に料理が盛り付けられた皿を置く。
「これは?」
「ルェバァ刺しでございます」
自信満々に答えるスタリエ。
それを見た日菜は思った。
絶対に負けるなと……。
「ほう、ルェバァ刺しとな」
「でっ、これは何の食べ物なんだい?」
「牛の肝臓でございます」
「牛の肝臓って、ゴミじゃないか」
怒鳴る審査員達。
それに腹を立てて席を立つ勇者を日菜が止めた。
そんな中、優勝した料理人が動く。
「愚かな、それでも貴方達は審査員か」
優勝した料理人は調理を止め、ルェバァ刺しを一口、口にした。
「何と、何なんだこの味は、箸が止まらないではないか」
彼女の言葉に釣られ、審査員達は次々とルェバァ刺しを口にした。
一通り完食し終えると優勝した料理人は箸を置き、真っ直ぐとスタリエを見つめ、自ら勝負を棄権した。
「えっ、あんたの料理は?」
「この料理を超える品など、私には作れません」
そう言うと彼女は語り始めた。
この国では牛の肝臓はゴミも同然。
それを使い、食べられる料理を開発する何て、なんと素晴らしい事か。
このルェバァ刺しはネロットと同じ、伯爵様の意思を感じる。
貴方も貧しい人達に、より美味しい料理をと思い、この料理を開発させたのでしょう?
「えっ、あっ……、うん、当たり前じゃない」
絶対に嘘だと日菜達が思っている中、優勝した料理人はスタリエに優勝賞品の杖を手渡した。
「やったわよ日菜」
スタリエはそう言うと日菜に抱きついた。
こうして料理対決は無事に幕を下ろしたのだった。
第19話 完




