第18話[愛より思い]
スタリエは頭を抱え、悩んでいた。
料理対決まであと少し、なのにその対決に出す料理がまだ決まっていないのだ。
どうすればいい。
愛情を注いでも料理は不味い。
やはりここは能力に頼るしか無いのだろうか?
そんな事を考えている時だった。
ララがスタリエの部屋をノックする。
扉を開け、彼女を部屋へ入れるとララは心配そうに口を開いた。
「あの、大丈夫ですか?」
正直に言えば大丈夫では無いが、スタリエは仲間を心配させまいと強がって「大丈夫よ」と答える。
「そうですか、なら良かったです」
本当は無理しているのは分かっていたが、スタリエの思いを汲んで、ララは敢えて何も言わなかった。
しばらくの沈黙が続き、ララは口を開く。
「あの、料理については専門外なんですが、愛情とかそういったのを一旦捨ててみたらどうですか?」
「スタリエさんの思い入れのある料理を出すんです」
水の国で海鮮丼を開発した時のスタリエの生々とした表情。
初めて海鮮丼を食べた時、とても美味しくて騎士の仲間達も皆んな幸せそうだった。
それを見たスタリエもまた、笑顔だった。
「あの時の料理、思い入れのある料理じゃなかったんですか?」
「出来た時、すごい喜んでいましたし、またああいった料理を作ってはいかがでしょう?」
「ララ……」
スタリエは両手で頬を叩き、気合いを入れ直した。
「ありがとう、お陰で助かったわ」
スタリエはそう言うと、あの料理を作る事を決意した。
第18話 完




