第15話[乙女の敵]
スタリエが自分の料理に気を失いかけていた頃、日菜は勇者に呼び出されていた。
「あ〜、日菜君、少し大事な話しがあるのだがね」
勇者は日菜に近寄り真剣な表情を浮かべた。
そんな勇者の顔を見て、固唾を飲む日菜。
そして、勇者はそんな日菜のお腹を鷲掴みした。
「最近、弛んできたとは思わんかね?」
プニプニとお腹を摘む勇者に日菜は悲鳴をあげて、勇者の首を締め上げた。
決してセクハラを受けたから締め上げた訳では無い。
勇者が乙女の大敵、お腹の脂肪について話したから締め上げたのだ。
「ぐるじい」
勇者は地につかない足をバタつかせながら、日菜の手をタップした。
我に返った日菜が、勇者に謝り手を離す。
「ハァハァ、という訳だから試食は私が引き受けるよ」
「でも……」
スタリエさんは私の為に料理を頑張っている。
そんな彼女に対して太ってきたからといって、試食を譲る何て事、許されるのだろうか?
いや、許されない。
絶対にしてはいけない事なんだ。
例え私のお腹に脂肪がつこうとも……。
日菜はその事を勇者に話した。
すると……。
「本当にいいの?」
勇者はそう言うと太った時の可能性を語り始めた。
第15話 完




