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第14話[最高の逸品]
一週間後の再戦に向けてスタリエは宿屋の調理場で料理をしていた。
長い時間かけて作り上げた一品を味見役の日菜の前に置く。
それを一口、口に入れる日菜。
「すっごく美味しい」
笑顔で答える日菜の顔をジーっと見つめるスタリエ。
「正直に言って、でなきゃ味見の意味無いわ」
観念したのか、日菜は素直に感想を言う事にした。
「すっごく不味いです」
「出来れば味見して持って来て欲しいです」
スタリエは涙目になりながら、日菜の前に置かれたお皿を下げる。
能力を使わなければこんなにも料理下手になるのか。
そんな事を考えつつ、スタリエは日菜の笑顔を思い浮かべながら、料理を続けた。
「できた」
「今度こそ、この料理で日菜を笑顔にしてあげるんだから」
額の汗を拭い、スタリエは先程の日菜の言葉を思い出す。
味見しなきゃと、出来上がった料理を口に運ぶと……。
「まっずぅ」
そう叫び、スタリエは気を失いかけた。
第14話 完




