表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/367

第8話[愛とマグマと凍える寒さ]

私達は今、マグマの国に居る。

氷は溶け、気温は上昇。

せっかくの防寒着が無駄になってしまったが、私達の心は喜びに満ちていた。

何せ、当初の目的であった温泉やサウナ、岩盤浴を楽しめるのだから。

とはいえ、この一件を王様に報告しとかなくては。


「えっ、今何と?」


「ですから、雪花ちゃんは走って何処かに行きました」


「何で?」


何でって言われても知らないし、魔王軍幹部が居なくなって嬉しくないのだろうか?

ふと、雪花ちゃんの話しを思い出す。

確かこの王様、セクハラ大魔王だったっけ……。

魔王より先にこの大魔王を倒してやろうか。

そんな事を考えていると……。


「ぐふ、やっと……」

「やっと、あの悪魔から解放される」


泣き出す国王を見て心打たれたのか、兵士や大臣までもが泣き始めた。

それを見て、日菜達の考えが改まる。

よくよく考えてみれば、魔王軍幹部の言葉だ。

私達は騙されているのではないか?

そう日菜が考えた時だった。


「戦利品として、雪花殿の靴下を奪って来たのですが……」


「何と、それは誠か」


急にテンションが上がる王様に不信感を抱く日菜達。

そんな中、勇者もテンションを上げ、緑の元へ駆け寄った。


「流石緑ちゃん、それでその靴下は?」


あんた、泥棒猫とか言ってキレてたじゃない。

スタリエは勇者を呆れた眼差しで見つめる中、国王が緑に早く靴下を寄越せと催促する。


「それが、臭くて捨てました」


それを聞いた国王が顔を真っ赤にして怒鳴る。


「この馬鹿タレが、それが良いんじゃろが」


いや、馬鹿タレはあんたでしょ。

スタリエは心の中で呟いた。


「そうだよ」

「捨てるくらいなら私にくれたっていいじゃない」


この馬鹿勇者。

アンタまで緑の嘘に騙されてどうするのよ。

スタリエは溜め息を吐き、そして国王を睨んだ。


「雪花から国王に変な事ばかりされているって聞いたけど、どうやら本当のようね」

「さっきの涙も嬉し泣きでは無く、雪花が居なくなって悲しいから泣いたんでしょ?」


国王は冷や汗を流しながら、適当な事を言って誤魔化す。

だが、日菜達はもう騙されない。


「いや、もう信じられないから」


日菜の言葉にいい返す事ができない国王。


「ぐぬぬ、卑怯だぞ」

「国王を騙す何て、それでも勇者の仲間か」


「うるさい、女の子にスケベな事をして喜ぶ、あんたの方こそ国王な訳?」


スタリエに怒鳴られ、胸をときめかせる国王。


「もっと怒鳴って下さい」


その一言で日菜達はドン引きした。


第8話 完


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ