第7話[愛の力]
どうしよう。
こんなにも熱烈に求愛されたのは初めてだ。
まさか、勇者の仲間に惚れられるなんて……。
でも、何だか悪い気はしないっていうか何ていうか……。
それに彼女は私を助けてくれたし、こうして抱きしめられていると、胸がドキドキして何だか心地よく、体が溶けてしまいそうな感じがするわ。
「ちょっと日菜、雪花が溶けているわよ」
「あんたの体温のせいじゃないの?」
スタリエに指摘され、日菜は慌てて雪花から離れた。
「ごめんね雪花ちゃん」
「熱かったよね?」
「いえ、別に……」
雪花は赤面しながらぶつぶつと呟いた。
くっ、これも勇者達の作戦なのかしら。
私を誑かして、精神的に追い詰めるつもりなのか。
「あの、私の事、大好きって……、アレ本当ですか?」
「うん、本当だよ」
日菜は笑顔で答える。
その日菜の笑顔を見て、雪花は日菜から視線を逸らした。
本当って……、本当に?
本当に私の事が大好きって事?
「ずっと居たいって思っていますか?」
「うんまあ、できる事ならね」
雪花は顔を真っ赤にして、その場から走り去った。
嘘じゃない。
あれは本気の目だった。
日菜ちゃんは私を本気で愛してくれている。
雪花は彼女の愛に応えるべく、これからは人を殺さないと心の中で誓うのだった。
第7話 完




