第7話[可愛い子]
呪いが解けて氷の国は大パニックに陥っていた。
何故なら今までの記憶があるからだ。
城内でも、女王は赤面し部屋から一歩も出て来れないでいた。
王とその子供達は女王を心配し、扉越しに女王に語りかけている中、宿屋に居る日菜とスタリエも被害を受けていた。
赤面し、暴れ回る二人。
地面を叩いたり、ブリッジをしたり、頭を地面に打ちつけ記憶を消そうとしたり、とにかく二人は宿屋で暴れ回っていた。
「良かった日菜ちゃん達、元に戻ったんだね」
勇者は日菜を抱きしめて頬擦りをする。
だが、勇者の顔を見る度に日菜の頭の中で忌まわしき記憶が蘇っていく。
それをグッと堪え、日菜は我慢する。
確かに恥ずかしい記憶だけど、勇者は私達の為に頑張ってくれたんだ。
少し位、お礼を……。
そう考えていた日菜だったが、緑の後ろからひょっこり現れたガチュミを見て、勇者を突き飛ばしガチュミの所へ駆け寄った。
「キャワいい」
ガチュミに頬擦りをし、デレデレの日菜。
その日菜の隣で、スタリエもデレた。
そんな二人に勇者はガチュミを紹介した。
「えっ、幹部なの?」
「じゃあ、いつかは戦わないといけないって訳?」
ショックを受ける日菜とスタリエ。
そんな中、勇者がスタリエに耳打ちをする。
そして……。
「はい、ガチュミちゃん」
「ケーキやけまちたよ〜」
ご機嫌なスタリエが、ガチュミの前にケーキを置く。
「ケーキとな?」
見た目が白く美しいケーキを見て、ヨダレが垂れる。
ケーキの魔力に吸い寄せられ、ガチュミはケーキを頬張った。
その間、勇者はガチュミに魔王軍について尋ねる。
それに答えるガチュミ。
それを見て、日菜とスタリエは思った。
このチョロさなら、戦わなくて済むな。
第7話 完




