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三日目のさよなら  作者: 彼処彌真栖
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いちにちめ みまん

ここに…サブタイトルが入れられた…。

本文書き書きページでどれだけ探したというのだ。でもよし。




 その鏡は、ごく普通の鏡台というやつで…いや、ちがった。

 立てて使うタイプで、足元からあたまの天辺まで全身が見れる、《姿見》というやつなのか。

 …あれ。ということは、鏡台や洗面台についているあれは姿見じゃないのだろうか…。

 それは、今はどうでも良いことだけれども。


 祖母の時代からあり。母の時代にもあり、そして自分の代にもまだある。つまり骨董と呼べるほどに年降る古代のまちがい

それを、おんぼろの自室の隅っこに、むき出しのまま置いてある。

 別に鏡が好きなわけではない。

 知人に話したら、自分は怖いから絶対に布で隠すのにー!と叫ばれ、背中をぺちぺちされた。

…別に何かを祓ったわけではないことを祈ろう。

 もちろん、古くなくても巨大な鏡とかは、怖いだろう。こう、どこかに繫がっている・つながってしまう・いけない場所を開けてしまう、等々の都市伝説として。


 でも、考えて欲しい。


 専用のカバーで覆ったとして、偶然手が当たったり風が吹いたり、うっかり払いのけた先でじっとこちらを見ている影に出会ってしまったら、どうすればいいのだ。

それぐらいなら、むき出しのまま置いておく。来るなら来いの心意気で。


当然、ちらりとでも何かが見えたら逃げます。


 とにかく、そんな経緯で相変わらずそこにその鏡はあった。

 いつもと同じ日常。

 いつもと同じ、バイト終了の夜。

 でも、今日は、いつもとは違った。

 めずらしく、鏡の前に正座して…すぐにほどいてだらりと座る。ぱかりと缶ビール…と行きたいところだがビールが飲めないのでチューハイ(大)。あと、おつまみにドリト●タコス味。

「うまー」

 しみじみと、そしてしんみりと飲む。ごきゅり。

 少し前から発達していた台風が、前代未聞の大きさと強さとなって、数日後に襲ってくるらしい。

おおーと軽く呟けるのは、被害がないご家庭と地域。

大きなものは毎回《前代未聞》と言われ、いまだに記録更新中の昨今の台風だが、今回はそれはもうすごいらしく。

 このあばら屋だけれど楽しい愛すべきわが家は、築50年。

 なんと、古すぎて通常の火災保険にも入れないというシロモノだ。

 祖母ががんとして住み続け、母も自分も以下略。

 木の柱と、ぺらっぺらの木の板でできた家屋だ。

 耐震?耐火?何ですかそれはという時代から生き抜いてきた家である。

…正直、つらい。泣ける。

 先日、かなり大き目の台風が過ぎ去ったあとに、周囲の掃き清め中、お隣の方と顔を合わせたので、

『いやー、すごい台風でしたね』

などと、世間話の一環で話しかけたところ…。

『えっ? あ、あー…。何かうるさいと思ったら…』

恐怖すら感じておられなかった。というか台風って気づいていなかったわけではあるまいな、お隣のご主人よ。ごふり。

………モルタルってそんなにちがうの!?

 愕然としますね。

 モルタルだから……鉄筋なのか。築年数は少し若いけど古株に当たると思うのに、鉄筋さまは万能だった。

だいぶ前から気づいてはいたけれど、おそらくこの一帯で本当に台風に怯えているのはわが家だけと思われる。確信。

 この世界にたったひとりの予感。仲間が欲しいでござる。


 とにかく。

 そんな前代未聞の台風が直撃してきて、無事なわけがないだろう、この家。

 毎回、台風の度に二階の自室(天井のすぐ上がトタン屋根。涙で前が見えない)から、そっと、「がんばれーえええ」と屋根に向かって延々と祈りを捧げ、そして踊る。


 なので、今までがんばってくれたのだと信じている。

 人が中にいない木の板の家など、ただのマッチ箱だと思っている。


 ということで、数日後に迫った台風だけれど、最期までここにいる。

ちょうどまとまったバイトも終了したので、時間はあるのだ。

避難勧告とか出ても、行く気はない。それが許されるか謎だが、今までずっと一緒だったここと、最期まで一緒にいる。

 いや、別に死ぬつもりとかないですからね。ばりばりばりーって壊れたら、ぎゃあああって悲鳴上げて逃げ出す自分が…見える、見えるぞ。


 全部壊して新たな家屋を建てる?

 貧乏を舐めたらあかんぜよ。そんなお代金はない。なによりも、自分の手でわが家を殺すことができないから、祖母も母も不便を感じようともどうにもしなかったのだ。いろいろなものにいろいろなものが宿ると教えられて育ってきたので、自分も無理である。むしろ出来るなら守り抜きたい方向で。

 まあ、そんなわけで、おわりですコールが鳴り響くまで、遊び倒して、そして飲む。

そんなつもりでこうして鏡の横に陣取ったのだ。

 そう、鏡である。

 家とか脱線してしまったが、鏡である。

 どうしてこんな場所に座ったかというと、手酌でひとりだけでは寂しいからだ。

ぐびぐびごきゅりとやる間、せめて何かこう人影が欲しい。この家には人類はすでに一人しかいないので。

「うまー…何故1袋しか買わなかったのか、自分よ…」

おつまみ切れました。

未練がましく、中身の絶滅したドリ●スタコス味の袋を振っていると、ふっと影が差した。

 ヤバイ、眩暈か。いや、視覚異常か。

 ほろ酔い加減でてへてへした視線を斜め横に向けると。

 鏡の前に、誰か立っている。

 いや、ちがう。

 ぺたりと。

 両手を中空に浮かせた感じに顔の横で固定して、

 古びてぼろぼろになった…いやちがう失礼だった古くなかったけどあちこち汚れてどこかにひっかかってぼろぼろになりかけの妙にゴージャスな衣服に身を包んだ少女が、すごい形相で。


こっちを見ていた。


 えっ、今が逃げ出すときなの?

 台風きてないけど逃げ出しちゃうのですか自分よ。


 やけに呑気な自問自答をしていたら、目の前が暗くなったのであった。気絶か。



続く





使い方がいまひとつわからなくて、上部にも謎のルビがはいっちゃってますが、突っ込みのつもりでかっこかっこ閉じに入れたらルビになっていたのであります。困惑。でも直さない。

プレビューで、「ここにサブタイトル入れると出る」「ここに前書き」など枠はあるのですが、どこからその場所に文字を突っ込めば良いのであろうか…。というわけでちょっとあやしい状態になっておりますが、文もあやしいのである意味統一されています。


謎の文章を、ここまで見ていただけまして、真にありがとうございました。


【追記】本文の誤字を発見したので修正しましたら、投稿時間の右側に「(改)」の文字がついてしまいました。ごふっ。本文部分の改修・改変はありません。

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