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リンコン




 俺は房に戻った。フェイト卿にもらった助言、龍人と仲良くなる…。俺は龍人のリンコンに話しかけようと決めた。でも何ヶ月も一緒にいたのに、一度もリンコンの声を聞いた事がない…。話しかけても、うなずいたり首を振ったり、そんなコミュニケーションしかとっていない。話せないのかも知れないと勝手に思い込んでいる。

 俺はリンコンに声をかけようとした瞬間、不思議な事が起こる…。


 「…やあ、トオル。私に何か用事かな?…」


 …俺の頭の中に声が響く……。これは何だ…?


 「…あ、驚かせてすまない、私だ、リンコンだ。君も頭の中で私に話しかけて…」


 俺は顔をひきつらせながら、リンコンの声らしきものに従う。


 「…リンコン、なんだよな?これはいったい…」

 「…私には特殊な能力がある。今は思念を君に届けている。因みにこれは魔法ではない…」

 「超能力みたいなものか…なあ、リンコン、あんたは龍の神なのか?ある者にそんな事を聞いたんだが…」

 「…龍の神…か?…少し違うな。我々は龍の始祖だと伝えられている。つまり我々からドラゴンに進化したとも言える。あくまでも伝えられているだけだが…我々はドラゴニス族という…」

 「…そうか、ドラゴニス族。なあリンコン、何故今まで話しかけなかったんだ?…」

 「…トオルに決意のようなものを感じたからだ。おそらく私の力が必要なのだと感じた。そして私は自分の事を伝えなければならないと感じたのだ。…おっと、トオルぼーっと立っているとおかしく思われる、ベッドに入って…」


 俺は分かったと伝え、リンコンに伝えられたとおりにベッドに潜り込む。


 「…なあ、リンコン、あんたにはどんな能力があるんだ?…」

 「…うむ、そうだな…ドラゴンならば私の意のままに操る事ができる。そして、どこにいるか感じる事ができる。他には衝撃波のようなものも使える…」

 「…何だって⁉︎、ものすごい能力を持っているんだな。…ん?…そうだ、崖の底辺りにいるモンスターって感じる事はできるのかい?…」

 「…崖?…ああ、わかる。こいつは毒竜の類だな…ヒュドラと呼ばれている。この毒は厄介で、ヒュドラの吐く息も毒ガスのようなもの。胆汁から毒が生成される…」

 「…ならばそのヒュドラも操ることはできるのか?….」

 「…ああ可能だ。しかしもう少し近くに行かないと無理だが…」

 「…いや、わかった、できるかどうかを聞きたかっただけだ。いずれ力を借りると思う…」

 「…そうか、その時は声をかけてくれ…」

 「…ああ、リンコンは飛べるのかい?…」

 「…可能だ…」

 「…すげえな、リンコン…わかった、詳しい事はいずれ話すが、その力があってどうして逃げなかったんだ?…」

 「…トオルが決断するのを待っていた…私はある啓示を受けた…ある者の手助けをしなくてはならぬと…」

 「…何だって?それが俺なのか?…」

 「…間違い無いだろう、啓示はこうだ…卑しき身分から世界を救う者が現れる。その者、自らを犠牲にし、その行いを力にする。その者に手を差し伸べよ、龍の民の王よ…」

 「…龍の民の王⁉︎…リンコンはまさか…」

 「…ああ、私はドラゴニスの王、リンコン・ドル・ドラゴニスだ、よろしく頼む救世主よ…」

 「…救世主?、俺が、救世主だって?…」

 「…そうだ、トオルよ。私は何百年も前からこの啓示が実現するのを待っていた。啓示は間違いない、私は君の行いを見ていた。啓示に伝えられた者がトオルであると確信した。そして、本当に決断した時に私の真実を伝えると決めていたのだ…」

 「…そうか、ならば本気で動かなくてはならないな。リンコン、わかった、俺はこれから何か行動を起こす時、必ず君に伝えよう。そして君も俺をサポートしてくれ…」

 「…ああ、いいだろう…」

 「…さすがに今日は疲れた、もう眠ろう…」

 「…そうか、わかった。ゆっくり休むといい….」

 「…ああ、リンコン、おやすみ….」


 …とにかく俺は、リンコンという力強い仲間を得たようだ。そして2人目の賢者と会わなくてはならない。ビスコンティ閣下に話を聞くべきだろう。明日、話をき、こう…グゥ…………。


 「…大物なのか、それともただの…まあ私はこの救世主について行くだけだ…おやすみ、トオル…」



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