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 俺には気になっていた事があった。この収容施設の魔法を打ち消す結界の範囲はどこまでなのか?

 現状で収容施設の門を出る事はほぼ不可能だろう…。

 ならば、やはり崖か…?

 そんな事を考えながら今日は作業を続けていた。しかし「自由への発射台」から飛び降りて生きていられるのか?俺の能力を全て防御に振り当てても無事では済まないだろう。

 待てよ、魔法…もしかして、飛べる魔法があるんじゃないか?

 俺はそんな事を考え、自分のパラメータを確認する。魔法、魔法…あ、ある!「飛翔」の魔法だ。これまでずっと魔力と魔法を覚える事を抑えていたため、俺は気づかなかった。

 能力ポイントもかなり余っている。これを魔力と「飛翔」の魔法取得に使ってもまだまだポイントには余裕がある。

 しかし問題は、崖にも結界があった場合、飛ぶ事も出来ずに俺は地の底に落ちるかもしれないという事だ…。現状では確認する術はない。

 でももし魔法が使えるなら、脱出する為には最高の手段とも言える。少しぼーっと考えてしまった。


 「オラっ!サボるんじゃねえっ!」


 そんな見張りの声と共に鞭が飛んで来た。既に余り痛くもないのだが、俺は痛いふりをして作業に戻った。


 俺は作業終了後、房に戻らず崖に向かった。そろそろ夕闇が迫り、余りよく見えなくなってきている。いちかばちか飛び降りてみるか…。

 よし、行くぞ!せーの!


 「おい、やめろっ!」


 誰かが俺にしがみつく。えっ、だれ?


 「早まるな、生きてればきっと可能性はある、だから飛び降りるなんてやめろ!」

 「あ、ああ、大丈夫、大丈夫だから離してくれないか?」

 「そ、そうか、飛び降りたりしないよな?」

 「ああ、大丈夫」


 俺の邪魔を、いや助けようとしてくれた奴は細身の黒髪の男だ。30代くらいか?顔は暗くて良くはわからないが、真面目そうに感じる。


 「ふぅっ、誰か崖の方に向かうのが見えたから…あんた名前は?」

 「ああ、俺はトオル・タイラだ」

 「俺はマット、マット・フリードだ。うん…?あんた自分を犠牲にしてるって有名な奴だな?何で飛び降りようなんて考えたんだ?」

 「ああ、ちょっと試したい…いや、どんなものか見てただけだ。ここはどのくらいの高さがあるのか」

 「ここは下まで数百メートルはあるぜ、俺はこの近所に住んでたからな。この崖は昔から有名だったんだ。この下には特殊なガスが発生するらしく、近づく奴は1人もいなかったからな…」

 「ガス?毒ガスが発生しているのか?」

 「ああ、だから飛び降りたら最後、生きては戻れないぜ」

 「そっか、助かった」

 「何、いいって事よ、さあ戻って寝ようぜ」

 「ああ…」


 俺はマットと共に房に戻った。毒ガスか…うん、って事はあの下に結界は張られていないのか?


 ならば今度は本気で飛び降りなくてはならないな。

 

 失敗すれば「死」が待っている…。


 大丈夫、どうせ1度死んだ身だ!後日決行する。だが今日は寝ることにするか…。おっと寝る前にトイレの掃除もしなくてはならないな…。

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