行動指針
…奴隷として数ヶ月が過ぎた。俺の能力値は今やなかなかのものになって来ている。体力、腕力、魔力、素早さ、知力…。
ポイントは段々と増える量も上昇してきた。それを今必要なものから徐々に加算し、初めの能力値から数千ポイントは上昇している。
そして情報も集めまわった。
やはり俺が思った通り、この場所には、中々の人物が収容されているらしい。
この国の現体制に不満を持ち逆らった宰相や、魔道士、巨大な盗賊団の首領、ジェームズの様な軍人、異国の貴族や獣人の王族等だ。
能力上昇に伴って、政治的な知識も今ではちゃんと理解できる様になった。
今のこの国の支配者が、恐怖や武力、そして様々な裏取引によって成り上がり、善政を行う者を蹴落とし君臨している事、だが、それすらも実は表の顔で、本当の支配者が裏に隠れている事、その陰の支配者の正体は誰も知らず、今の支配者が陰の支配者に従って行動している、そんな事が分かってきた。
表の支配者とされる者の名は「ゲルマール」と言う宰相で、王は幼く、宰相に操られている。
ゲルマールは巨大なカエルの様な見た目で、背は高くでっぷりと太っており、剥げた頭の周りにもしゃっとした髪が生えている。
そのギラギラしたその目には、あらゆる欲望を手に入れる為に手段を選ばないという暗い意志が滲み出ていた。
裏の支配者は名前すらも明らかになっておらず、存在すらあやふやだが、ゲルマールが急激に力を手にした背景からその存在が囁かれていた。
俺が今やるべき事は、とにかく仲間を集めこの場所から抜け出す事だ。
この場所にいる有力な人物を俺の仲間にする。
そして自分の組織を作り、体制に対抗し得る力を手に入れなければならない。俺がいくら強くなったからと言っても1人の力は限られている。
この場所にいる有力な人物を仲間にして、力を手に入れてやる。俺はそう誓った、王になる為に。