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地下の都市

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 「そう言えば、今、この魚を見て思ったんだが、塩ってのはどうやって手に入れているんだろう?」


 俺は単純な疑問をヴィヴィアン卿とリンコンに聞く。ヴィヴィアン卿は答える。


 「塩?突然どうしたんだトオル…?」

 「えっ、いや、この魚に塩を掛ければ美味くなるのになぁって思ってたら、ふと思ったんだけど」

 「うーん、そうだね…、流通経路とかは僕にも分からないけど、やはり海の近くで取れたりするんじゃないか?王国には御用商人がいて、流通させてるみたいだったけど」

 「海の近くか…」

 「リンコン達も塩は必要だろう?」


 リンコンが思念を送る。


 「…我々ドラゴニスは余り塩分を必要としない。とりすぎると毒になってしまうのだ。しかし、必要最低限の塩分は接種する」

 「ふむふむ、なるほど…しかし俺達には塩分は必要なんだよな。俺達が塩の交易なんて出来ないものかな?」


 再びリンコンが思念を送る。


 「…塩は簡単に取れる場所がある。人族は知らない場所だ。我々ドラゴニス族の住む場所の近くに、我々が近づくことのない場所がある。そこは塩で出来た山がある為だ」

 「何だって⁉︎、そこから塩を採取して流通させれば、交易出来るんじゃないか?」

 「…可能だろう」

 「ははっ、いい事を聞いた。ありがとう、リンコン!」


 ヴィヴィアン卿が声を掛ける。


 「そうか、塩はいいかも知れないな。値段も結構高値で取り引きされていると思う」

 「まあ、今直ぐには無理かも知れないが、これで俺達にもやって行ける道が見えて来たぜ」


 そんな会話をしているうちに、魚が焼けて来た。味は淡白で、少し塩が欲しいと思った。



 再びギドラに乗り込み、目的地に移動する。地下都市の入り口とされる場所はもうすぐだった。

 一時間程移動し、その場所にたどり着く。そこは巨大な洞窟だった。入り口は自然に出来たもののように見える。


 俺達はリンコンの案内で内部に入って行く。ギドラは小さくなり、俺の肩の上に乗っていた。


 中に入っていくと、そこは長い時間誰も入っていなかった気配がする。獣やモンスターの類もいた気配がない。不思議な力が働いていたのだろうか?

  俺はリンコンに聞いてみる。


 「なあリンコン、こんな広い場所なのに獣やモンスターの気配が無いのは、何か不思議な力が働いているのか?」

 「…ここには結界がある、しかし、どんなものかは私にはわからない」

 「そうか、魔法は使えるのかな…それっ」


 俺は段々暗くなって行く洞窟にライトの魔法を使ってみた。問題なく光の玉はおれたちの数メートルさきに浮遊している。魔法は使えるようだ。


 しばらく歩くと、その先には人の手が加えられた跡が見つかる。神殿のように見える。かなり古いものだが、あまり環境に左右されなかったためか作りはしっかりしていて、装飾まではっきりとわかった。しかし、この先には何も無い。この神殿が洞窟の最深部で、行き止まりだった。



 「ここがリンコンの言っていた場所なんだな?」

 「…ああそうだ」

 「どこかに仕掛けでもあるのかな?」


 ヴィヴィアン卿があちこち触ったり叩いたりしている。


 神殿は真ん中の通路のような場所を挟み、両脇それぞれ10メートル程だろうか。通路の先にトーテムのようなものが立っているが、何を意味しているのかは分からなかった。トーテムを調べるが異常なものや、スイッチの類は見当たらない。

 ヴィヴィアン卿が辺りを、何やら力を使って調べている。ふとその作業を止める。


 「トオル、このトーテムには何も見当たらないけど、奥の岩肌に何かあるかも知れない」

 「わかった、調べてみます」


 俺は奥の岩肌に手を触れてみる。だが何も見つからない…ライトの魔法を近づけてみる。一瞬岩肌が輝いたように見えた。


 「もしかして、魔法に反応するのか…」


 俺はもう一度ライトの光を近づける。今度は確かに岩肌が輝くのがわかった。


 その時、ヴィヴィアン卿が声をかけて来る。


 「トオル、このトーテム何に見える?」

 「えっ…何って言われても、何だろう…」


 トーテムは5メートルほどの石柱で、最上部にマルその下に長方形、そしてまたマル…何だろう、俺らのいた世界では電池だろうか…。


 「…うーん、俺は乾電池のようにしか見えないな」

 「僕もそう思う」

 「えっ、じゃあ何かしらエネルギーを与えれば扉が開く仕組みだろうか?」

 「うーむ、僕よりもトオルの方が魔力は強いだろうから…」

 「わかった、この場合は電撃でもやってみようか…?」


 俺はウィンドウを開き、魔法選択で「電撃」を選ぶ。ポイントは解放ボーナスのポイントがまるまる残っている。「電撃」を選ぶ、50ポイントが消費された。


 「よし、行くぞサンダー!!」


 俺の腕から雷のように光が走って、壁に当たる。さっきよりも明るく輝いて岩肌が振動する。

 やがて、巨大な岩の扉がゆっくりと開いた。


 「やった!」


 重い振動と音と共に巨大な岩肌が開いていった。開ききったところで振動は止まる。

 岩の扉の先には今までに見たことのないような空間が広がっていた。


 俺達は俺、リンコン、ヴィヴィアン卿の順番で進んで行く。扉の先は金属的なもので作られた壁がずっと続いている。岩の扉を入った瞬間に辺りに灯がつく。自動照明のような設備だろうか…。俺は思わずヴィヴィアン卿に声をかけた。


 「ヴィヴィアン卿、夢で見たのはこんな感じですか?」

 「でも、ちょっと違う…もっと深い場所なのかも知れない…」

  俺達は先を目指して進む。別れ道や部屋すらも見当たらない、金属の壁に覆われた空間を先に進むと、また扉がある。近づくと自動で開いた。


 「自動ドアか…」


 ドアの先は閉鎖された空間だった、もしかして…?


 その場に入ると扉は自動で閉まり、部屋ごと動き始める、思った通りエレベーターのようだ。


 しばらくしてエレベーターは止まった。扉が開く。


 また部屋を出ると辺りに灯が灯される。確かに、近未来の世界のように思える。


 その先は正に、街だった…しかし、人は誰も見当たらない。街と言うよりもシェルターのようなものなのかも知れない。綺麗に区画されている…いったいどのくらいの人数が生活できるのだろうか…


 俺達は1番手前の家屋を調べる、中には居住スペース、寝室、シャワー、トイレまである。使った形跡はあるが、綺麗に掃除されているようだった。


 遠くから何か音が聞こえる…


 タイヤが床を転がるような音だ。キュルキュルと音がする。


 その音の方に近づくと、それはロボットなのか?ずっと辺りを掃除機のようなもので掃除して回っている。俺達の方に近づいてくる…。いや、1人の少女???


 少女が掃除機らしきものを動かしながら、俺らの存在に気づく。


 「キャアーーーーっ!!!」


 少女は叫んで逃げ出す。

 俺は声をかける、


 「お、おいっ!待ってくれ…俺達は危害を加えるつもりは無い」


 少女は少し離れた場所に身を隠し、顔だけこちらに向けて見ている。


 俺はゆっくり近づきながら話し掛ける。


 「大丈夫、何もしない…」


 近づくが、怖がって少女は顔を引っ込める、またそろりと顔をのぞかす。


 「言葉はわかる…?」


 俺がそう聞くと、少女はゆっくり頷く


 「良かった…俺はトオル、トオルって名前だ、君は?」


 少女はゆっくり


 「わ、私はアイシャ…」


 それが俺達とアイシャの初めての出会いだった…。


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