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空の旅



 夏の盛りを過ぎたところだったが、夜はやはり少し冷える。もっとも、夜間高速で飛びながら移動していれば冷えるのも仕方ない。

 ギドラは俺とリンコン、そして、ヴィヴィアン卿を乗せ、地下都市があるとされる場所に向かい飛んでいる。かなりのスピードだ。


 リンコンが指示した場所は、王国領を外れた西の山脈付近の遺跡で、そこに入り口らしきものがあるらしい。

 ギドラに乗って移動しても、かなりの時間がかかる場所だった。

 いつの間にか俺はうとうとしてしまい、ギドラの首にもたれながら眠ってしまった。

 気がついた時には、西の山脈がかなり近くに見えたが、まだまだ遠く、夜が明けるにはまだ時間がかかりそうだった。

 ヴィヴィアン卿も眠っていたようだ。しかしこの人はほんとにきれいな顔をしている…。うーん羨ましい…、なんて事を考えていると、ヴィヴィアン卿も目を覚ました。

 ヴィヴィアン卿は軽く欠伸をして俺に声をかける。


 「やあ、トオル、おはよう」

 「少しは休めましたか?」

 「十分さ」

 「リンコン、俺達はどのくらい眠っていたのかな?」


 リンコンが思念を送る。


 「…2時間程だ、まだまだ時間がかかるだろう…」

 「わかったぜ、ありがとう」


 ヴィヴィアン卿が、声をかけてくる。


 「そうた、トオル…予知夢を見たよ」

 「えっ⁉︎どんな夢ですか?」

 「うん、不思議な場所にいたよ…なんだかよく分からないけど…そう、あれはまるでジャパニーズアニメーションのような近未来の世界だったな…」

 「え、そこに誰かがいましたか?」

 「ああ、僕と君とリンコン王。これから行くところなんじゃないかな?」

 「地下都市なんですか?」

 「うん、その割にすごく明るかったような気がする。特に危険な感じはしなかったけど、何て言うか、僕達がその場所で驚いている事だけは確かだったね」

 「近未来の風景…そう言えば、この世界の滅んだ文明ってどんなものだったんだ…リンコン、何か知っているか?」


 リンコンの思念が頭に響く。


 「…ドラゴニスに伝わる伝承によると、今では失われた技術や武器、そういったものがあるらしいのだが、抽象的ではっきりとはわからない…。例えば小さき太陽とか、永遠の心臓から命を得るとか、光の矢が守るとか…そういう表現で伝わっている。そういったものが、何を指しているのかは私にもわからない」

 「へえ、なるほど…とにかくその場所に行けば何かがわかるかも知れないな」

 「…そのようだ」


 ヴィヴィアン卿も声をかけてくる。


 「なるほど、ロストテクノロジーがその場所にあるかも知れないって事だね、僕も興味出て来たよ」


 それからギドラは飛び続け、夜明け近くには目的地がかなり近くなっていた。

 俺達は休憩をする為に、一度地上に降りる事にした。西の山脈付近の森林地帯に降りる。食料と水を確保する為に、俺達は少し辺りを調べる。

 川は直ぐに見つかり、リンコンが力を使い、魚を手に入れる。川から魚がこちらに向かって飛んで来る光景は、なかなかシュールなものだった…。


 俺は枯れ木を集めて自分の魔法を使い火を起こす。ヴィヴィアン卿も枝を串のよう加工してあっという間に食事の準備が出来上がる。


 魚を串に刺し、火の周りにセットする。作業が終わり、俺は話し始める。


 「しかし、おかしなものだな?数日前にはこんな旅が現実になるとは思わなかった…まあ、余裕も無かったけど」


 ヴィヴィアン卿が答える。


 「ああ、確かに。これは君がいたから実現したのだろう。僕達は手を貸しただけさ」

 「ヴィヴィアン卿、俺はおかしな事をこれから言うが聞いてくれるか?」

 「なんだい?」

 「俺は王になろうと思って奴隷を解放したんだ」

 「へぇ、そうなのか?」

 「ああ、俺がこっちに来る時、神様に王になれる力を与えるって言われたんだ」

 「なるほど、僕は欲しい力をくれるって言われたけどね」

 「そうなのか?俺は何故か過酷な環境に行かなきゃならないって限定だったんだよな…」

 「それは僕もそうだった。最初は貴族でその後は奴隷だって」

 「へぇ…もしかするとまだ転生者はいるのかも知れないな…」

 「僕もそう思う」


 リンコンが思念を送る


 「…転生とはどういう意味なのか?」


 「あ、ああ俺とヴィヴィアン卿は…」


 俺はヴィヴィアン卿をちらっと見て、頷くのを確認してから再びリンコンに答える。


 「こことは別の世界からこの世界に生まれ変わって来たんだ。俺達の世界はこことは全然違う。人族しか住んでいない場所さ」

 「…そうか、転生者とは興味深い。やはりトオルはこの世界を守るべくやって来たのかもしれないな」

 「そうなるように努力してみるさ」

 「…ああ、頼む救世主よ」


 そんな会話をしているうちに、夜が明けてくる。東側から少しずつ、うっすらと明るくなって行く。今日の昼前には伝説の地下都市があるとされる場所まで辿り着けるだろう。

 魚が焼けていくのがわかった。香ばしい匂いが鼻にとどく。それまで忘れていた空腹感が俺をおそう。

 その時、俺はある事を思いついた…。





 

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