ポイント獲得、能力上昇
この最悪な環境下で1週間が過ぎた。俺はいそいそと良い事を続け、地道にポイントを稼いでいた。
看守にトイレ掃除をやらせてくれと聞いたら、二つ返事で了承してくれた。
このトイレ掃除がポイントを稼いでくれる。トイレは全部で3箇所あり、3つ掃除すると3ポイントが手に入る。
そうやって1週間で30ポイントちょっとを稼いだ。
それを全て体力ゲージにつぎ込む。
すると俺は徐々に疲れない体になって来た。日々の労役も今では少しも苦にならなくなっている。
これは中々に面白くなって来た。
その次の1週間も掃除や他人がやりたくないことを進んでやって行く事で30ポイント以上稼ぐ。
今度は強さのゲージに全てを使った。
今度は労役の作業が楽になって来た。重い石運びも普通の人以上にこなせる。倒れそうな奴を助け、そいつの分も作業してやった。
するとまたポイントが増える!
こうなると益々面白くなって来た。どんどん加速度的にポイントは貯まる。今度はまもりのゲージに使う。すると監視役の鞭の痛みも蚊に刺されたようにほとんど苦にならなかった。
今度は魔力ゲージに使う。
俺に魔法なんか使えるのか?と最初は思ったが、10ポイントを費やすと、覚えられる魔法が表示された。俺は迷わず「ヒール」の魔法を覚えた。これで怪我をした奴を治すことも出来る。
そう思ったが、どうやらこの場所には魔法が使えない術式のような結界が張ってあるらしい…
そうなると、体力の上昇に力を注ぎ込む。
ひと月が過ぎた頃にはかなりの能力を上昇させる事が出来た。
俺は自分が王になる為に何をすべきかを考えた。まずは人が必要だ!まず絶対に必要な奴は、元ジェネラル、ジェームズだ。こいつは絶対に力になる筈だ。そして一緒の部屋のレイとキコ、そしてリンコンも必ず仲間にしてやる。
俺はジェームズに話しかけた。
「なあ、ジェームズ。あんたはこんなところで燻っている人間じゃないと思うんだが、もし俺が何かをする時には力を貸してくれないか?」
「俺は今は只の奴隷だ。お前に手を貸すか…まあ色々とお前には手を借りてるのは事実だな。まあ、その時は考えとくよ」
「俺の計画には絶対にあんたが必要なんだ、絶対に力になってもらうぜ!」
「何の計画かはわからないが、その時は話してくれ」
あまり乗り気じゃない…
というより、俺の計画を具体的にしないと何の協力も出来ない、と考えるべきか。
そう、今は計画を練る。その為には参謀も必要なんじゃないか?武人はジェネラル・ジェームズ、参謀は誰だ?
そしてまずこの環境から自由を手に入れなければならない。その後国を作る下準備、国を成す組織を立ち上げる。それが物になれば今度は国を興す。そうやって俺は王になる。
しかしどうやって人を知ればいいのか?
今はとにかく、自身の能力ゲージを上昇させ、良い事をやり続ける。それが俺の今のやるべき事だ。
限られた場所で情報を集め、人を知る事も忘れない。その中で有能な人材を集める。そうして俺は成り上がる。
この奴隷収容所の中には様々な人がいる。ジェームズのような元軍を束ねていたような人物、政戦に負け追いやられてこんな場所に入ってきた人、亜人というだけで犯罪者扱いを受けたレイやキコ、多分リンコンもそんな感じだったのだろう。俺のこの世界での罪状は王族に失礼を働いた為だ…
こんな状況を甘んじて受け続けようと思っている奴なんていない筈だ。俺は必ず仲間を見つけ、まずはここから抜け出してみせる!
そして王になる、その為に俺はこの世界に転生したのだから。