ライバル現る
起きたらまぶしい光と美味しそうな匂いが鼻の中に入ってくる。
「おはよう、海斗」
「ん?」
「早く起きたから、朝ご飯作っちゃった!」
(海斗のために作っちゃった!)
「そうなの?ありがとね」
野乃花の顔には満面の笑みがあった。
匂いにつられテーブルに座る。
「眠い・・・」
海斗は眠そうな顔をする。
野乃花はテーブルに料理を並べていく。
白米、みそ汁、卵焼き、サバの味噌煮、サラダが出てきた。
「美味しそう!」
「そう?なら良かった」
(早く食べて!)
野乃花は安心した表情を浮かべる。
二人はテーブル座り手を合わせる。
「「いただきます!」」
箸を持ち白米にもっていく。
うまい!こんな食事久しぶりだ。
サバの味噌煮も柔らかく、口に入るだけで溶けてしまう。
この美味しさ、母親よりもうまいかも!
「うまい!美味しいよこれ!」
「なら、よかった・・・私にできるのはこれくらいだから」
野乃花はさみし気な顔をする。
「どうかした?」
「いや、何でもない!」
「そう?何か悩み事があるならいつでも相談して」
「うん、あらがとう」
(海斗ってほんとに優しい)
海斗は笑みを浮かべる。
「は~美味しかった~」
美味しくて何杯もおかわりしてしまった。
お店で出せるほどの美味しさだ。こんなもの普通じゃ食べられない。
「美味しくいただけてくれて、嬉しい!」
(あんなにがっつかなくても、まだあるのに・・・嬉しい!)
野乃花は嬉しそうな顔をする。
「こんな美味しい料理食べたのはひさしぶりだよ」
「いつもはどうゆうの食べてるの?」
海斗は目をそらす。
「・・・・コンビニ?」
「やっぱり・・・栄養はちゃんと取らないとダメだよ!」
(本当に栄養取らなきゃだめだよ)
野乃花は怒った顔をしていた。
そんなこと言われたって俺料理できないしな・・・
こんなもの食べたら他の料理が食べられなくなる。
「それは、わかっているんだが・・・俺料理ができない・・・」
「そう・・・それなら私が作ってあげようか?」
(私が作ってあげるよ?)
野乃花が顔をかしげる。
そんことしたら野乃花に迷惑かけてしまう・・・。
あんまり、野乃花には迷惑かけたくない。
それに俺が作家だってことがバレてしまう。
「いや・・いいよ野乃花にも迷惑かけてしまう」
「そう・・・」
野乃花は悲しげな顔する。
「ありがとね、そんなこと言われてうれしかった」
「うん、ありがとう」
嬉しそうな顔をするが悲しげな声で言った。
野乃花は皿を片付け、キッチンで皿を洗う。
海斗が床で寝っ転がるとインターホンがなる。
「ん?誰だ?」
海斗は恐る恐る玄関のドアを開ける。
「久しぶり!海斗!私がいない間元気にしてた?」
彼女の名前は吉野由香
よしの ゆか
本名ではない。18歳
ラノベ作家、シナリオライター
先月アニメ化が決定した今人気作家だ。通信制の高校のに通っている。
「久しぶり、何しに来たの?」
「つめたいなー、私たちの中でしょ?」
野乃花が不満そうな顔をする。
「海斗、この人誰?」
野乃花から痛い目線がはしる。
「あ、えーと・・・」
「私の名前は吉野由香 私たちはラノベ作家だよ!」
あ、マズイ俺が作家だってことがバレてしまう・・・・。
ヤバい!
「私たちってことは海斗も?」
海斗は目をそらす。
「そ、そうなんだ。隠しててごめんね」
「いや、私は別に平気だよ。でも海斗って作家だったんだね」
野乃花は苦笑いをする。でもどこか悲しそう。
由香は部屋に入り、三人でテーブルを囲んだ。
「あの野乃花、さっきの事みんなに言わないでくれるかな?頼む!」
「わ、わかった」
声が震えていた。
多分不安なんだろう、突然他の女の人が入ってきて俺を取られちゃうじゃないかって。
しまいには俺たちが作家だってことを知ったらさらにだ。
「ねぇ海斗、私この子と話したいから海斗はコンビニで何か買って来て!」
「は?」
「いいから買って来て!」
「わかった」
海斗は財布を持ち近くのコンビニに行く。
「やっと2人になれた」
「あ、あの、話しって」
「ふふ、あんた名前は?」
「野乃花です」
「そう、野乃花いい名前ね」
由香は微笑む。それに対し野乃花は不安げにしている。
「ありがとうございます」
「野乃花、海斗の事好きでしょ!」
「そ・・そんなことありません」
野々花は目をそらす。
「そう?わたしは海斗の事好きだよ!」
「野乃花はどうなの?」
「私は・・・好きじゃないです」
「そうゆう中学生みたいのいらないから」
野乃花は恥ずかしそうにする。
「わたしも、わたしは、海斗が好きです」
「ならお互い同じ人好きになっちゃたわけだし、ライバル同士仲よくしよう」
「え、はい」
野乃花の震えていた声がもどる。
「手加減はナシだよ」
「そんなことしませんよ」
「これからよろしくね!」
「はい!」
2人との微笑んだ。
俺が帰ってくる頃には由香もういなくなっていた。
「ただいまー、由香は?」
「帰っていったよ」
海斗はテーブルに座り、くつろいでいる。
野乃花は冷蔵庫からお茶を取り出し、コップに注ぐ。
「はい!これどうぞ」
(はい!お茶飲んでね!)
野乃花はお茶を注いだコップを差し出す。
「あ、ありがとう」
微笑む野乃花が海斗の反対側に座り、顔を見つめる。
顔が赤くなり目をそらす海斗。
「そういえば、由香と何を話したんだ?」
「それは女の子同士の秘密!」
あ~ガールズトークってやつか?
でも、何の話してたんだ。それだけが気になる。
「えー!どうしてもだめ?」
「ダメ!ダメはダメだよ」
(絶対に言わない!)
やっぱり、ダメか?
海斗はお茶を口に運ぶ。
「そういえば、海斗はラノベ作家なんでしょ?」
咳き込む海斗。
何で今その話をしてきたんだ?
「そうだけど、なんか用がある?」
「いやないけど、どんな本書いているかが気になったから」
海斗は苦笑いする。
それはすこし無理かも、エッチなシーンが少しあるから、、、
「それは言えない、、、読みたいなら自分で探してくれないか?」
海斗は下を向いて少し暗そうな声で言った。
野乃花はそれを受け取りそれ以上は話さなかった。
「そう、ごめんね」
「謝らなくていいよ」
「うん、ありがとう」
なんか悪い事させてしまったま~
野乃花は苦笑いする。
「また、昨日みたいにデートしてたいな」
昨日は楽しかったし、野乃花の可愛い姿や笑顔が見れて良かった。
またこうして、2人だけでデートをしてみたい!
野乃花は恥ずかしそうにしている。
「うん、また二人だけで行きたいね。今度は旅行も行きたい!」
(絶対に行きたい!)
海斗は顔が赤くする。
それは、早くないか?まだ付き合ってもないのに、、、、
そんなこと言ったら、エッチな事もしたくなる。男なら誰でも思う。
「そ、そうだな」
「あ、でもエッチな事ことはダメだよ?」
野乃花はからかうように言ってきた。
「し、知ってる!」
「したいなら、してもいいけど」
野乃花は恥ずかしそうに小さな声で言う。
海斗は聞いてない振りをした。
野乃花はそのまま、海斗の家で昼ご飯をたべて帰っていった。
一夜が明けて今日は学校がある。
いつものように登校し、授業を受ける。
すぐに昼休みの入った。
「海斗!一緒にご飯食べない?」
「いいけど」
「やった!」
乃花は隣の自分机を海斗の机にくっつける。
乃花は弁当を取り出した。
海斗は店で買った、焼きそばパン二つに自販機で買った水。
「そんなんで足りるの?」
「はっきり言って、足りない」
野乃花は苦笑いする。
「何か、あげようか?」
「いいの?」
「うん、いいよ」
乃花は恥ずかしそうにする。
野乃花は自分の弁当からおかずとご飯少しずつ海斗に渡す。
「これって、手作り?」
「そうだよ」
海斗は野乃花からもらった卵焼きを口に運ぶ。
うまい!やっぱり、野乃花の手作り美味しな!
「うまい!やっぱり、うまいな」
「それは、良かった」
海斗は、廊下の方を向いた。
何か視線を感じたからだ。
誰かに監視されてるような、、、何か嫌な予感がする。
特に野乃花に何かが、、、、
「どうかした?」
「いや、何もない」