学園生活6
「お前、今朝殺されかけたんだろ。そのままおさらばできれば良かったのに、オルガナイザー様に助けられて、男のくせに無様だよな」
「前から気に入らなかったんだよね。なんでかワルキューレなんかの護衛がついて分不相応にも程があるわ!」
「これに懲りてもう少し自重するんだな」
髪を掴まれたまま、蹴りを入れられ机と同じように志朗の身体が浮いて教室の壁に激突した。
「おい!お前ら。何をしている。」
志朗は背中や肩に衝撃を感じながら動かずに顔を伏せっていると、男子生徒の声が聞こえた。
「…っ!カイ総代!!!」
「何故、カイ総代がアルブス棟に!?」
教室内に現れたのは、ユグドラシル生徒総代カイ・レクス。在校生ながら、今ワルキューレ入りに最も近い男と言われている。
最高学年の9年生のカイは、生徒総代と言われる役職についており、全校生徒のトップと言える。
カイは軍科所属であり、文科校舎のアルブス棟に居ることが異常事態だ。
「これはどういう状況だ。説明しろ」
「僭越ながら、この混血が、身をわきまえない態度ばかりとるので、少し教育的指導をしていたまでです」
「それで集団リンチか。くだらんな。」
「お言葉ですが総代、混血がこのユグドラシルで在校するには、学年試験で5位以上、専門分野科目5項目以上SSランクが必須条件です。この志朗•K・アストリアは3年連続5位から溢れており、専門分野科目も2項目しかSSランクは取れていません。にも関わらず退学扱いにならないのは、明らかにこいつの後ろ盾によるもの。そして何故かこいつには、あのワルキューレのユリア・オルガナイザーがついている。こんなことが許されるんでしょうか!この格式あるユグドラシルで!俺は絶対認められません」
「お前たちがどう喚こうが、アストリアの処遇を決めるのは学校だ。今日はもう帰れ。傷害案件は原則報告、処分扱いだが、今回は風紀への通達は無しにしといてやる。」
「失礼します」
床に倒れ臥す志朗に一瞥をくれるとリーダー格を先頭に教室から全員が居なくなった。
教室には志朗とカイの2人になった。