学園生活9
「志朗、どうしたの!?その首の包帯…」
次の日、登校すると志朗の首に巻かれた包帯にユイとルミアスがぎょっとした顔をした。
「うん。俺は良いと思うよ。性癖は人それぞれだし」
「ちょっと変な言い方しないでよ。昨日運悪くレクス総代と鉢合わせちゃって…」
「えぇ!?なんで軍科総代がアルブス棟に居るのよ!?」
「昨日こっちで来月の考査の打ち合わせがあったみたいなんだよね」
「レクス総代は混血排除主義のシンボルのような人だからな。しかし一生徒に危害を加えるなんて、やっぱり過激派の動きが活発化してるのか。」
「いや、校外の混血排除主義とも無関係だと思う。たまたま総代と鉢合わせしちゃって。途中でユリアが助けてくれたから、怪我はさほどないよ」
「あぁーん。やっぱりユリア様が!あぁ絶対かっこよかっただろうなぁー!私もユリア様に守られたい〜〜」
悶えているルミアスは放っておいて、志朗とユイは話を進めた。
「特に校内で噂になってないし、レクス総代との悶着は内内にしないと。校内の排除思想を煽るだけだしな」
「うん。特に周りには誰も居なかったし、レクス総代が大衆に吹聴するタイプには見えないしね。たぶん大丈夫だと思う」
視界にも入れたくない奴との出来事を、わざわざその口で言葉にするとは考えにくい。噂にするくらいなら、全校生徒の前に打ちのめすくらいのことはするだろう。
「でも、油断禁物だな。特に来月の実技考査。公然と剣を相手に向けられるからな。過去にも決闘中に相手を誤って殺してしまった例はいくつかある」
「うん。気をつけるよ」
心配そうなユイに気丈な風で頷いた。
「そうそう!話は変わるんだけど、志朗に見て欲しい文献があるんだよね」
現実に戻ってきたルミアスが志朗に向き直る。
「ルーン関連文献のこと?僕、あの会長苦手だからあんまり関わりたくないんだよね」
この前無理やりルミアスに連れていかれて、入った研究室で出会ったルーン文字研究会会長を思い出してゲンナリした。
「あそこの会長。キャラ濃いしな。俺も苦手だ」
ユイも苦笑いを隠さない。
「もーそんなこと言わないで、どうしても部内じゃ解析できない節があってね。校内でも3人しか居ないルーン学科SSランクの志朗の見解が欲しいのよ!」
「会長が解析できないなら僕もできない可能性が高いと思うけど」
「いーからいーから!たまにはいいとこ見せないと!」
そんなこんなで放課後、3人はルミアスが所属するルーン文字研究室へ赴くことになった。




