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姉の手記 2018/8/16
兄は恵まれた人だった。
私は外見や才能に、
あまり恵まれずに産まれてしまった。
母と、他の兄弟である兄や弟は、
外見がとても端正で、
その中でも特に兄は色々な才覚を表した。
絵が上手く運動も得意。
音楽にも精通していて、何より器量が良かったので、交遊関係も広い。
昔から家族で何かが出来ないのは、
決まって幼い弟か、
そんな弟と比べても同程度に出来ない私だった。
だがそんな兄や弟が、私を小馬鹿にする事はなかったし、
兄妹三人、互いを貶めるような事もせず、
仲の良さに関しては一切問題がなかった。
私が彼らを常日頃から羨んでいたのは、紛れもない事実であって、決して変わることはなかったが、
私は挫けず、母を見習って努力をすることに勤めた。
学生生活の内、10年以上誰よりも真剣にやってきたその努力も、
高校を卒業する頃には、
6種類の楽器を自在に演奏する、ちょっとした有名人になった。
そんな私を、母はいつでも褒めてくれた。
母がずっと好きだった。
ここでの暮らしは18年。
母は昨日、殺された。




