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8/21

ダンスの相手は・・・。

多くの方に読んでいただけているようで本当に嬉しいです。



そして夜会が始まった。

初めに陛下が挨拶をされ、その際レオンハルト様はまだ戻られていないことが告げられる。

仕方ないと思いつつも気落ちしてしまう。それでもお義兄様やレナイナたちが側に居てくれる為、なんとか笑顔でいられる。

夜会が始まれば、踊る人々、会話を楽しむ人々と一気に華やかな空気に包まれる。レナイナたちも婚約者に誘われ、私に少し申し訳なさそうに一言謝罪しながらダンスの輪に加わった。


「お前も踊るか?」

「・・・お義兄様、申し訳ないのですが」

「はは、だろうな」


お義兄様はわかっていたよと笑った。そう、初めての(この姿での)ダンスはレオンハルト様とと決めている。もし今回間に合わないのであれば、ダンスは踊らなくていいと思っている。ダンスをしなくても社交はできる。

本当はわかってる。いくら婚約者がいても何人かと踊った方が良いということは、でも初めてだけは・・・。




その後、何事もなく夜会は進んでいった。

いえ、何事もなくはなかったわね。


初めはこちらの様子を伺っていた周りだったが、一人が声を掛けてきたことを皮切りに次々と人が集まり、あっという間に私たちは人に囲まれてしまった。女性からは変わったことについて話を聞かれ、男性からはダンスを申し込まれた。

女性にはダイエットについて簡単に話し、男性の誘いには断りを入れ、それでもしつこい誘いにはお義兄様が断ってくれた。



夜会も終盤、ダンスもあと数曲だろう。

その頃には人だかりも落ち着き、私は少し疲れてしまい一人壁際に佇んでその様子を眺めていた。お義兄様は心配そうにしていたが友人に挨拶に行くと言って少し離れているし、レナイナたちも婚約者と話しをしている。


・・・結局、レオンハルト様は間に合わなかったか。


手に取った飲み物をチマチマと飲みながら、そんなことを思っていると先程ダンスを申し込んできた男性が私に近付いてきた。


え、ここなら見つからないと思ったのに・・・。


周りには同年代はおらず、年配のそれこそお父様やそれ以上の方々が多かった為、ここで休んでいたのだけれど。

その男性は笑顔で一直線に私に向かってくる。

お義兄様はまだ戻らないし、お父様たちも近くにいない。あまりあからさまに避けるのも失礼にあたる。


よし、なんとか乗り切ろう!


心の中で頑張れ自分!と気合いを入れて、その男性に対峙する。


「これはフィラルド公爵令嬢、こんなところにお一人でどうしましたか?」

「・・・アシュガード様、私少しここで休んでいただけですわ。もう少しすれば兄も迎えに来ますので」


アシュガード様は伯爵家次男、赤茶の背中まである髪を結んで肩に流している。同じ色の瞳は弧を描き全体的に優男な印象だ。優しそうではあるが正直、第一印象は"チャラそう"だった。

そんな男性に周りには人がいるとはいえ、二人で話すとなれば警戒もする。さりげなく「もうすぐお義兄様が来るんですよー」と言ってみるが、ニコニコと笑顔を浮かべ去る様子はない。


「先程から見ていましたが、まだ誰ともダンスは踊っていないご様子。そろそろ夜会も終わるようだ。どうですか?私と一曲踊ってはくださいませんか?」


どうしようかと悩んでいるとアシュガード様が話し掛けてくる。


え、いやいや。先程から見ていたって何時から見てたのよ。それに最初にダンスは踊らないって断ったのに、なんでまたダンスに誘うわけ?


「お誘いありがとうございます。しかし、初めに申し上げたように私最初のダンスは殿下と、と決めておりますの」


ないわーと思いつつ表面上は微笑みを浮かべて、再度断る。

一応、私は殿下の婚約者だからね!諦めてよ。と、いうか諦めろ!

しかし相手も簡単には引き下がらない。笑顔はそのままに一歩更に私に近づいてくる。


ちょっ、何近づいてるのよ!


私はそれに合わせて一歩後ろに下がる。


「えぇ、聞きましたよ。でも、殿下は来られていない。もう今日は無理でしょう。でしたら一曲私と踊っても良いじゃありませんか」

「それでも私は待ちます。ですから、アシュガード様は別の女性と踊ってらしてください」

「いえ、私はあなたと踊りたいのですよ」


更に近づいてくるアシュガード様に私は合わせて後ろに下がっていく。しかし壁際ということもあり、すぐに背中に壁がついてしまい、これ以上は下がれなくなってしまった。

しまったと思った時には壁とアシュガード様に挟まれ身動きがとれなくなってしまった。更にアシュガード様が耳元に唇を寄せてきた。


「まさか、あなたがこれほどまでの美しさを隠していたとは、本当に驚きです」

「・・・おどきになってください」


囁くように言うアシュガード様にビクッと震えてしまう。それでもなんとか気丈に振る舞うが、相手は全く気にした様子はなく右手で私の剥き出しの腕を軽く撫でられる。


「っ!」

「あぁ、肌も吸い付くようだ」


声に出さなかった私えらい!

っていうか、勝手に触るな!こいつ気持ち悪い!!


もうどうにでもなれと相手を突き飛ばそうとした時、会場の扉が勢いよく開いた。



扉を開けたのは・・・・ご想像の通りです(笑)

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