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7/21

私は婚約者

ま、まさかの、日間ランキング1位!!!!

びっくりしました。

これも読んでくださっている皆さんのおかげです。

ありがとうございます!


「大丈夫か?」

「・・・え、あ、はい」


お義兄様の言葉に自分でも分かるほど力なく答える。


私はクリームに近い黄色いドレスを着ている。夜会だからと胸元も大胆に開いているが、下品にならないのはドレスの裾に拡がる美しい薔薇の刺繍、そして同じ柄のレースで開いた胸元を飾っているからだ。開いているとはいったが、近くに来なければそこまで素肌は見えないようになっている。その胸元にはレオンハルト様が隣国で見かけたと言って送ってくれたサファイアのネックレスが揺れている。そして一緒に馬車に乗っているお義兄様もグレーの正装に身を包んでいる。馬車が向かっているのは今夜開かれる夜会の会場となる城だ。



今日まで本当に頑張ってきた。その甲斐あってスタイルは出るとこ出て引っ込むところは引っ込んだ。お肌だってスベスベだし、髪は光に当たればキラキラと耀く。勉強だってマナーだって頑張った。ダンスだって・・・。


・・・まだ一番見て欲しい人にまだ見てもらえていない。

でも、落ち着かないのはそれだけじゃない。


本当だったら婚約者であるレオンハルト様が屋敷まで迎えに来て一緒に行くはずだった。

一週間前に届いたレオンハルト様からの手紙にも、迎えに行くことが書かれていたし、予定より早く戻れそうだとも書かれていた。

でも、夜会当日になってもまだ会えていない。

それは隣国との間にある道で崖崩れがあったから。通れるようになるには数日かかるとのこと。

正直、今日の夜会も間に合うかどうかギリギリの日程だった。

それでも出来るだけ待ちたいと言って、お父様とお母様には先に会場へ行ってもらった。お義兄様だけは残り、もし彼が間に合わない場合、まだ婚約者のいないお義兄様に替わりにエスコートしてもらうことなった。




結果は最初に言った通り、私はお義兄様と二人で馬車に乗っている。

つまりレオンハルト様は間に合わなかった。



「レオンハルトも途中からでも参加するかもしれない。それまでは俺がエスコートしてやるから」

「はい・・・わかっています」


お義兄様の慰めるような言葉に返事をする。

そうだ、まだ間に合うかもしれない。

私は胸に希望を持って、視界に入った城をじっと見つめた。




ガチャ


扉の開く音と共に光と音楽が一気に流れてくる。

ギリギリに屋敷を出た為、すでに会場となっているホールには多くの人が集まっていた。私たちはそんな人々の視線を一気に集めてしまった。


うぅ~変じゃないかな。


こんな大勢の人がいるところは、ダイエットを始めてから、というか前世を思い出してから初めてだから緊張する。

お茶会に初めて(前世を思い出してから)参加した時も緊張したけど、それ以上だよ!


体調が戻ってからは我が家と懇意にしている家のお茶会には参加していた。

周りは私が誰か分からず困惑し、分かってからは私の変わりように驚いていた。

誰も話し掛けてこないのは分かっていた。今まで散々馬鹿にしてきて、嫌われているのなんか百も承知だ。

しかし、これからはそうはいかない。勉強やマナーだけ頑張っても社交が出来なければ、彼の隣には立てない。

正直、他の令嬢たちに近づくのは足が震えた。それでも何とか足を動かし、口を動かし、今までの非礼を謝罪した。そんな私の様子に令嬢たちは、とても驚いて困惑していたけど、お茶会に何度か参加していく内に徐々にそれも少なくなっていった。


ゲームの中では友人なんて一人もいなくて、近くにいたのは性格の悪そうな取り巻きだけだったけど、今では心優しい友人も何人か出来た。


会場のあちこちからヒソヒソと何を言っているかまでは分からないが話し声が聞こえる。


「(あれ、誰だ?見たことないぞ)」

「(隣にいるのはフィラルド公爵家のロイドだろ)」

「(もしかしてロイドの婚約者か?)」

「(いつの間にあんな可愛い子を?!)」

「(というか誰なんだ?!)」



見られてる!見られてるよ~(泣)

誰か助けて~(泣)


表面上は感情を出さずに淑女らしく、お淑やかにけれど公爵家の者てして堂々と会場内をお義兄様と共に歩いていく。すると左手から二人の令嬢が私たちに近づいてきた。


赤茶の瞳に縦ロールの赤い髪が印象的な私なんかよりよっぽど悪役令嬢っぽい侯爵家令嬢、レナイナ・ローディング

青い瞳に瞳より濃い青のストレートの髪が一見冷たそうな伯爵家令嬢、ソフィア・ゴディマール

どちらも心優しい私の友人だ。


「レナ!ソフィ!」


私は嬉しくなってつい声を上げてしまう。駆け出したいのを抑えて、お義兄様に一声掛けて淑やかに二人に近づく。


「久しぶりね、アーネ。ドバール伯爵家のお茶会以来かしら?」

「えぇ、それくらいかしら」

「今日はまた・・・凄いわね」

「え?」


私の姿を見て言ったソフィアの言葉に一気に不安になる。

何か可笑しかったかな?

ドレスに視線を落とすと、二人は笑って教えてくれる。


「あぁ、違うわよ」

「そうよ、ソフィが言ったのはいつも以上に綺麗だってこと」

「あ、そうな・・・・え」


レナイナの言葉に固まる私に二人は笑ったまま続ける。


「そうよ。でも理由は分かってるわよ。ねぇ?」

「えぇ。・・・殿下の為でしょ」

「あ、え、あぅ」


私はどう答えて良いか困って言葉にならない声を出す。

二人にはこれまでの会話や態度から私がレオンハルト様を好きなことがバレてしまっている。

私は恥ずかしかったけれど、こんな風に話し掛けられて嬉しかったことも事実。気持ちを落ち着けて、二人に「ありがとう」とお礼を伝える。二人も笑顔で返してくれる。またレオンハルト様の状態は知っていて、間に合うかもしれないと励ましてくれた。

二人と話始めてから、周りの話し声は多くなったように感じる。



「(え、アーネって・・・もしかしてフィラルド公爵家のアーネスト嬢か?!?!)」

「(嘘だろ?!全然違うじゃないか!!)」

「(まさか、あのアーネスト様ですの?!)」

「(そんな、一体どうして・・・)」



周りの声ははっきり聞こえないけど、お茶会の時と同じ。みんな困惑している。

問題はここから!

今までの悪いイメージを払拭していかなくては!その為のマナーだって身に付けた。

大丈夫。私は出来る。


私はレオンハルト様の婚約者なんだから!!



更に新しい人物が出てきました。

今後活躍の場は、あるような、ないような、あるような・・・。

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