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最後のイベント

お待たせしました。

少し間が空いてしまいました(汗)


とうとうエンディング直前、最後のイベントであるレオンハルト様たちの卒業パーティーを迎えた。






「そのドレス、やはりよく似合う」

「ありがとうございます。レオンハルト様もご卒業おめでとうございます」

「あぁ、ありがとう」


私は今、レオンハルト様と一緒に馬車に乗り卒業パーティーの会場へと向かっている。

今日の私はローズピンクのドレスを着て、小粒のダイヤに縁取られたサファイアが美しいネックレスを付けている。どちらもレオンハルト様からの贈り物。

頻度はそれほど多くないけれどドレスやアクセサリーなどを贈ってくださる。前世の感覚でいうとドレスなどと高価な物を頻度が多くはないとはいえ贈られることに、申し訳なさを覚えてしまうが貴族の世界でいえば普通のこと、それに贈られた物を身に付けるとレオンハルト様が満足そうにしている為、私は贈り物を頂く度にお礼の手紙を書き、私からもハンカチなどの小物やお菓子を作って渡した。

ドレスのお礼に令嬢からも贈り物をするという風習はないのだけれど、レオンハルト様は最初驚いていたけれど嬉しそうにしてくださった為、続けている。



実を言うとレオンハルト様が迎えに来るまで不安があった。

事前に迎えに行くとも言われていたけれど、もしかしたら直前でリーディアの方に行ってしまうのではないかと。色々あったけど彼女はヒロインなわけで・・・。

もちろんそれは杞憂だったわけだけど、今までレオンハルト様にその気がなくてもイベント自体は起こっていたから。だから今回も・・・と考えてしまった。



でもでも!最後まで気を抜いたらダメよね!!

ゲームだったら卒業パーティーでヒロインと結ばれた攻略者に私が断罪を受けるイベントがあるんだから!

どうなるか分からないけれど、ここまできたらこれまで努力してきた自分と何よりレオンハルト様を信じよう。




卒業パーティーはスムーズに始まった。ただリーディアの姿が見えない。


ゲームが順調に進んでいれば好感度が一番高い人からエスコートの申し出があり、それを受け入れることでその人とのエンディングが確定される。もし好感度が誰とも一定数満たされていない場合は申し出がなく、一人寂しく会場入りしなくてはいけない。

私たちより先に来ているのかと会場内をそれとなく見渡すがいなかった。

後から来る人物を見ていくが卒業パーティーが始まった今でもリーディアは会場に現れない。

卒業パーティーだけど在学生も見送る側として参加する。両陛下も参加される為、不参加というのは余程のことがない限りありえない。どうしたのかと表情に出さずに考えているとレオンハルト様から声が掛かる。


「行くぞ」

「・・・はい」


いつの間にか陛下の挨拶も終わりダンスの時間となっていた。卒業パーティーの始まりはその時の一番爵位の高い者が先に踊る。今年はもちろん王太子であるレオンハルト様と婚約者である私だ。

レオンハルト様に手を引かれ中央へと移動する。

ドキドキと胸が高鳴り、表情に出さないように努めながら冷静に進んでいく。そして会場の中央に到着し、レオンハルト様と向かい合う。見ればレオンハルト様が優しく微笑んでいて、頬が赤くなるのを抑えられない。それに気が付いたのかレオンハルト様は更に笑みを深める。更に私は胸を高鳴らせ・・・これエンドレスだわ。


気持ちを落ち着かせる為、キッと強くレオンハルト様を見上げる。するとレオンハルト様は動揺したように視線を一瞬彷徨わせる。


?どうしたのかな??

私の疑問が解消される前に音楽が鳴り始める。そしてダンスが始まった。


一曲目は緊張で周りが見られなかったけれど、二曲目で他の人達も踊り始めると周りを見る余裕が出てきた。と、その時会場の扉が開いた。


リーディア!


開いた扉から入ってきたのはリーディアだった。

リーディアは困惑顔で周りを見回したかと思えば、中央で踊っている私たちに気づき驚きの表情を浮かべる。

だが次には苛立ちを隠すことなくこちらに近付いてくる。踊っている私たちに向かって。


え、まさか


「ちょっと!」


そのまさかだった!

リーディアが声を掛けてくる。音楽はもちろん鳴り止んでいないし、私たちも踊ったまま。


「レ、レオンハルト様」

「どうした?アーネスト」

「いえ、声を掛けられて」

「今はダンス中だ。気にすることはない」


私はレオンハルト様にだけ聞こえるように小声で話し掛けたが、レオンハルト様は止める気はさらさらないようでリーディアを無視したまま踊り続けている。


というか純粋に凄いなと思う。


あの図書室でのことがあってからもイベントは起こっていたけど、それまで以上に冷たくあしらわれ、今日だって誘われていない。それなのにこうやって声を掛けてくる。その執念というか、執着というか、とにかく凄いなと思った。


リーディアの奇行に周りから視線を集めているが、それには構わず私たちの様子に更に苛立ちを募らせたリーディアが、なんと踊っている私の腕を掴んだ。


「止まりなさいよ!」

「っ!?」


急に腕を引かれた為、バランスを崩し引かれた方に体が傾く。踏ん張ることも出来ずダンスの衝撃を予想してぎゅっと目を閉じる。けれど、予想していた衝撃はなく代わりに暖かな何かが私の体を包み込む。

そっと目を開けるとレオンハルト様が私の腕と腰を自分の方に引き寄せ抱きていた。


って、だ、抱き締められてる!?!?


フワッと香る爽やかな香りが、私の体を支える腕が、近すぎる距離が、その全てにドキドキとしてしまい体は銅像のように固まってしまった。

いつの間にか音楽は止まり、踊っていた人々も踊ることを止め私たちを遠巻きに見つめていた。いや、周りで踊っていた人だけではなく、夜会に参加している全員がこちらを見ていた。


「・・・ダンスの途中で声を掛けるだけでなく、腕を引くなんて無礼なんじゃないか」


冷たく咎める声が私の上から聞こえてくる。そっと顔を上げれば端整な顔があり、しかしその目は冷酷とも言えるほどの冷たさを宿しリーディアを睨んでいた。

一瞬あまりに近すぎる顔の距離に思わず状況を忘れ見惚れてしまった。


そんな顔も素敵・・・・・・はっ!違う!違う!

今はそんな時じゃなかった!!


私はずっと見ていたいのを、グッと我慢して視線を正面へ向けた。そこには、驚愕の表情で立っているリーディアがいた。



この話もあと少しで終わりです。

もう少しお付き合いいただければと思います(^-^)

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