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16/21

その目に私は・・・。

色々な方からご意見や感想をいただきました。

ありがとうございます!

この場面は始め予定していなかったので、読んでいて「ん?」と思う場面も多々あるかもしれません。すみません(汗)

寛容な心で読んでいただければと思います。


「・・・」


私は咄嗟に声が出なかった。

これまでゲームのようにイベントは起きてきた。私が関係しているイベントだとしても。でも全て違う結果になった。それは今までレオンハルト様の反応が違ったり、私がその場にいなかったりしたからだ。

けれど今回は私がいて、決定的な物まで持っている。

どくどくと心臓が耳元で鳴っているようだ。


「アーネスト」


レオンハルト様の声が聞こえる。心なしか私を責めているように聞こえる。

まだ心臓が落ち着かない。けれど声に逆らえずレオンハルト様を見る。


先程と同じように真っ直ぐに私を見ている。その目は私が想像していたようなものではなかった。

あの時から、努力を認められた時から私を見る目と何も変わっていない。


レオンハルト様・・・


私はふっと息を吐き、煩い心臓を落ち着かせる。


大丈夫、ゲームのようにはいかない。

今の私とレオンハルト様なら、大丈夫。


「レオンハルト様!アーネスト様がやったんです!早くあの人をっ!」

「アーネスト」

「・・・はい」

「リーディア嬢はこう言っているが」


リーディアが焦れたようにレオンハルト様の腕を引きながら訴えている。レオンハルト様は、それをチラッと見てから私に声を掛ける。

その目も声も先程と変わらない。

それが逆に私に勇気をくれる。

いつの間にかレオンハルト様の隣にいたお義兄様は、何も言わないけれど少し心配そうにこちらを見ている。

私はスッと背を伸ばす。


「・・・いいえ、私はやっていません。」

「何言ってるのよ!あなたがやった「黙れ」え?」


私がそう言うとリーディアがレオンハルト様の腕を引きながら私がやったと言う。だがそれをレオンハルト様が冷え冷えとした声で遮りる。


「今、私はアーネストに聞いている。・・・それからいつまで腕に触れている」

「え、あの・・・?」


レオンハルト様に言われたことが上手く理解出来ていないのか、困惑した様子のリーディアにレオンハルト様は不機嫌そうな表情になる。


「リーディア嬢、君が入ると少しややこしくなりそうだ。こちらにいなさい」


お義兄様もレオンハルト様の様子に気づき、リーディアの腕を引きレオンハルト様から離す。困惑したままのリーディアだったけれど、レオンハルト様から放たれる空気やお義兄様の反論を受け付けないという様子に大人しく従う。

私はそれに、ほっとして改めて話し出す。


「結論から申し上げるならば、先程言ったようにリーディア様がご自身で傷つけました」

「では、なぜお前がそれを持っている?」

「・・・初めから説明させていただいても?」

「あぁ」

「ありがとうございます」


そして私は自分が勉強の為ここに来たところから話し、レオンハルト様たちが現れたところで話終える。

その間レオンハルト様はじっと私を見ていた。そして私が話終えると今度はリーディアへ視線を向ける。お義兄様もそれに気がつき、それまで掴んでいた腕を離す。


「リーディア嬢、アーネストの話と君の言ったことは違うようだが?」

「そんなっ!私を信じてくれないんですか?!怪我もしてるのに!」


リーディアは腕を離されると、すぐにレオンハルト様に近づき懇願するように見つめながら自分が正しいのだと言う。レオンハルト様は煩そうにしながらもリーディアに返事をせず、私に視線を戻した。


「アーネスト、それを見せてくれ」

「はい」


レオンハルト様は私がいまだに持っていたペーパーナイフを指し手を伸ばしてくる。私は血がつかないように気を付けながら、持ち手をレオンハルト様の方に向けて渡す。

レオンハルト様は何かを確認するように渡されたペーパーナイフを見ている。そして一通り見るとリーディアへ向き、ペーパーナイフを見せる。


「これで切りつけられたのか?」

「は、はい。本当に怖かったです」

「・・・これでアーネストが君を傷つけた、と」

「そうです!」

「・・・質問を変えよう。君は何故ここに?」


レオンハルト様はリーディアの返事に少し考えたようだが、それには追及せず質問を変えた。その質問にリーディアはキョトンとしたがすぐに持ち直す。


「もちろん本を読みに来たのです。・・・そしたらアーネスト様が先にいらっしゃっていて、私に気が付くといつものように色々言われて・・・私、怖くって、動けなくなってしまって・・・そしたら、目障りだと言って持っていたペーパーナイフで切りつけてきて・・・本当に怖くて」

「・・・では、このペーパーナイフはアーネストの物だと?」

「えぇ、そうです」


はっきり答えたリーディアにレオンハルト様は口の端を上げくっと笑う。それにリーディアも気がつき、不思議そうに見上げる。


「レオンハルト様?」

「これはアーネストの物ではない」

「え・・・いえ!これはアーネスト様が持っていらっしゃったものです!」

「・・・」

「それはないな」


レオンハルト様ははぁと呆れたように息を吐き出す。そこでお義兄様も口を挟む。

それに慌てるのはリーディアだけ。わかっていないのも彼女だけ。


「え、で、でも」

「リーディア嬢、フィラルド家の者は家紋の入った物を使っている」

「・・・え」


リーディアは唖然としてお義兄様を見ている。お義兄様はレオンハルト様からペーパーナイフを受けとると「これには家紋が入っていない」とリーディアにも見えるように持つ。


「全ての物がそうではないが。公爵家ともなると色々ある。・・・例えば公爵家の物を使って罠に陥れようとしたり」

「・・・誰か別の人の物を使ったのかもしれません」

「誰の物を使ったと?アーネストは最近は私たち誰かと行動を共にしていた。・・・まさか私たちの誰かだとでも言いたいのか?」

「え、いえ、そんな」


レオンハルト様の言葉にリーディアは目に見えて狼狽える。

その時、こちらに向かってくる足音が聞こえた。


もう少し続きます。

お付き合いいただければと思います。

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