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15/21

これは必然なのでしょうか

なんとか次を上げることが出来ました。

お約束ですね。


その日、私は珍しく一人で図書室にいた。

今は試験前でもない為、人は少ない。更に勉強の為のスペースとなれば私以外で3人しか利用していなかった。

ここは図書室の中でも更に奥まった場所にあり、図書室内でも仕切りがあり簡単に区切られており、静かに勉強出来る為、時折利用することがあった。それでもレナイナたちと一緒に利用していた為、一人でここに来るのは初めてだった。

みんな忙しそうだったから一人で来たけど、思った以上に人が少ない。一瞬利用することを止めようかとも思ったけど、これまでなんだかんだとイベントはあったが全てゲームとは違った結果となっていたことや、私のことを信じてくれている人がいることで気が緩み、大丈夫だろうと安易に考え結局利用することにした。




えーと、私たちの国と隣国のマナーの相違点は・・・。


最近では国内だけではなく、隣国など外交のある国についても学んでいる。もちろんレオンハルト様の役に少しでも立てばと思ってのこと。国外のことについて書かれている本は基本的に図書室から持ち出し禁止となっている。そこもここを利用しようとした理由の一つ。




私は周りの音も聞こえないくらい集中していた。そして気がつかない内に、この場に私一人になっていた。


ふと強い視線を感じ、本から視線を外しその方向スペースの出入り口を向くと、そこにはリーディアが立っていた。

私は思わずビクッと体を震わせてしまう。


実はヒロインであるリーディアと二人きりで会ったことはなかった。今まで会ったのは他の人もいる教室ですれ違ったり、レオンハルト様と一緒の時だったりで直接話したこともほとんどない。


私はこの状況をどうするべきか瞬時に考える。

このまま気づかなかった振りをして勉強を進めるのは、目がバッチリ合った今無理。と、なればさりげなく視線をはずして出ていこう。この場にリーディアと二人きりはよくない。


私はニコッと微笑み今読んでいた本を自然に見えるように閉じる。微笑んだ時、一瞬リーディアが眉を寄せたように見えたけど一瞬だったし、私もすぐに視線を外したからわからない。

本を閉じ元の場所に戻す。その流れで机の上のノートなどを片付ける。


・・・近づいてきてる。


本人に気付かれないようにリーディアの行動に意識を向ける。リーディアの表情までは見えないけれど、一直線に私に向かってきている。


お、落ち着いて。リーディアはゆっくり歩いてる。

ここで慌てれば彼女も反応しちゃう。

落ち着いて、落ち着いて・・・。


私は急ぎたくなるのを抑え込んで、意識していることを気付かれないように片付ける。

ようやく全て片付け終わり私物を持つ。


これでっ!


後はここを出ていくだけ。そう思って私物を持つ手に力を込め、下げていた視線を上げて、一歩を踏み出す。


ガシッ


「っ!」


誰かに右腕を捕まれる。

いや、私の他にここにいるのは一人だけ。捕まれた腕を見て、その先にいる人物、リーディアを見る。

リーディアは私が視線を下げた瞬間に一気に距離を縮めたらしい。にやっとおよそヒロインとはいえない笑みを浮かべる。

ゾクッと嫌なものが一瞬で体を駆け巡る。離れたいのに何か得たいの知れない恐怖で動けない。そんな私の様子が分かったのかは分からないが、リーディアは浮かべていた笑みを深め、腕を掴んでいる手とは逆の手をまるで見せつけるかのようにゆっくりと持ち上げる。


「っ!?」


その手にはペーパーナイフが握られている。


まさかっ!?


驚く私にリーディアはペーパーナイフを持った右手を振り上げる。私は咄嗟にノートなどを持った手で顔を覆う。だが、想像していた痛みも衝撃もない。その時、前方から呻き声に似た声が聞こえた。


「っい!」


いつの間にか腕は離されていた。顔の前に上げていた腕を下ろすと、衝撃の光景があった。



「な・・・に?」


リーディアはいた。立っている位置も変わらずに。ただ、その右の太ももから血を流していた。


彼女は振り上げたペーパーナイフで自分の足を切ったのだ。

狂気としか言えないような行動に驚き、私は動けない。だがリーディアが再度ペーパーナイフで自身を切りつけようとしたのを見て咄嗟にノートなどを床に投げ彼女の手を握り、ペーパーナイフを取り上げる。それは呆気ないほど簡単に手放された。


「なんで、こんなことを」


私はさっきまでの状況を忘れリーディアの顔を見ると、あの初めに見せた笑みを浮かべていた。そして、


「きゃーーーーーー!!!!!」

「・・・・・・え」


訳が分からずペーパーナイフを持ったまま固まる私。その私の耳にバタバタと足音が聞こえる。

その足音にハッとしてペーパーナイフから手を離そうとした時、扉が開いた。


「今の声はっ・・・!?」

「レ、レオンハルト様!」


そこに現れたのはレオンハルト様。レオンハルト様の後ろからお義兄様も入ってくる。


「これは」

「レオンハルト様!ロイド様!助けてください!!アーネスト様がいきなり!」

「あ・・・」


リーディアを傷つけたペーパーナイフは少量の血が付いており、そしてそれを持っているのは私。


やられた!!

バカなの!?私は!!

こんな古典的な罠に嵌まるなんてっ!


客観的に見れば私がリーディアの足を切りつけたようにしか見えない。レオンハルト様もお義兄様も驚いてこちらを見ている。


「違います!これは彼女が自分で切りつけたのです!」

「自分で自分を切りつけるなんてするわけないじゃないですか!」


そう言ったリーディアは足を庇うようにしてレオンハルト様たちに近づく。


「ア、アーネスト様が私に目障りだからって、持っていたペーパーナイフでいきなりっ!こ、怖かったです」


リーディアはそのままレオンハルト様にしなだれるように抱きつく。レオンハルト様は我に帰ったようにハッとしてリーディアと私を交互に見比べる。


「レオンハルト様・・・私は」

「アーネスト」

「っ・・・はい」

「・・・お前が本当にやったのか?」


レオンハルト様は真剣な表情で真っ直ぐに私を見ていた。


目の前のレオンハルト様が、ゲームで悪役令嬢を責めているレオンハルト様と被って見えた。


次は多分4月になってしまうと思います。

少々お待ちいただければと思います。

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