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厨異魔天 第1章  作者: わけわかめ
第1章 ジャポンって色々混ざりすぎ
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第5話 ギルドの金は無尽蔵じゃない

ようやくたどり着いた冒険者ギルド。

まわりの建物よりはデカイ。

住宅街の中に唐突にスーパーがあるような感じ。

扉も二つあり、入口と出口が分かれているようだ。

寝ているスラリンを鞄に押し込んで…

「さて…行くか」

「テンプレが来ないことを祈ろう…」

「……なにかあるの?」

中は思っていたよりも片付いていて、その一角に目的の場所が。

「ここは登録・依頼カウンターです。何か御用件ですか?」

自然な笑顔で微笑む受付嬢。

流石一般用の受付嬢なだけはある。

人を不快にさせずに和ませれる笑顔だ。

「わしを含めた三人の冒険者登録。」

「承知しました。では、ここに必要事項をお書きください。代筆が必要でしたらお申し付けください。」

…日本語でいいか…っていうかそれ以外も全部日本語っぽいな。

言語に関しては心配しなくてもいいか。

パーティ名もあれの流用で登録。

名前だけ自分に書かせて提出した。

「はい、受領いたしました。登録料の、お一人当たり銀貨1枚、しめて3枚はお持ちでしょうか?お持ちでない場合は、無利息で貸し出すこともできます。」

んー…あったような…って金額ギリギリじゃねえか…使いすぎだろ

「…どうぞ」

丁度銀貨3枚を支払う。

「1…2…3…はい、丁度。では、ギルドカートを作成いたしますので、暫しお待ちください。」

一旦受付から出て、待合スペースに行く。

結構質のいいソファーだな。

「あー…やわらかーい…きもちいい…」

「…寝転がるな 邪魔だ」

「……はいはい」

BOYは小さな本棚の方に行った。

適当なやつらを鑑定しているが、やっぱり普通は体型とステータスの偏りは大体一致するんだな。

筋肉質なやつは攻撃とか防御が高いし、細身のやつはスピードアタッカーが多い。魔力が多いやつは見るからに賢そう。

それに加え、鑑定も何人か持っていたし、2、3人ぐらいはオリジンスキルを持っていた。

実はそこまで珍しくないのかもしれない。

「わかめー無駄に厚い本持ってきたぞー」

「…いやナニコレ」

ゴブリンでもわかる冒険者ガイド?

猿でもわかるみたいに書くなよ…

後ろのところを見た限り…約700ページある。

著者は副グランドマスター。

多分総ギルド長補佐のようなものだろう。

「読めと」

「そういうこと」

普通だったら読む気にもならないが、暇なことには変わらないので読んでみる。

「あとで内容でも教えてくれ」

ギルドのランクは☆1〜G10まで。

☆10→G1に上がるためには、ある程度の功績や業績が必要。

Gになれば色々とできる幅も増え、一番大きいのは免税と国間の移動自由化。

獲物を追いかけてたらいつのまにか入ってたこととかもあるだろうしな。

早くあげたい…

☆8からはスキルポイントを購入でき……スキルポイントってなんだよ

…通称スキル瓶を飲むとスキルポイントを入手できる?

訳がわからん…

ともかく、ランクが上がれば上がるほどいいことがあるということ。

ただし、☆7からは強制依頼と指名依頼もある。

名前をできるだけ知られないようにしよう…

次は…解体料金について。

依頼を受けた時の魔物の解体料金は無料。

討伐依頼の対象の魔物だけでなく、護衛依頼中に狩った魔物も無料。

だが、討伐目標以外の魔物や、普通の持ち込みは高ランク以外は素材の査定料金の1割を支払わなければいけない。

それでも高ランクになれば免除されるらしいが。

他の面白そうなページは…魔物図鑑だな。

時間になるまで読んでみるか。


「ディファレンツ様ーカードができましたのでカウンターまでお越しくださいませー」

…もう出来たのか

「行くぞ」

「…んにゃ…」

「しゃけ起きろ…」

「わしは先行くぞ」

カウンターには3つの金属で縁取られた木の板が置いてあった。

「これがギルドカードです。再発行にも銀貨1枚が必要ですので、絶対に無くさないようにお気をつけください。」

受け取って確認する。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ギルドカード

所属ギルド 冒険者

登録者名 わかめ

冒険者ランク

所属パーティ名 ディファレンツ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「…色々書いてる…」

「それを持っていれば入場税は免除されます。身分証明にもなりますので絶対に紛失しないようお気をつけください。」

二回言ったよな…まぁ、それだけ無くすなよってことか。

「では、良き冒険者ライフを。」

カードを受け取ったあと、すぐに違うカウンターへ。

「…登録したてなのに…何か魔物を持ってるのか?あるならここに出せ」

次に来たのは見た目はゴロツキみたいなデカイおっちゃんのいる解体カウンター。

素材だけの買取なら別のカウンターがあった。

あとでドラゴンの素材を渡しに行くつもりだ。

「おう。ここに出したら…デカすぎるがいいのか?」

少し考えるそぶりを出した後、カウンターの横を開けて裏へ案内してくれた。

一見怖いが、やっぱりぶっきら棒なだけだな。

ギルドにそんな人材いるわけないか。

案内された先は、コンクリートのような質感の壁に6面を囲まれたザ・倉庫といえ感じのする場所。

「じゃ、この台に出せ」

言われた通りに山の上にいた飛竜を出す。

ギリギリ台の大きさが足りてよかった。

「………こ…これは……」

…やっぱりそうなるよな…竜がレアじゃない訳ないし…ついでに言うとこんなにデカいんだから…

「…ギルマスを呼んでくる。ちょっと待て」

よく見るとこの飛竜ヘタ○ウスに似てないか…?

気になるしもうちょっと観察…

「スカイファイアドラゴンを討伐したのは君かい!?」

…なんかめんどくさそうなエルフが来た…

「一応うちのパーティで…」

「ランクは!?名前は!?」

おっちゃんが解体してくれているのを横目にしながら適当に答える。

「くっ…こんな逸材が隠れていたなんて…」

そんなに悔しそうにされてもな…まだこっちに来て一週間も経ってないし…

「ともかく!君を星8まで上げてあげよう!」

「…わーい」

「…反応薄くない?いやそんなことはいい。パーティメンバー君達も…」

…あー…そういえばもう一個あったな

「っとすみません。もう一つデカイのがあるんですが…」

今のうちに出しておくべきだろう。

「すまないな。もうこのレベルの台がない。」

おっちゃんが片手間に言った。

早く片付けたいのにな。

「…という訳で、後で私の部屋に来てくれ。特別な手続きをするからね。それか、直接呼ぶのもいいけど…どうする?」

「んじゃ今呼びます」

「今呼ぶ?……念話まであるのか…やっぱり逸材だ…」

トランシーバーでサクッと呼ぶ。

「そっちは受付に話を通しておいてください」

「分かった…それじゃ、副マス君に案内を頼んでおいたから、先に行っておいてくれ。」

言い終わると同時に来た恰幅な男に連れられて二階へ。

小綺麗な部屋だが、机だけ散らかっている。

急いで降りてきたんだろうな。

…あっ副マスが片付けてる

手際の良さを眺めていると、足音が聞こえてきた。

「お待たせしたね 」

「やっぱりこうなったかー」

「…はぁ…」

「…なんでみんなそんなにやる気がなさそうなの?一人眠そうだし…とにかく、一旦カードをくれるかな?そのまま新しいのに変えるから」

二人から徴収して手渡す。

「よし、それじゃまたここで待っていてくれ」

そう言い残して部屋の外へ出た。

「あー…暇…」

「今お茶をお持ちします…」

副マスまでどこかへ…って戻ってきた

陶磁器のカップに入れた紅茶がテーブルの上に三つ置かれた。

あんまりただのティーは好きじゃないんだが…

「…うまい」

意外と美味しいなこれ

「ディアで取れた茶葉です。ギルマスが秘蔵してたので使いました。」

ひでぇ…絶対楽しみにしてたんだろうな…

「手続きできたよー これが君たちの新しいギルドカー………」

お茶、頂いてます

「…ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

床に膝を絶叫している。

給料一月分の茶葉だったらしい。

…日頃の鬱憤を晴らせたらしく、副マスの顔は晴れ晴れとしている。

「今日の終わりに…飲もうと思ってたのに……ガクッ」

落としたカードを拾って渡してくれた。

「…という訳で、これが貴方達の新しいカードです。どうぞ。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ギルドカード

所属ギルド 冒険者

登録者名 わかめ

冒険者ランク

☆☆☆☆☆☆☆☆

所属パーティ名 ディファレンツ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「たしかに星が増えてる…」

「Gランクになると星に色が付きます。おそらく貴方達ぐらいの実力があればすぐだと思いますが。」

「…ありがとうございます」

あぁ…この場から早くでたい…ってそうだ

「売りたい素材が大量にあるんですが…」

「それなら…頂ける分だけここで、余った分は次の大物を持ってきた時にいただきましょうか。」

テーブルの上からカップを片付けて、まだ出しやすそうな牙と皮を中心に出す。

それでもまだまだ素材は余っているが、仕方ないな。

「これほど…」

「査定、お願いします」

「分かりました…」

一つ一つ丁寧かつ迅速に確認していく。

「…終わりました。これ…ダンジョン産ですよね。」

全てのアイテムの品質や大きさが全く同じらしい。

言われてみればそんな気もする。

「ここにくるまでにダンジョンを見つけまして…そこにいました。」

「それは……わかりました。この素材分の買取価格は合計で金貨50枚でどうでしょう?」

皮が20枚と牙が10個で金貨50枚か…結構いいな

「んじゃ、それで。…あと、いい家とか売ってたり…」

宿よりは普通に家に住みたい。

「家…代金を持ってくるついでに見てきます。」

5分後。

数枚の紙と皮袋を持って戻ってきた。

「商人ギルドからの定期報告がありまして…丁度物件のことが書かれた紙が届いたので、こちらどうでしょう?」

書いているのは…元貴族の屋敷、大商人の別荘、店舗一体型住居、普通の家…

「和風屋敷!?」

「珍しいですよね…ですがそれ…お値段が…」

諸々込みで金貨400枚。

「…あの竜の素材、全て売るとどうなります?」

あれが安いなんてことはないだろう。

「少々お待ちを……そうですね、軽く見積もりして金貨600枚程でしょうか。それで支払いを…?」

「家、欲しいので。」

「…分かりました…ですが、流石に明日でお願いします。モノがモノですし、手続きもありますから。」

とりあえずさっき出した分の代金だけ頂戴し、『和風』が好きなら、とオススメされた宿へ。

タゴヤの宿といい、この国…ジャポンの色々な街にあるそう。

ギルドから徒歩数分圏内にあり、結構立地も良かったのが理由でもある。

「…異世界に来てまで旅館は来たくないな…」

「変な宿に泊まるよりは行ったことのあるような場所に行く方がいいだろ」

「とりあえず泊まれるならなんでもいい…」

「らしいぞ」

中へ入ると早速女将が現れ、案内された。

部屋に荷物を置き、ご飯を食べるためにそのまま広間へ。

日本文化は服とか部屋にまで現れてるな…これで行くとご飯も…

広間には既に他の宿泊者がいた。

そのメニューは…

「…焼き魚と……麦飯?」

流石にコメは無かった。

期待していただけに少し残念。

「んじゃ食べるかー」

手を合わせて…

『いただきます』

可もなく不可もない味。

本当の日本と比べると…数ランク落ちる。

例えば、外国に行って寿司屋に行ったら、見た目は普通だがクソマズイ寿司が出てくるような感じ。

「…うまいけど…なにかが足んねえ…」

「…それな…」

ひとまず食べきって部屋へ戻る。

「…風呂入りたい…」

浴場は追加料金が必要で、結構なお値段。

今の所持金でいけないこともないが、今日は我慢する。

一人金貨3枚はキツイ。

「とりあえずは明日まで待て。あの図が本当なら風呂があるしな」

「……分かった」

「俺も入りたいけどな…今日のところは節約だ」

「だなー」

もう特に今日はする事もない。

そのまま布団を引いて寝た。


そして翌日。

何事もなく食事を済ませ、ギルドへと足を運んだ。

「おっ…もう来たか。早いね」

例の部屋に案内されると既にギルマスのウナバラが待っていた。

少し名前に親近感を覚えた。

「まぁな。で、素材とかの売却金は幾らだ?」

「ちょっと待って……よし、読み上げるよ。合計金額は金貨が700枚。骨に少しヒビが入っていたから、その分安くなってる。でもそれ以外の素材の質は上々だから色をつけさせてもらった。次の素材も期待してるよ」

軽く確認して収納した。

「次は家だね。本当にあの屋敷でいいの?」

「ああ」

最低ダメだったら作り直せばいいし。

「それじゃ、この契約書にサインして」

特に不備もないのでそのまま記入。

「はい、購入ありがとう」

書類を回収され、代わりに鍵と権利書を渡される。

「これであの屋敷は君のものだ。冒険者になって二日で家を購入するなんて…新記録じゃないか?」

「他のやつなんて知るか…」

「まぁまぁ…そんな冷たい事言わないで…あ、そうだ 奴隷か従者を雇うつもりはないかい?冒険者だから家を開けることが多くなると思うし、その時の家事とかを任せられる人を雇えばいいと思うんだ。」

出たよ奴隷…絶対嫌なんだが

「…なら従者を。出来れば腕っ節の強いやつにしてくれ」

「…ふむ…誰か居たような…少し探してくるね」

数分後。

今度は履歴書モドキを持って戻ってきた。

…流石に顔写真はないか。

「この子だね。名前は…双夢。現役の冒険者で、実力も申し分ない。…でも、条件が少しキツいかも…」

優良物件と思いきや訳あり…

「どういう条件なんだ?」

「…真剣勝負で勝つこと。それ以外の条件は勝負の後で、との事だって。自分よりも弱い人に仕えたくはないんだってさ。」

かなりの手練れ…用心して挑むか…

「それじゃ、その人で。」

「分かった。確か今日は下に居たはずだから、修練場で待ってて。……絶対に死なないように。約束だよ?」

了承の意を返し、入れ替わりで入ってきた副マスに連れられて修練場へ。

変な結界などもなく、作りは円形のドーム球場のようなイメージ。

屋根もないし、建材もレンガや石だが。

ロクな近接武器がトマホークしかないので、軽く素振りを。

…異世界に来てまで漢字の名前があるとはな。

ここの世界共通語が日本語だったり…しないか。流石に。

軽く身体が温まってきたのを感じ始めた頃。

ギルマスが緑がかった銀髪ロングの女性を連れて戻ってきた。

防具もありえないほど軽装だが、腰には二本の『刀』が。

日本の文化入り過ぎ。

だれか知識チートとかした後か?

「お待たせしたかな?この子が双夢君だ。」

「…よろしくお願いします。早速ですが、一つご忠告を。私は手加減はしませんし、怪我をしたり、最悪の場合命を頂くことになるでしょう。それでも、私がいいんですね?」

お辞儀は良かったのに…要するに負けたら知らんぞってことだな。

「分かってる。それじゃ、ルールを決めようか」

「そうですか…ルールはこちらで決めています。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ルール

1,試合中の武器の変更は禁止

2,スキルの使用は無制限

3,決着の方法はギルマスの制止、どちらかの死亡及び降参のみ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「何か不都合はありませんか?なければ早速やりましょう?」

…少し声が弾んできてる…?

「それでいい。ギルマス、開始の合図を」

「ん。コイントスでいいよね?銅貨が床に落ちたらスタート。簡単だろう?」

それには同意する

「いくよ」


手から離れた円は宙を舞い…回転しながら一気に地へ落下した。


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