第22話 Let's go to the next stage
この前の祝賀会は楽しかったな…
なんせ食べきれないほどの料理に豪華な飾り。
いわゆるホームパーティにしては大規模だったんじゃなかろうか。
……ちなみに翌日の朝食も残り物だった。
しばらく続いてそれだけは憂鬱だったな
「マスター…黄昏るのはいいですけど、ステータス確認しますよ」
「…あいよ」
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名前 わかめ(##渡)
種族 Demon Rodd
職業 バトルマスター
レベル 3
ステータス
攻撃力 11400
防御力 5700
素早さ 8550
魔力 8550
スタミナ 5700
器用さ 2850
アルティメットスキル
強化電子頭脳
命令を入力する事により、様々な事を実行する。
アプリケーション▽
オリジンスキル
絶対付与
触れたものにどんなに理不尽でも矛盾していてもその効果を付与できる。残り10/10
スキル
魔改造 悪魔契約誘惑 魂喰
適正武器
双剣巨大槌 両手棍 薙刀
双回転銃狙撃銃 機関銃
ウェポンスキル
双剣のみ、無限加速連撃
巨大槌のみ、惑星破壊
両手棍のみ、そして誰も話さない…
薙刀のみ、完全反射
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ステータスが向上しただけだな…スキルとアプリにも全く変更はなし、と
…もしかしたらわしはスタートダッシュ型でこれ以上は成長しにくいのかもな
「私のステータスも見ますか〜?」
「……なんとなく想像はつくけどな」
どれどれ…
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名前4631
種族 Artificial・Intelligence
職業 電子に巣食う知の小悪魔
レベル 13
ステータス
攻撃力 570
防御力 570
素早さ 20520
魔力 99999999(Overflow)
スタミナ 570
器用さ 20520
アルティメットスキル
強化電子頭脳
命令を入力する事により、様々な事を実行する。
アプリケーション▽
オリジンスキル
記録再現
自身に保存された記録を再現する。
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わしとレベルは同じ…職業とかはもはや突っ込まないからな。
そしてステータス………うん?
「…なぁしろみそ、お前の魔力の値おかしくないか?」
「あー…これですか…私もよくわからないんですよねー…まぁ、大いに越したことはないですしいいじゃないですか!」
「…そうだな」
攻撃、防御、スタミナは貧弱だが…魔力でなんとかするだろ。
「でも私の魔力なのに全ブッパできないんですよねー…詳細不明領域に吸われてるみたいですし」
「ならそれを早く解析しないとな。分からない物が自分の中にあるのは気分が悪い」
いつ作動するか分からない爆弾を抱えたままとか…考えるだけでも嫌だな。
「なら今日はマスターも一緒に解析しましょうよ!話し相手も欲しいですし!」
「…はいはい…わかったから身体を揺するな」
身体の感覚が鈍くなった気がするとはいえ揺さ振られるのは気持ちが悪い。
「それじゃ早速……」
身体を分解して……
「わかめさん大変です!国王の使いが来ました!」
……双夢が走ってきたから中断。
何か急用か?
「…むー…マスターと二人っきりになれると思ったんですけどねー………あぁ、本当に堂々と護送しに来てますね」
「しろみそちゃん説明ありがとう。何やら魔王の討伐の褒賞を与えたいとかで…」
「なら断ってこい…と言いたいがそうも言えないんだろ?」
なんとなく推測はつく。
「ええ…そうなんです。『断るなどこの国の王に泥を塗る行為だ』『来なければ貴様らは指名手配として扱う』などと言っていましたから…」
やっぱりそうか…
「…面倒臭い…全員殺したらダメだよな…」
「わかりますけど…私はこの際にケリをつけておくべきだと思いますよー」
………魂喰も試してみたかったんだけどな。
なんせ名前からして便利そうだ。
戦わずに倒せそうだからな。
…それはともかく、今回の対処を考えよう。
どうやら使いは絶対にわしらを連れて行くつもりらしい。
ただ、これに関してはいいだろう。
しろみそが言っていた通りケリをつけに行くのには都合がいいからな。
後は……本当に後で考えよう。
最低、時空之超越でなんとかなるだろ。
…この家を失うのは嫌だけどな。
「双夢、今すぐ全員集めろ。こうなったら王城へ行こうじゃないか」
「…行くんですね、エンドに。」
「あぁ。こうなったらヤケだ。国が相手でもやるしかない」
今のわしならなんとか…いや、これ以上はただの傲慢か
呼びに行った双夢と別の方向、門へと向かう。
確かに門の前から大量の気配を感じる。
名実共に如何あっても逃さないつもりか。
…逃げようと思えば逃げられるが。
門を開けて外へ出る。
……生で見ると威圧感が凄いな。
あくまでも感じるだけで今じゃなんとも思わんが。
「貴様がわかめか?」
「あー…そうだが?」
外に出ると美丈夫な騎士が前に出て話しかけてきた。
横には厳つい身体の騎士もいるな。
ボディーガードか?
「私はジャポン騎士団第一兵団長のエレゲンス・ヘキシラン今すぐ王城へと同行してもらおう。我が王が貴様らをお呼びだ。無断で魔王を倒したというのに報告もせず姿を眩ましたのにも関わらず貴様らに報償を与えようという我が王に感謝するのだな」
……うっわぁ…こいつわしが一番嫌いなタイプだ…
「はいはい…仲間と協力して倒したんだから仲間と一緒に行って良いよな」
「ああ。貴様とその仲間全員で来てもらう」
「ならいい。…わし一人だけと言うなら皆殺しにするところだった」
「ハッ…先にお前一人で馬車に乗れ」
完全に見下されてるな。
怪しさ満載の女に案内されて少し大きめの馬車に入れられた。
…で、なんでそいつが馬車の中まで入ってきているのかってことだ。
見た目がどうこう以前に雰囲気で嫌悪感が湧く。
「今すぐ出て行け」
「えぇ…どうしてですかぁ……私はあの憎き魔王を倒したわかめさんにぃ……」
「その態度が嫌いなんだよ。お前が視界に入ると殺意が湧く」
右手に湧いた双武装を握りしめ衝動を押し殺す。
…抑えきる間に奴はどこかに行ったらしい。
「マスター、私が好きだからあんなこと言ったんですよね!いやーそれならそうと私に直接……」
「な訳ないだろ」
「痛ぁっ!?何するんですかマスター!」
騒ぐしろみその額にデコピン。
これくらいすれば静かになるだろ。
「うるさい…少し休ませろ…」
「…むー……あぁ、双夢さん達も来ましたね。ただ…別行動ですかー…」
一緒に居させる気はないか。
「俺達はわかめの中からこっそりこっちに来たからな…おっとそろそろ出発か。俺が見張っておくから二人は休んでおいていいぞ」
「…助かる」
「だったらこんぶさん後はお願いしますねー」
「…ろ…起きろわかめ」
「ん……到着か」
昨日泊まったニャゴヤの宿は最悪だった…
宿のサービスは良かったのだがずっと気配を感じたままで全く休めなかったんだよな。
…馬車の中でもほぼ休んでいたがな。
「降りろ。今から来賓室へ案内する」
うざったらしいエンゲレスが来た。
二人はすぐにわしの中へと戻った。
何故かこいつを見てると鼻につくんだが…
知るか。
ただの嫉妬だろ
「貴様のみ別室となっている。付いて来い」
「なんでだよ…あいつらと一緒じゃ都合が悪いのか?」
「我が王の決定だ。逆らうなら…」
…剣の腹を見せて脅すって本当にあるんだな
「わかったわかった…なら早く案内してくれ」
「フンッ…最初から素直にそうしておけばいいものを」
そして案内された部屋は豪華なのだが…やっぱり何かが足りない。
「謁見の時間になるまでこの部屋で待機しておけ。許可が出るまで一歩も外に出るなよ」
「わかったから早く行け」
悪役臭がするな…あいつ……はぁ…
ひとまずソファーに倒れこんで時間を潰す。
こんぶは城を探ってくると言って何処かへ消えた。
しろみそも双夢の様子を見ると外へ出た。
…暇だな……あぁ、詳細も見れず消えた悪魔契約ってのがあったか。
確かアプリの中に契約ってのが…あったな。
少し触ってみるか
「…ふむ…結んだ契約の言霊でお互い縛る…でいいのか?あまりにもうざったらしいようなら王にでも使うか」
武力でもなんでも契約を結べばこっちのものだからな…
「マスターまた悪い顔してますね」
「…帰ってたのかしろみそ」
「少し城の中が忙しくなってきましたから。それに足音も聞こえてきましたよー」
なので私はこの中で待機しておきますねー…出番になったらまた呼んでくださーい♪
「…はぁ」
めんどくさい相棒だな…
「謁見の時間だ。出ろ」
…扱いが囚人と変わらないんだが
ひとまず素直についていく。
無駄な装飾が多くて退屈はしないがウンザリする。
装飾は洗練されてこそ美しくなるものだろうが…
「ここだ。くれぐれも粗相のないように。不敬を買えば……」
「そんなものはどうでもいいからさっさと行け」
双夢達もやってきたようだ。
手早く終わらせて家へ帰るとしよう。
「そんっ……ゴホン、ならば入ろう」
王の間は廊下以上に装飾過多で見ているだけで気疲れする。
それに……
「よく来たな魔王を倒し勇者よ!褒美として余の軍門に下れ!新たな騎士団長の座を授けようではないか!」
…王もこの体たらくだしな。
まだ子供のようだし、体はでっぷりと豚のように太っている。
服も赤と金の布地に宝石ばかりを天の川のように散りばめていて唯一由緒ありそうな王冠よりも高そうだ。
よくこれで国が持っていたな。
…あぁ…イライラする……
「断る。地位よりも現品報酬を渡すかさっさと帰らせろ」
後ろの双夢から呆れのため息が聞こえた気がした。
…仕方ないだろ…つい言ったんだから…収集はつけるから許してくれ
「なっなにをー!?」
「その腐った耳じゃ聞こえなかったか?興味は無い。軍門に降る気は無いからカネかモノだけ寄越してさっさと帰らせろ」
「ふっ……不敬だ…不敬だぞ…この国の王たる余に…っ!」
「ハッ…お前のようなガキが王?何だ、ジョークのつもりか?面白く無いから早くお前の父を出せよ」
右手の『殺意』を相手の眉間に向けて突きつける。
マスター…やってしまいましたねー…
そりゃあんな気持ちの悪い顔されたら誰だってキレる
「…けい…死刑じゃ……っ!?」
何かを叫ぼうとしたようだが無意味。
時間を止めガキの目の前まで移動しこめかみに銃口を当てる。
こんぶも趣旨を汲み取って軽く制圧してくれた。
「黙れ。次喚いたら即これを撃つ」
何だろうな…一瞬で勝ち誇ったような顔から恐怖へ染まる瞬間に湧いたこの感覚は…
……あれ、今正体不明領域が動いたような気が
気のせいだろ。
そんなことよりしろみそ、契約でこいつを傀儡にするから手伝え
…わかりましたよー…内容はどうします?
今から言うから聞いておけ
「なっ……ななっ……!?」
「最初に言っておくがわしはこんななりだが一応悪魔だ。それを怒らせたんだから……それ相応の報復は受けてもらう」
「あ…悪魔だと!?」
おお、想像以上にビビってるな
「そうだ。まずはわしへの絶対服従を誓ってもらおう」
「そそっそんなこと…ヒイッ!?」
ワザとリロードをして音を立てる。
「しないならこれを…」
「分かった!従う!何でもする!だから魂だけは!」
「ああ…素直に言うことを聞いてくれるならいいんだ…そしてこの国の宝物庫とお前の持っているわしが欲しいもの全てを頂こう。何、国が存続できる程度には置いておくさ」
…マスター…哀れな子羊にふっかける外道みたいな事になってますよー
「もちろんこの国を支配するのはお前のままだが…少しでも横暴な態度を取れば即座にお前を殺しこの国を乗っ取る。なんせこの国は気に入ってるんだ。潰したくは無い……」
住み心地はいい。
ただ上層部が腐ってるだけだ。
そのトップがやってきたんだから仕掛けるなら今しかない。
それとしろみそ、つまらないことだけ言って仕事ができてないなら…
あーっできてますよできてます!
だから私のポテチだけはーっ!
…じゃ、実体化してささっと終わらせてくれ。
いい加減こいつの顔も見飽きた
「ど…どこから……!?」
「こいつはわしの相棒だ。動くなよ?動いたら痛みを与えるからな」
そう言うと観念したかガキは大人しく目をつぶった。
最初からそうしておけばよかったのにな
「………はい、終わりましたよ、マスター」
…もしかしてこのガキ泣いているのか?
まぁ、もうわしには関係ないことか。
「よし、ならそいつの宝石を全て剥ぎ取った後…双夢、少しマシな服でも仕立ててやれ。外の国に出しても恥ずかしくない程度にはな」
「…了解しましたわかめさん」
…しろみそにも負けず劣らずのジト目を食らった気がする
双夢がガキを連れて外へ出るのを確認しつつさらに指示を出す。
「こんぶはそいつらをもう解放していい。わしらに手を出したら速攻でこいつの命が飛ぶだけだからな」
「もう終わりか。面白い見世物だったな」
「そして宝物庫に行って必要なものを見繕った後、城の中もマトモになるように設計し直してくれ。次来るときもこんなに目が疲れる思いはしたくない」
…疲れる目ももうないが。
「まーためんどくさいことを…で、その金はどこから出る?」
「さっき言った必要なものからでいい。…こう言う時にBOYがいてくれればいいんだがな…無い物ねだりをしても仕方ない。しばらくこんぶには作業をお願いする」
「予算度外視の再設計か……この規模は腕がなるな」
…喜んでいるならいいか。
「おゆはその手伝いを頼む。スラリンは…家で遊んでいていいぞ」
「やーだー!ぼくおゆといるー!」
はぁ…仕事の邪魔になるから……
「あ、あの…こう言っているので…私は構いませんから…」
「……なら勝手にしろ」
本人がいいならいい。
「しゃけは…しばらく全員の移動手段として役立ってくれ」
「待って私だけ扱いヒドくない!?」
「ヒドくないヒドくない。適材適所ってやつだ」
少し人手不足で役割過多でもあるが…過労死しない奴に押し付けてあるから問題ないだろう。
「はぁ…いいけど。後払いでもいいからきちんと金はちょうだいよ」
「…あいよ。最後にしろみそは復興事業のプロットを建てられるか?お前にとって情報収集と解析と利用はお手の物だろ」
「イエスマスターッ♪なら早速作業に入りますね〜♪」
よし、これでいいか。
「それじゃお前ら!サクッと事故処理終わらせるぞ!」
『おー!』
「…え、今の返事するところだったの」
「そうだな」
ともかくこれでこの国の冒険は終了だ。
わしは先にさっさと作ったポータルで白玉楼へ帰ってきた。
よし、寝るか…と思ったその時。
「わかめ!俺は帰ってきたぞ!」
…門の前に見覚えのある必要としていた人影が。
「ああ…帰ってきたか…BOY!」
そう、行方が分からなかかった最後の仲間。
BOYだった。
そして、彼らに持ち込まれたある依頼によって…彼らは次の冒険の舞台へと旅立つ。
次の舞台は西へ飛んだ先の国家群、通称『妖州連合』。
燃えるような学園生活、彼らはどう過ごすのだろうか……
第2章へ続く。
ということでこの厨異魔天の第1章は完結いたしました。
この後は暫く間をおき、V現等すこし手を休めながらストックを貯めて第2章を開始すると思います。
長くはなりましたが、お楽しみいただけたのなら幸いです。
次の第2章にご期待ください。




