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厨異魔天 第1章  作者: わけわかめ
??? First,Reboot.
22/24

第20話 Trak Obstacle

……Sorry……Sorry………

「…っと!?」

わしらの入った球は再建中の街の一角、見覚えのある屋敷の大木の麓に一度ホバリングして着地した。

「いったた…」

「つぅ…尻打った…」

「ここは…どこでしょうか…?」

三人もわし後ろに着地したらしい。

そんなことより、こっちに向かってくるのは……

「御主人様ぁっ!生きてらしたんですねぇっ!?」

避難させておいた双夢だった。

家事の途中だったのか、抱きしめられた腕は少し湿っている。

「まぁ…一応な。双夢達は無事だったのか?」

「…一緒にいたおゆさん、時間切れで帰ってきたドール、それとこんぶさんはここにすぐ帰ってきました…」

…歯切れが悪いな。

やはり…

「…BOYさんはまだですが…しゃけちゃんは帰ってきました。ただ、種族が変わっていまして…御主人様は変わっていないようでよかったです」

「……すまないがわしも種族が変わっている。Demon rodeだ。同じく後ろの三人も悪魔達だ。…悪い奴等じゃ無いから警戒する必要はないぞ?」

「そ…そんな…では、やはり御主人様も一度死んで…」

「…らしいな。代わりに能力スパコンが強化されたし…」

「私も生まれましたしね!」

…そうだな。

しろみそが増えたのもいい事か。

「この子は誰でしょう…今何もないところから出現したように見えましたが…」

「こいつの名前は4631。本人的にはしろみそがいいらしい。簡単に説明するとわしの能力の一つだ」

「……大方あってますね。正しくは能力の一つではなく、能力を使ってマスターの欲望から生まれた知能体、ですね。例えば、もしもマスターから能力が消えても私は存在しますし」

「な…なるほど……?」

…そうだよな、わしでさえ完全には理解してないのに双夢に分かるわけないよな。

「つマりオレと同じヨウなモノっテコとだロ?よろシクな、4631」

「…よろしくお願いしまーす」

出来たドールとしろみそが握手を交わす。

…あぁ、ドールに伝えるべき事があったな。

「ドール、お前の妹らしいやつに会ったぞ。フィアって言うんだが…」

「…フィア?フィアに会ッタのカ!?オい、何処だ、教えロ!」

そう告げるとドールは押し倒す勢いで掴みかかってきた。

すぐに双夢が説得し落ち着かせて引き剥がしたが…今の反応からすると、あいつが言ってた事は本当なんだろうな。

ただ…コイツ(ドール)が女王、それも名君だったとは到底想像できないが…嘘は言ってないようだったし、これも本当の事だろう。

「…はぁ…ハァ…ワタル…そレデ…フィアは…何を伝エてくレト…?」

…最終的に説得(物理)になっていたがわしは知らない。

知らないったら知らない。

「…性格も荒くて、気まぐれな姉様のこと、改めてよろしくお願いします…だと。いい妹を持ってるんだな」

これはもしかして…珍しく…泣いている?

「フィア…あァそウだナ…オレノ自慢の妹ダ。詳しク話を聞きタイんダガ…」

「わかりました…なら、回線をつなぎながらですけど私が話しますね。マスターは双夢さんと現状と積もる話でもしておいてください」

「あいよ。それじゃ双夢、お茶入れてくれ。コイツらを外に出してくる」

「了解しました御主人様…いえ、今更ですけど、御主人様は死んだので契約が途切れてましたね。…これからはなんと呼べばいいんでしょうか…」

……あ、そうか…わしは一回死んでるから契約とか全部踏み倒してるのか…

「…別に、好きに呼んでくれて構わん。これまで通りでも、わかめとでもなんでもいいぞ。」

「わかりました…わかめさん。これからもよろしくお願いします」

「…よろしく」

少し握手を交わして三人に近寄るが…

「…あの、私達はご飯が食べたいんだけど…」

…こいつらがこっちにきた目的は飯だったな。

「…双夢、一つ注文を増やすが、コイツらの飯は作れるか?」

「確認しますね…はい、大丈夫ですよ。もしかしてその人たちは…」

「御察しの通りわしと同じ悪魔だ。悪い奴じゃないから安心していいぞ。飯が食いたいからとわしについてきたハングリーだし、何か簡単なものでもいいから出してやってくれ」

「わかりました…ではカツ丼を作ってきますね。わかめさんも召し上がりますか?」

「そうだな…いただこう。久しぶりに双夢の飯が食いたい」

…というか、不眠不休一週間ぶっ通しでレベル上げをしていたから流石に何か食いたい。

……ん?わしは本当に、死んでから一週間(・・・・・・・・)しか経っていないのか?

生き返るまでのタイムロスを失念していた…

もう双夢は料理しに行ったが後で聞いてみるか…

「ご馳走になるが、いいのか?」

「こっちにきた祝いだからな。気にしないでいい。そんな事より、今から食べる物の心配でもしておけ。双夢の料理はわしが作ったものよりも数倍うまいからな」

…年季が違うのかもな。

「本当ですか!?」

「やったわね!最初から絶品よ!」

「わかめについてきてよかったぜ…!」

「喜ぶのはいいが、わしは先に部屋に行くぞ。落ち着いたらついてこい」

…こりゃ話を聞いていないな。

仕方なく一人で居間に向かうと…文字通り天使がいた。

比喩ではないんだが…待て、さっき双夢が言っていたよな。

しゃけは帰ってきたが種族が変わっていると。

…なら…

「…なぁ、しゃけか?」

「……あ、わかめ…わかめも生き返ったの?」

羽根を枕にして横になっていたしゃけは、声をかけると天使らしい部分を消してから起き上がって反応した。

…あれ、わしって悪魔のはずなのにツノと羽根ってないよな。

もしかして出せるのか?

試してみるか。

そうだな…身体から生やすようなイメージで…

「…よし、出せた……っ!?」

待て待て待てっ…!?

身体の中で何か煮えたぎるような物がゆったりと流れている感覚…これは…もしかして…!?

……ええ、御察しの通りわたくしです。

知らずにわたくしを起こしたようですが…

力を無理矢理引き出すという事は、わたくしを叩き起こすことと同義。

今回は(・・・)、わたくしはこのまま再び眠りましょう。

ですが次からは…ふふっ、どうなっても知りませんよ、表。

軽口を返すことも出来ずに熱さは引いた。

身体にはなんともないが、精神的に…

「はぁっ……はぁ…」

「わかめ!?急に倒れてどうしたん!?」

「安心しろ…ちょっと疲れて倒れるだけだから…飯ができたら起こしてくれ…」

少し寝れば落ち着くだろう……

マスター!?今原因不明のエラーが起きたんですけど!?お陰で回線接続作業進捗もパーになりましたし!何かしました!?

……しろみそ…安心しろ…ちょっと想定外の奴が来ただけだ…休めば問題ない…

えっちょっとマスター!?おーきーてーくーだーさーいーよー!

…うるさい…寝かせろ……

はぁ…わかりましたよー…とりあえず、さっきのエラーはマスターの身体にある詳細不明存在領域(ブラックボックス)からみたいですね。

それにAIのバグもここからですし…消せませんね。

マスターのDemon rodeとしての力もここと半ば融合して出力されてますし…私の進化電子頭脳スーパーコンピュータも少し侵食されている……?

いえ、逆ですね。

私が割り込んだいるような形になってます。

どういうことなんでしょう…?

…しろみそ、推測するのはいいが頭の中でしないでくれ。

寝れない

……結局起きてるじゃないですかマスター…なら手伝ってくださいよー

わしが下手に邪魔するよりも詳しいお前がやればいいだろ…わしは力の流れがどうとかはよくわからないからな。

しろみそに全部任せる。

……丸投げしないでもらえますかー?

任せてもらえるのは嬉しいですけど…少しは手伝って欲しいです

気が向いたらなー

…はぁ…あ、マスター、双夢さんがカツ丼出来たって言ってますよ

……全く休めなかった…

私は知りませんー

マスターが勝手に自爆するのが悪いんですー

「…はぁ……」

周りもうるさかったしな…こんの現地悪魔三人組が…

「わかめさん、カツ丼できましたよ」

「…ありがとさん」

礼を言って食べ始める。

…懐かしい味だ…感覚的には二週間ぐらい前の筈なのにな

「うまっ…うまいっ……うますぎるっ……!」

…ソビは一ヶ月地下労働の後のビールを飲んだ時のような顔をして、

「ぐすっ…美味しすぎて涙が止まらないわ…」

セバもグルメ漫画で出るような美味しさに身体が震えるという状況だし、

「………………」

リーブに至っては悪魔なのに最早食の仙人と化している。

…こいつら本当に悪魔なのか?

マスターが言えたことじゃないですけどねー

…ほっとけ

「ごちそうさまでした。双夢、後片付けも頼んでいいか?」

「はいっ!」

少し嬉しそうだな。

わしがいない間に何かあったのかもな

「…マスター、どこからどう見てもあれマスターが帰ってきたからですよ」

「……あー…そうかもな…」

消息不明の雇い主が帰ってきたならそうなるか…

「それでも一週間くらいだろ?」

…いや、半年と二ヶ月だ。

久しぶりだな、わかめ?

また何か声が聞こえたかと思えば…前にいたしろみその横の縁側に座布団を敷いて正座しながら茶を飲んでいるこんぶが。

「…要するに約八ヶ月だな。少し肌寒いだろ?」

…確かに言われてみれば…さっきまで感じていなかったが、肌寒いか。

防具()にも少し違和感がある…?

「魔王はまだわかめが死んだ時に貼られた結界の中にいるんだが…再び各地に魔物が現れてな。前はここには出現しなかったのに、気持ち悪い触手野郎が出てきやがった。…そのお陰で再びサンドワームに襲われたチュックは冒険者が足りずに全滅だ。今は討伐隊が組まれているところだな。…さて、わかめ。魔王にまた挑みに行くか?それとも…サンドワームを先に倒すか?」

「…そりゃ…もちろん……魔王だ。元凶を先にぶっ潰す。自分の仇を取り行くためにな。…言ってなんだがシュールだな。お礼参りの方がいいか」

「ハハッ…実は俺も御礼参りがしたかったところだ。サンドワームなんて砂に潜って面倒くさいからなァ!」

…こんぶもテンションおかしいな

マスターが戦ってる時もテンションが上がると同じように笑ってますけどねー

…嘘だろ

「…ふぅ…とにかく、準備が出来次第出発だ。そして食ってるそいつらは…」

「置いていく。どんな邪魔になるかもわからないからな。最低ウナバラに押し付けてくりゃいい」

どうせ働いてないだろうしな。

…いや、復興の雑務で追われてるか?

まぁ、どうするにしても押し付けるが。

「…悪魔になって性格も変わったか?」

「知らんな。とにかく今日は休む。わしは特に準備するものはないしな」

「…そうか…なら、空いた時間で俺が装備の手入れをしておく。ほら、早く渡せ」

「はいよ。……ん?」

双剣と双回転銃…めんどくさいから双武装とでも呼ぶか。

ともかく、合体している双武装の右を渡そうとするとわしの右手に戻る。

…合体していない左も少しカタカタと動くが、無理矢理渡せばなんとかなった

「…仕方ない。それ以外はやっておく。久しぶりに帰ってきたんだから、今日は休んでおけよ。」

「…あいよ」

そう言ってこんぶはまた消えたが、作業場に行ったんだろう。

「それじゃ私もマスターの中で寝させてもらいますねー…おやすみなさい、マスター♪」

…しろみそも消えたか。

よし…ならわしも自室に戻るか…ああ、双夢にこいつらの分の布団もお願いしないとな……さっさと魔王をブッ倒して、またダラダラできるようにしないとな。


明日も更新します(固い意思)

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