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厨異魔天 第1章  作者: わけわかめ
??? First,Reboot.
19/24

第17話 See you again,everyone.

殺意(・・)』が沸いた。



「ガフッ……!?」

いつのまにか右手に握ったMurderousから放たれた弾丸は、油断しきった魔王の胸をを貫いていた。

あれほどこんぶが必死に攻撃していたのに、なんともあっけない。

……もしかして…このMurderousならダメージが通るのか?

「お前…お前……お前、お前、お前お前お前オマエオマエオマエェェェェッッ!!!!」

先ほどの勝ち誇った顔は何処へやら。

激情に駆られた魔王はメチャクチャな攻撃を……してこない?

『BUKKOROSU!!!!』

……Oh…

「…何だこれ」

人の姿が崩れたと思えば再び繭が生まれ、即座に巨大化。

再び中から現れたのは…巨大なティラノを中心とし、トリケラの角、馬のような蹄、その他にも様々な生物の良い特徴だけを集めたキメラだった。

頭には申し訳程度の魔王要素として被っていた王冠が残っている。

『手始めにあいつらの能力から貰ってやる!』

噛み付こうと突進してきた魔王を余裕で回避。

大きくなって小回りは小さくなっているのかもな。

「…待てわかめ、アイツが向かった方向って……」

「ん…?」

あっちにあるのは…装甲車か!?

「マズイマズイマズイ!」

このままだと資金源とサポーターがいなくなる!

「俺が先に行く…!」

装甲車に向かっていく魔王の前へと向かったこんぶは進行ルートに立ち塞がり…

「鼬殿太刀…千ノ太刀!」

まずは抜刀ついでに袈裟斬り、そのまま上から下へと唐竹割り、そして飛び上がり斜めに斬り捨てた。

だが…あまり効果はなく、吹っ飛ばして走り去って行く。

この消耗した状態で使いたくはなかったが…そうも言ってられないな!

「Start Desktop,Application clock,Boot…Time paradox!」

これがわしのスキルの発動句。

ただ名前を叫ぶだけじゃなく、頭の中で何をするかを組み立てるための重要な事だ。

今発動させたのは……


そう、時間停止移動を接続し生まれた機能の『時空之超越タイムパラドックス』。

…ただ、使い勝手はかなり悪くなっている。

使っている間はずっと脳が焼き切れるような思いをしなければならない。

しかし今は…使わざるを得ない。

残り6枠になったが、装甲車に不壊を付与。

そのままが頭と魔力が持つ限りMurderousを…


「カハッ……!?」

元々無理して前線に出たのもあったか1セット撃ち込んだだけでダウン。

…一時的にわしへの付与を解除して回復に専念する。

『なんなんだ今のは…?』

「ハッ……お前には認識できず届かないちょっとした技だよ…」

『舐めやがって!!!』

咆哮を上げながらこちらへと走ってくる魔王。

喰らう、というよりは全てを呑み込むように暗く冷たい口を開けていて……

「ワタルっ!」

満身創痍で動けない身体をドールに抱え上げられるようにして回避。

さっきの逆でお姫様抱っこされてるな……現状、仕方ないんだが。

『チョコマカと!!!!大人しく俺のタネになれ!!!!』

「残念ながらお断りだ…悔しかったら当ててみろ」

既に右手で持つのもやっとなMurderousを標準を通してロックオン。

…目を潰せたか

『ァァァァッ!!!???またやりやがったな!!!???』

目から血を滲ませながら発狂モードに入った。

視界がなくなり、魔王は八つ当たりにひたすら地団駄を踏み暴れまわっている。

「マヌケな顔晒してるお前はお笑いだなぁ!」

「……ワタル、煽りすぎると後でどうなっても知らないぞ」

…強力な敵はキレさせて判断力を奪うに限る

『そこか…絶対…ゼッタイ……コロス…ブッコロシテヤル!!!!!』

「うおっと!?」

「おいやっぱり速度が上がってるぞ!だから煽るなって言ったんだよ!」

『音でわかるんだよ!!』

尻尾のなぎ払い、前足でのジャブ、思えば巨体からは想像できないムーンサルト、口からは黒いブレス、一旦距離を取れば突進で突っ込んでくる。

…動きが早すぎて今のわしでは対応できない。

狙いをつける前に既に移動してしまう。

回復速度的に時空之超越を使う訳にもいかないしな…

「ドール、このままこの街からこいつを誘い出す。街の外に出せばある程度は狙いを定める必要はなくなるしな」

「…ダナ」

こんぶも一旦呼び戻し、一度大きく叫ぶ。

「やーい!お前の身体、気色悪い!」

超有名な某アニメ作品に出てくるやんちゃ少年の真似で煽り、更に此方へと真っ直ぐ向かってくるようにする。

『アァ!!??』

…案の定、頭に血が上り此方へと牙を向いてきた。

「そんなヘナチョコな攻撃当たらないなぁ!」

『黙れダマレ!!』

偶にMurderousで誘導しながら街から街道沿いにドンドン離れてゆく。

ここまでくれば…

「ドール、森の中に入れ」

「分かった…だが、そろそろ時間がない。早く決めろ」

…これだけ戦い続ければ…そうなるか

「こんぶ、二人を連れてこい。そこまでやってどうにもならないのなら…もう、打つ手がない」

「…了解」

半ば無理矢理に連れてきたからな…それではい勝てませんでしたーなら…最低、二人を連れて逃げてもらうか…

『まだ逃げる気か!?』

…チッ…だだっ広い花畑に出たか……あ?魔王の動きが…

『これは…花か!?クソッ匂いがわからねぇ!!何処だ!!出てこい!!』

「…見失ったみたいだな。ワタル、隠れるか?」

「…そうしよう」

目を潰してもあれだけ追いかけてきていたのに、嗅覚を切っただけであれだ。

…聴覚も潰したいところだな

偶に分身体をデコイ代わりにして花畑の中心へと繰り返し誘導して時間稼ぎをする。

目が見えていないから簡単に誘導できて楽だ

そして中心近くまで誘導できた頃、入ってきた花畑の外周部にポータルが…

『今度はそこカッ!!』

魔王は間に合わないと思ったのかブレスを……ってマズイ!

魔力感知あるのかよ!?

「Preset,Give m(わしに)e time《時間を》!」


時空之超越で時を止めて二人を押し出し…

Murderousを撃ち尽くす!

「Preset,Peinless-revolver!」

これで魔力が続く限り手動リロードが不要になる。

…その分燃費は悪くなるが。

「One Two Three Four Five Six…Seven Eight……!


『AGAAAAAA!!??』

「っはぁ…はぁ……これだけ撃ってもダメか…カハッ…」

少なくとも100セット撃った。

そこからはもう数えていない。

余裕がないときに数えることに余力を出すくらいなら点に当てる方が重要だからな…

…と、そんな無駄話はともかく。

この魔王の様子を見る限り、恐らく五感を潰せば殺れる。


次に狙ったのは大きく開いた耳。

黒い血を吹き出して、これで残る五感は嗅覚、味覚、触覚。

次は…潰しやすさ的に嗅覚だな。

なんせあからさまに狙えとばかりにヒクヒクと匂いを嗅いでいる。

『また…また楯突いたな…この俺様に…!!』

「…そりゃ潰すだろ、どう考えても」

今のうちに、回復したBOYには商品の解放、しゃけには必殺となる魔法の製作を指示。

鼻を潰したと同時に…わかりやすく開き涎を垂らしている口に放火を叩き込むつもりだ。

『アァもう何も聞こえない……でもオマエの位置は分かってるぞ!!』

「ああそうかい…で、当てられるのか?」

前足の引っ掻き、飛びかかりに噛みつき。

更に攻撃が野生的になっていて避けやすい。

『なんで当たらないっ!?』

「どうせ聞こえてないだろうが…お前の攻撃は大振りすぎるんだよ!」

一瞬だけ付与で身体能力を上げて横っ面を蹴り飛ばす。

…確かこの花は………カーネーションだったか

『邪魔だ…!』

黄色い花吹雪を舞わせながら再び近づいてくる。

…やはりさっきの蹴りのせいでダメージが大きい。

消費を抑えるため、魔王の股をスライディングで潜り抜け、1セット分撃ち尽くす。

すかさずリロードし、腹部にも1セット。

…少し通りが悪くなってきたか?

『当たれ…当たれッ!!!』

「うろ覚えだが…メテオ!」

次は一瞬身体強化付与で、魔王が振り上げた頭をカカト落としで地面へと叩きつける。

『GAAAAA!!!???』

予想通り地面へと頭部が丸ごとめり込み、誤算だがついでに鼻から血が出ている。

…そろそろ時間か

「わかめ!魔力を大量に詰めたやつできた!」

「OKよく狙え!外したら全員死だ!」

…冗談だけどな。

そんな事になったら……って戦闘中に悪い事は考えたらダメだ。

気分が沈んで身体が動かなくなる

『GRURUU……GYAJAAAAAA!!!!』

咆哮……口を開けたな?

「Go!」

…撃つのはわしじゃないけどな。

「っ…フルバースト!」

杖から放たれた鮮やかな魔力の渦が、その牙を呑み込みながら、その口内へと殺到する。

「くっ……ぁぁぁぁぁっ!」

『ガ…ガァウァァァッ!!!!』

徐々に出力が上がり、衝突が激しくなる。

少しでもお互いの狙いがズレれば大惨事だな

「いっけぇぇぇぇぇっ!!」

『GAJAAAAAAAAA!!!!』

優勢なのは……しゃけか!

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!!」

ブチ…抜いた!

『+」2^*€<」#$・$○・=¥!!!!????』

魔王の身体中から海底火山の噴火のように激しく噴き出し、巨体が倒れる。

…よし、虫の息だな。

そのうち、放っていても死ぬだろう。

……何かが引っかかるが………まぁいいか

「…………終わったのか…?」

この声は…

「…あ、BOYが目覚ました」

厳戒態勢を解かないドールを横目に、BOYの治療をしていたこんぶの元に。

「BOYの命に別状はない。派手にぶつけて中がシェイクされただけだからな。戦闘は経過を見たいが…普通に過ごす分には問題ない」

こんぶに礼を言い、BOYの様子を改めて確認する。

「…なんとか生きてる」

真顔で言うなよ…ちょっと笑いそうになっただろうが…

「まぁ、生きてるならそれで儲けものっていうしな。次は油断しないように戦うか」

「はぁ…私はもう二度とごめんやわ……疲れたし…」

「…しゃけもお疲れさん」

っ…帰ったらゆっくりと身体を休めるか…ボロッボロだろうしな…

『……………』

「…今何か言ったか?」

何か聞こえた気がするんだが…

「俺は何も言ってないぞ?」

「私も」

「……………何かあったか?」

「…いや、ただの耳鳴りだったかもしれん」

終わった後だからまだ神経が過敏なのかもな…

『………SU…』

今すって聞こえたよな、間違いなく。

……そして地響き…

『GVAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!』

「ワタル逃げろ!…ファイバーバイパス 魔糸楯!」

後ろから声と糸の気配。

…嘘だろ?

絶対付与アブソリュートエンチャント!」

糸に不壊を付与!

時間稼ぎにはなるか…?

「ポータルは!?」

「………………い」

「なんだって!?」

「だから、魔力全部使ったからないって!」

「…マジか」

え…これ……まさか…打つ手なし…

「死ぬぞこれ!?」

いやいやいやいやいや落ち着け…深呼吸だ…吸って…吐いて…吸って……吐いて………

…だからどうしろってんだよ!?

魔王は確実にたお…し………

……思い出した。

『触覚』を司る器官って…なんだ?

「こんぶ!二人を連れて逃げろ!」

「…了解。死ぬなよ」

さて…これで………

『GAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!』

周辺に壁が……って逃走不可だと!?

「…わかめ、これは逃げられない。いわゆる破壊不能オブジェクト、って奴だな。」

『…魔王は逃がさない……!』

その言葉が聞こえた瞬間、空も地面も、全てのものが…魔王の血に染まった。

その魔王自身も、虫の息だった先程はなんだったのかと言うくらいにピンピンしていて、壊したはずの器官も回復している。

「魔王が復活は卑怯だぞ?」

『黙れ!俺様は負けないんだよ!!』

よく吠える奴だな…大人しくくたばっておけばよかったのに

さて…もう後戻りはできない。

実質三人…

「あ……オ…も……メダ…とハ……ダ………すマな…」

…訂正、ドールが時間切れで実質二人。

「…勝てる気がしない」

「奇遇だな、俺もだ」

『なら……大人しく死ね!!!!』

こんぶの太刀は身体を切り裂かんと横へ渡ったが、効果はなくこちらへ。

『ウゼぇんだよ!!!』

「ガアッ!?」

こんぶが鎧袖一触で消された。

……反応がない?

「え…………嘘……私……待って……死にたく…」

しゃけは恐怖のあまり混乱している。

「………また、生きて会えたらいいな?」

BOYが悟ったような表情でつぶやいた。

「……………この護符、一体なんのご利益があったんだろうな」

いつのまにか握りしめていた破邪之護符を眺めながら呟く。

『死ねぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!』

できれば天寿を全うしたかった。

できることなら世界を回りたかった。

できるだろうことは山ほどある。

…こんな夢半ばで死ぬなんて…




「あぁ本当に…わしの人生(・・)は最期の最後までツイて(・・・)無かったな。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


Last Code:1B06932A46EB74A


……I asked, Next my Master.

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