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厨異魔天 第1章  作者: わけわかめ
第1章 ジャポンって色々混ざりすぎ
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第11話 魂は心で心はヒトの核。

出発準備の三日でかなりの金額を使った。

労働力のレベルを上げて買った大型のキャンピングカーに900万チェイン。

内装に置く雑貨と常備品が20万チェイン。

それに装備強化費と雑出費を含めると最低報酬の半分を超えている。

流石に金を使いすぎだ。

絶対にこの依頼を完遂して、ボーナスも分捕る。

ドラゴン貯金に頼りっきりなのはマズイ…

「わかめ、準備できたぞ」

双夢が依頼書を取ってきてくれたらしい。

「おう、今行く」

大型車の運転はわしよりもBOYの方が上手かった。

だから昼の間はBOY、夜間はわしが運転することに。

キャンピングカーの内装はシンプルなモダンダイニングリビングキッチン。

ソファーが変形して完成する女子二人が寝るダブルベットと、わしらが運転席の上にあるルーフのシングルベット。

何故かノーリソースな電気と水道。

燃料は勿論魔力だからしゃけの自家生産。

ある意味理想的な布陣じゃなかろうか。

「…じゃ、わしは寝る。また飯の時間になったら起こしてくれ」

「あいよ。また夜ご飯の時に起こす」

「おやすみ」

ルーフ上の暗いスペースで目を閉じる。

…暇だな。


旅を続けて一週間。

獣人が多い街のニャゴヤ、ジャパンの首都のエンド、もはや世界観が違うグンマー、宿の三姉妹が美人で双夢が暴走しかけた雪の街トホクなどの街を通り、

眠くてロクに記憶に残っていないが、それなりに楽しかったり目立っていたような気がする。

…オーバーテクノロジーの塊で、見た目は唯の金属の塊で、馬車よりも早く近づいてくるんだから確かに目立つる


今はエゾヘ渡るための港があるセイガルの近くだ。

BOYとしゃけはスラリンを持って列に並んでいる。

「御主人様、必要なものは取り出しましたので、収納お願いします」

「…あいよ」

…眠い

「大丈夫ですか?身体の調子があまり優れないようですが…」

「死ななきゃ安い…」

命があれば丸儲け、ってな…

「そういう問題では…」

「いいからさっさとあいつらに合流するぞ。宿に行ってまた寝る。」

「…はい」

足取りもおぼつかねぇ…

「俺が抱ッコシてヤろウカ?」

「頼む…」

声の主の手に肩から首と膝を支えられ、腹の辺りには心地よい、柔らかい感触が。

「ソのママ寝てオケ。宿マデ運んでヤル。」

「…うい…」

微かな揺れも気持ちいい…

「ドール!?何してるの!?」

「何っテ…ナニ?」

「うるさい!流石にそれは…」

「そレハ…?」

「…っもう!からかわないで!」

…なんか騒がしいな…

「ってドールか…」

ドールが運んでくれてたのか…

「マだ寝テオいてイいゾ」

「…ありがとさん…」

再び視界を閉じる。

最近、身体が怠い。

かと思えば急激に熱くなることもある。

どうしても運転に支障をきたすときはこんぶに代わってもらうこともあった。

俺の身体は大丈夫なのか…?

「…ナァ、渡…」

「どこでその名を…あぁ、契約書か」

「…嫌なラやめル」

「いや…お前はいい」

お前の発音だったらそっちの方が楽か…

「…渡、オマエかラハ(・・・・・・)オレと同ジ魂の波動を感じル。」

魂の…波動?

「アァ。ココだケノ話、オレはヒトじャなイ。」

だろうな…ステータスも人ではないって書かれてたし。

「…だカラ、渡ノ不調の原因を知っテル」

…それは…?

「簡単ニ言エば転生ダ。渡ノ身体ガ別物に変わリかけテいル。ソうだナ…今は七割トイった所カ」

「嘘だろ…」

何がトリガーだった…?

わしはそんな物と関わった記憶は…

「ダが安心しロ。渡程魂ガ強けれバ、自我が呑まレル事もなイダロ」

「だといいが…」

折角異世界に来たのにこんな所で死にたくなんてない…

「ドール…何を御主人様に吹き込んでるの…?」

双夢が暗い気とともに近づいてきた。

目を閉じて寝たふりをしよう。

「ナニ、唯の世間話サ」

あっけらかんと答えるその姿には、清々しさも感じられる程。

「世間話で御主人様はそんな顔しない」

「………」

心外だな。

内容によってはするかもしれないだろ。

「さァ…何ノ事かオレにハ分かラナいナ…」

心なしか歩行速度が上がった気がする。

「っもう!あとで絶対聞くから!」

…眠……


「知らない天井だ…」

おそらくセイガルの宿だろう。

「…ン、起キたカ」

「……最近よくわしに世話を焼くな、ドール」

有難くはあるんだが。

「渡ガどウナるか興味がアルかラナ。転生ハかなリ珍シイ。結果ヲ見る前二死ナれタら困ル」

「そうか…」

「マぁ、オレガ個人的に気ニ入ったカラデモあルガ。」

「…ありがとさん」

他の奴らは買い物と乗船券の交換に行っている。

だから、今はわしとドールの二人きりだ。

それに部屋割りも、双夢としゃけ、BOYとこんぶ、そしてわしとドールらしい。

魂が大変でなんだかんだだと説明して無理矢理こうしたらしい。

別にいいけどな…ドールも見た目だけはいいから…

「渡、オマエの魂、探ッテもいイカ?」

「…わしに影響は?」

「無イ。もシモアっタラ…オレを好きニシテいい」

悪魔的微笑み。

詳細な原因がわからないなら調べてもらおう。

「勝手にしてくれ」

「じャ、遠慮なク…」

上着が脱がされ、胸に手が触れられる。

「ふム…前かラ一人分消えテイル…?」

椅子が四つ、背を向けるようにしてあるのが見える。

わしのようなモノが座っている、革張りの高級な椅子。

何も載っていない、どこか機械的で神聖な椅子。

こんぶが座る、ありふれてるような木製の椅子。

目を閉じた銀髪の美女が鎮座する、玉座のような椅子。

そして今、その目が…

「ッ!?」

「グゥッ…」

スパークが走りその光景は消散した。

同時にわしの熱量も増した気もする。

熱い。

身体の底から燃えるように。

「待テ待テ!」

「っ…ぅ…」

これ程度に耐えられないのであれば…また…

「コいツカ…ッ!渡、もウ少し耐エてクレ…ッ!」

うるせぇ…黙っておけ…

…あら…まだ…ええ、わかりました。

「駄目ダ…深く結びツイちまってる…ッ!」

今回は一旦引き下がるといたしましょう…わたくしは、次に相見える時を楽しみにしていますわ。

…いいから…寝とけ(・・・)」%々%」:%(***)

「…収まッタ…?」

熱が引き、声も聞こえなくなった。

「もシや…今のハ…オレ達ノ…」

色々ドールが考えているが、それはそれ、これはこれ。

用事を済ませよう。

「…ドール、何か影響はあったんたが?」

「……アレハ言葉のアヤといウカ…」

既に濡れている肌に汗を流してドールは誤魔化すが、生憎わしの記憶はバッチリ残っている。

「何かあったら…俺を好きにしていい、だったか」

「ゥ…」

自分で言った手前、今更引き返せないだろう。

「といってもソッチ系の事を要求する気は更々ない。わしの魂を見守ってくれれば…それとたまにお願いもするが、できる限り従ってくれ。いいな?」

「…仕方なイ。少し寝テおケ…」

話すために起こしていた上半身を押し倒され、無理矢理口吸いさせられる。

「…ふゥ…こレデ少しハ安定スるはズダ…」

何事なかったかのように放し、汗を拭く現行犯ドール

「…今の初めてだったんだが」

「なラ更二好都合だナ」

罪人ドールはあっけらかんと言い放つ。

「オレト魂を繋ゲル儀式の一種ダ。オレと渡ノ存在を関連付けタ。初メてダと、不純物が少ナくテ楽ダかラナ」

「だからってな…」

ファーストキスを取られたのはな…使う機会がなかったとしても、何か引っかかる。

「モしも言っテイタら許可しナかッタだロ?必要な工程なンダ。人工呼吸と思エばイイ」

「…」

何を言っても誤魔化されそうだな。

過ぎたことを言っても仕方がない。

「そンナ事よリ、身体の調子ハどウダ?」

…確かに囚人ドールのお陰か、眠気も取れて身体の調子もいい。

これは感謝しよう。

「ありがとさん」

「どウいたシマしテ。ダが、暫ク経過は見ルかラナ。収まッタとハいエ未知もマた多イ。そレを起こサナいよウニ慎重ニヤろウ」

「そうしてくれ」

…外から足音が聞こえる。

あいつらが帰ってきたらしい。

「御主人様、ギルドの船が明日出るそうです…よ…」

「…あっ」

元々布面積が小さい捕虜ドールはベットに腰掛け、わしは上半身裸で下半身は布団で見えていない。

「…なに…してたんですか……?」

見たこともないほどの笑顔だ。

刀の光の反射が見えた気がする。

「そッ双夢ッ!こレニは深い訳ガ」

「ただわしの身体を」

「身体を…なんですか…?」

「渡ッ!」

マズい…墓穴を掘った…

「私達が用事してる間…そんな事してたんですか…へぇ…」

駄目な奴だこれ…迅速になんとかしないと…

「誤解ダ!オレ達はナニもしテなイ!」

「私はとやかく言うつもりはありませんが…嘘をついてまでそんな事を……いつの間に…」

闇が更に深くなっている。

…あぁ…刃物を研ぐ音が聞こえてきた…

「本当にわしの魂を調べてただけだ!深く調べる必要があったからこうなってるだけだ!本当に何も無かった!」

「…なら、今回はそれを信じます」

双夢が元に戻った。

「…ギルドの連絡線が明日出るそうです。依頼書を見せると、特別に乗せてもらえることになりました。朝に荷物を運び込む時に搭乗し、昼に出発します。あちらへは翌日到着予定です」

「……分かった」

インナーの上に、BOYに作らせた革ジャンを羽織る。

中に鎖帷子を仕込んだ見た目と実用性を兼ね備えた一品。

普通の剣程度であれば逆に叩き折るぐらいの強度がある。

「…じゃ、久しぶりに外で飯でも食うか。日没に下で集合してくれ」

詫びも込めて少し高いところに…

「承知しました」

双夢が退出する。

「…ナぁ、オレは辛イモノが食べタイ…」

「今日は我慢しろ」

不貞腐れても今日だけは無理だ。

お前にも責任があるんだから少し反省しろ

「…はぁ…」

また出費が嵩む…わしは経理とか好きじゃないんだがな…


暫く時系列が飛びに飛ぶと思われます

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