第5話 なぜなら彼は
「なんかお前、知らないことが多すぎると思ったら記憶喪失かよ!」
とセントが叫ぶ。
「なんかもう驚くのに疲れました。」
とミアは首を横に振って呟く。
「ああ、まあな。」
「チャララララ」
とおれが言うといきなり音拡大器から音が流れた。
「ん?なんだ?」
「こちらは生徒会です。新入生の皆さんはクラスの発表があるので本校舎の玄関に集合してください。」
ん?この声はさっき挨拶をしてた生徒会長さんかな?
「お!クラスの発表だ!行こうぜ!」
「楽しみですね」
と2人がワクワクしながら玄関の方へ歩きだす。
セントは鼻歌まで歌っている。
そんな二人を見ながらおれも歩きだした。
「皆さん落ち着いてください。騎士クラスは1組魔法クラスは2組。冒険クラスは3組か4組。製造クラスは5組ですよーー」
と女の先生が新入生達に声をかけている。
「あーアルファルドはどのクラスを受験したんだ?」
とセントが聞いてくる。
「ん、おれは受験というより、、、まあいいや、冒険クラスだよ」
「へーーそうなのか、おれもだぞ。同じクラスになるといいな。」
「まあ半分の確率だからな」
「まあ、そうだけどよ」
とセントが頷く
「ところでミアはどのクラスなの?」
とミアに聞いてみると
「あ、あの私は一応騎士クラスを受験したんです」
と恥ずかしそうに答えた
「すげえな、さすが貴族様だ!」
「で、でも受かってるかはわかんないです」
と自信無さげに話す
「大丈夫だよミアなら。ほら、クラス分けの結果が貼り出されてるよ、見ようよ。」
「わ、わかりました」
と頷きミアは人混みから顔を出し結果が貼り出されている掲示板を見ようとする
「どうだ、見えるか?」
「あと少しなんですけど」
どうも人混みで見えないらしい
「「んーじゃあ、肩車しようか?」
おれは周りの人に比べれば背は高いほうだし、肩車すれば見えると思うけど
「ふえ?いやそんなことはできません!アルファルドさんの上に乗るなんて」
と必死になって首を横にふる。
「そーだぞお前やっぱどっかズレてるな、常識がないな!」
とセントにも言われしまった。やっぱ記憶がないと不便だな。
「そうか、悪かったなミア」
気を悪くしないと良いんだけど
「だ、大丈夫です。あ、見えますよ」
「おお、受かってるといいなぁ」
「大丈夫だよ、きっと」
ミアは掲示板に目を凝らす。そして、、、、
「ご、ご、」
「ご、ご?どうだった?」
「落ち着いて2人とも、どうだったのミア?」
「ご、合格してました!!!」
「おおーやるじゃんミア」
「頑張ったねミア」
「あ、ありがとうございます!」
ミアは照れくさそうにはにかんだ
騎士クラスに合格するなんてすごいな。騎士クラスは魔法の実技や武器を使った実技、筆記問題に合格しないと入れないってあの人が言ってたけど。そういえばあの人元気かなぁ、今度あそこに帰ろう。カリンのご飯も食べたいし。
「どうしたアルファルド?オレらのクラスも見ねーと」
と、黙りこんだおれを気にしてセントが聞いてくる
「ああ、わかった」
おれは1度指の指輪を触れると掲示板を見た
「おれは3組か」
「お前は3組か、オレは、、、、3組だ!!よっしゃ!同じだ」
セントと一緒か、独りにならなくて良かった
「よろしくな!アルファルド!」
とセントが手を差し出してくるので
「ああ、よろしく」
とその手を握った
「じゃあ私はホームルームがあるので失礼します」
「うん、またね」
とミアと別れて2人で本校舎を目指す。
「3組って2階の左手だったよね」
「ああ!たしかな!」
場所を早く覚えないとな 校舎広いから迷いそうだ。
「にしてもラッキーだよな」
とセントが急に話してくる。
「なにが?」
「ミアのことだよ」
「ミアがどうかしたの?」
「だぁーかぁーらぁーあんな可愛い子しかも、貴族の娘さんと仲良くなれて良かったっつてんの」
ああそういうことか
「うん、あんなにいい子あんまりいないよね」
ミアは本当にいい子だと思う。貴族なのに謙虚で。
「なら良かったね、セント」
「なにがだ?」
「セント、けっこう仲良くなったじゃん。声はもったし」
「ああ!今日の俺はついてるぜ!」
セントは飛び跳ねながら言う。
「でもあの子お前のこ」
とセントと話していると
「おそーーい、もっと早くーー来てーー」
と後ろからいきなり声が聞こえた。




