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死のゲームは終わらない

作者: 川本 細根

皆様も、このゲームのルールを考えながら読んでみてください(すぐ読み終わると思うので、考える暇なんてないかも……)。

『残る挑戦者は4人となりました。これより、最終ゲームを開始します。1人が脱落、残る3人は優勝者です。ルールは前回と同じです。また、脱落者の「死」も、前回と同じルールとなります。では、ゲームスタート』


 薄暗い室内に響き渡る、機械合成によって作り出された無機質な女性の声。


 そして部屋の中央には、円形に並べられた椅子に座る、4人の男女の姿があった。一様に張り詰めた表情を作り、他の人間を睨むように見る。


 確か最初は、30人近くの人間が居たはずだ。しかし、気が付けばもう残り4人。他の26人は「脱落者」としてどこかに連れ去られ、殺された。

 

 誰が一体、どんな目的でこんなことを行ったのかは分からない。しかし、ただ一つ分かっていることといえば、このゲームに勝てば、一生遊んで暮らせるほどの大金が手に入るということ。


 もちろんこの大金の中には、「口止め料」という意味合いもあるのだろう。


「……とりあえず、今は前々から話し合っていた、みんなで生き残る方法を探さないか?」


 4人のうち、突然一人の男性がみんなに問いかけた。するとその隣に居た男が、反論するように言う。


「簡単に言うけどな、このゲームはそんな甘いものじゃないはずだ! みんなも、それは今までの経験で分かったことなんだろ!?」


 最後は怒鳴り散らすように、他のメンバーに問いかける男性。するとその隣にいた女性が、落ち着いた様子で諭すように言う。


「露骨に動揺しているのが見え見えだよ。そんなに動揺してたら、最後の脱落者はアナタになるかもしれないよ?」


「よせよ。何言ったって、どうせこの男は死ぬ。動揺してる人間の心なんて、隙だらけだからね」


 女性だけでなく、その隣にいた若い男性も、怒鳴った男に対してニヤニヤしながら見る。怒鳴った男は何か反論しようと口を開きかけるが、安易な発言は文字通り命取りになることに気がつき、すぐに口をつむぐ。


「姉さん、こんな男、さっさと殺しちゃおうよ」


 先ほど女性に続いて発言した男性が、自分の発言を繋げるように女性へと告げる。どうやらこの二人は姉弟のようだ。

 女性はすこし考えたあと、目を鋭くさせ、一番最初に発言した男性の方へ視線を向ける。


洋介ようすけさん、あなたはどう? 一緒に結託して、この男を殺しませんか?」


 なんとも物騒な誘いだが、洋介、と呼ばれた一番最初に発言した男性は、少し考える。


「……いや、それよりもみんなで協力して―――」


 瞬間、洋介は固まった。それと同時に、しまった、と思った。

 洋介を除く他の三人は、気持ちの悪いほど満面の笑みを浮かべ、洋介を見る。


 そして、あの無機物な女性の声が響く。


『最後の脱落者は「立花たちばな 洋介」さんです。優勝者は「安藤あんどう 晴海はるみ」さん、「安藤あんどう 正治せいじ」さん、「飯井寺いいでら 健二けんじ」さんです。これにて、「しりとり」のゲームを終了します』

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