ARTT(アロット)試作品
男は半分ほど感情を失っている状態だった。
何故なら、大人だと認めてあげた娘は、それからすぐに私の前から消えたから……。
私の娘ーー梨世は、帰らぬ人となった。
私は今さらであるとわかっていても、後悔していた。
ーーもっと、家族を大切にしていればよかった、と。
妻の時も十分に反省していたハズだった。
でも、妻が居ない時間を埋めるように、私は仕事に打ち込んだ。
梨世は何度も私に声を掛けてきた。出掛けようと。
しかし、私は進めたい研究があるからと、その誘いを断った。
無理矢理にでも、研究を遅らせてでも、相手をしてやるべきだった。……もう、遅いけど……。
だから。
償いにはならないけど、せめて。
研究してきたアレを、完成させよう。
その日から男は何日も研究室に引きこもり、研究と実験を続けた。
助手も2日に1人のペースで交代し、男の研究を手伝った。
そして研究に打ち込むこと約2週間。
「……完成した……」
男は小さく呟いた。
だが、起動させる前に疲れた身体を嫌そうと、男は自分の部屋に戻って休むことにした。
約2週間もの間、男は休まず研究に没頭した。
助手たちも、2日に3人ずつ、交代制で男の手伝いをした。
男も助手も、無事に研究が終わってホッとしていた。
「まだ気は抜けん。起動させて、バグが起きたら困る。皆には3日の有休をやる。しかし、3日後、コレの実証試験を行う。だから、忘れずに来い。」
「はい。」
助手たちは男に返事をすると、安心して帰っていった。
男はそのままベッドに横たわり、深い眠りについていった。
男が目を覚ますと、辺りは真っ暗だった。
携帯の時計を見ると、
『21**年 12月31日 23時57分』
と表示されていた。
アレが完成して、5日も経っていた。
助手たちは、鍵がかかっていて中に入れなかったのだろう。
後わずかで年明けという日。
日本を、全世界を浸透させる大事件が起こってしまった。