『少女は力を欲しました。敬具』
それから八年後。
私は昔この村の警備隊で働いていた叔父さんに協力してもらい、魔族と戦うだけの力を手にした。
「ハッ!」
「おわっと‼︎」
今はその叔父と剣術の稽古をしているところだ。
「だ、大丈夫ですか?」
叔父の剣を弾き飛ばしてしまった私は腰を抜かした叔父のところに向った。
「ははは、もうサキちゃんには敵わないな」
叔父は苦笑しながら立ち上がった。
叔父は一人になったライク家の私を親身になって育ててくれた。
もう一人の父のようなものだ。
「ううん、叔父さんには助けられてるよ」
「そう言ってもらえると嬉しいがね。しかし、もう俺も歳だ。お前の相手はガーラが丁度良い」
ガーラ。
ガーラ・ムイ。私の幼馴染の男の子。
叔父の家の隣に住んでいた子で、今一緒に剣術を学んでいる。
「だってあいつ、私の速さについて来れないから相手になんないもん」
「少なくとも俺よりはついて行けてるよ」
そんな話をしていると、村の入り口からガタイの良い男の人が入ってきた
「おーい!サキ!」
「あ、おかえりガーラ」
「おう、帰って来たか」
叔父さんと私はガーラの元に駆け寄った。
「お前が言っていた物、採ってきたぞ」
「ありがとう。助かったわ」
サキはまだ幼さを残した顔で笑った
「……本当にやるのか?」
叔父さんが心配そうに聞いてきた。
「うん。絶対に辞めることはしない」
私は心苦しいがやらなければならない。この手で魔王を殺すためにも、力がいる。
そのためにはどんな危険をおかしてでも力を手に入れなきゃならない
「行こう、ガーラ」
「おう」
叔父さんは悲しそうに、しかしそれを隠そうと笑った
「頑張れよ」
そう言うと叔父さんは自身の家に帰って行った。
「……本当に良いのか?」
ガーラが聞いてきた。
「ええ、言ったでしょ?力がいるって」
「……分かった。俺はお前について行く」
「ありがとう。それじゃやるわよ。」
私は父さんと母さんがくれた欠片を手にし
「勇者を……召喚するわ」