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出会いは突然に2

 私の掌から溢れだした破壊力を持った力は、まっすぐその靄から出現しつつある生き物に向かっていく。青白い光は金の生物に爆音をもってぶつかっていった。

 当たった瞬間、その巨躯が空中で跳ねたように見えた。

 すぐに大量の煙が立ち、私はおもわず目をつぶる。

 

 『ぐぅわああああああああああーーーーー』


 耳に咆哮する声が聞こえ、何かが激しく水に落ちる音が聞こえた。

 勢いよく水が跳ね上がり自身も水浸しになる。


 なんとかやっつけることが出来たかしら!?手ごたえはあったわ。

 目標を見つけるためまだ渋る目を開いた。あんなに眩しかった光は消え失せ、空は雲ひとつない青空が広がっている。湖面には細かい泡が立ち、一か所から発生する波紋がその落ちた場所を示している。

 私はドキドキしながら様子を見ていた。やがて小さな塊がぷかっと湖面に浮いた。


「うわっ」

 その塊は空中に飛び出すと一気に私の目の前まで飛んできた。

 何かずいぶん小さいような・・・

 両手をくっつけたくらいで収まるその姿は、先ほど恐れを抱いた生物とはとても思えない。

 金色の太い胴体に短く鋭い爪の脚、その胴には小さな金の羽が生えパタパタと揺れている。2本の角が生え、何よりまんまるなオリーブ色の瞳がくりくりしていてかわいらしい。

 -----------なんてかわいい羽の生えたとかげさん。



「なんてことしてくれるんだーーー!!!!!」

 目の前のとかげさんの口がぱっかりと開き、その中から小さな炎がぼふんっと飛んできた。


「いやあ!!!!」

 とっさにのけぞったが前髪の一部がじりっと音を立てて燃えた。

 火が付いているわけではないがなんだか焦げ臭い。私の大事な髪がとんでもないことになっている。

 前言撤回。これは邪悪なとかげさんだ。

 とっさに手を伸ばし、その小さなとかげを胸にとらえ逃がさないようにする。苦しそうにじたばたと暴れているが、このまま立ち去ること許すまじという強い決意の元、さらにぎりぎりと強い力で抱きしめる。

 

「あんたこそなんてことしてくれるのよ!!乙女の大事な髪を燃やしてしまうなんて!ああ、この部分なんて眉毛よりだいぶ短くてものすごく間抜けなことになってるじゃない。これじゃ、どこにいってもひそひそ後ろ指さして笑われるわ。」

「どこにいきなり攻撃魔法ぶちかましてくる乙女がいるんだ!髪だけじゃなく全身焼き尽くしてやるぞ!だいたい何が起こったのか僕さっぱり分からないんだけど、移動の最中に狙い撃ちされたのは間違いないよね!」

「いきなりでかい図体した恐ろしげな生き物がにょきって空に生えてきたら誰だって攻撃すると思うけど!!!なんでか今はかわいい生き物に変身してるけど!」

「いや、それはないだろ・・・・普通逃げるとかだろ・・・・とにかく痛いから放してよ。」

 はぁはぁと二人して息が上がり苦しい。逃げそうな様子もなくなったのでひとまず腕を放し解放する。

 とかげは私の顔を見て、大きなため息をつき近くの岩の上に乗り羽をひっこめた。


「なんでこの場所に人間がいるんだ。ここは隠された場所だから普通の人間には出入りが出来ないはずなのに。道なんて繋がっていないんだから入口も無いんだよ。」

「・・・・そうなんだ、私気が付いたらこの場所まで来てたのよ。方向がわからなくなってずいぶん彷徨っていたわ。光が見えたからそれを目印に進んだの。」

「不思議だなぁ。でも僕をこんな目に合わせることができるなんて普通の人間じゃ出来ないことだし。

 こんなに奪われたのは初めてだよ。」

 そういうと、とかげは振り返って自分の尾をまじまじと見つめた。

 もう力を出し切ってしまってへとへとになっている。お腹もすいてきたし、体は傷だらけで水浸し。おまけに前髪は短いしでなんだか泣きたくなってきた。


「・・・・・・君はひょっとしてこの国の魔女だったりする?」

 小首をかしげながら聞いてくる。

「そうよ。十年前、この国の魔女は亡くなったわ。それ以来、私が魔女。この国で唯一の魔女になったの。」

「へぇ、どうりで・・・・」

「とかげさんはいったいどうしてこんな場所にいきなり出てきたの?」

「とっ、とかげ!!!?

 この僕のどこがとかげにみえるんだ!!本当に失礼なやつだな。」

 手足をばたばたさせながら憤慨し始める。そんな姿はまさにとかげらしいではないか、うん。

 とかげは手を腰に当てふんぞり返ってこう言った。



「とかげだなんて言うなぁ!

 僕はなぁ、僕は偉大なる龍さまだぞ!!!」


・・・・・・・・・・・・ええっと・・・私は龍様にけんかを売ってしまったんでしょうか?

 


 



 

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