Fiirozu Erdofille
「ねぇあの子…ニュースでやってた子よ」
「まぁ、本当」
「凄いわよねぇ…」
──やめて…
『最近話題になっている──』
『まさに“神童現る”、といったところですか──』
──特別扱いしないで…
こんな能力なんていらない…
もっと、ふつうに接してよ…
──外の世界はかなしいことだけ…
殺人…強盗…事故…もう聞きたくない
…嫌い…嫌い…
「──『外の人間』なんて…大っ嫌い…」
──幼い私が最後に発した言葉。
ある日の朝、一緒に寝てくれるお姉ちゃんに起こしてもらった。
「…フィー。大丈夫か?」
心配そうな顔でお姉ちゃんが私を見る。「だいじょうぶ」って言った。
…はずなのに、聞こえない。
フィーの声が聞こえない。
私の“声”だけ…聞こえない。
「…フィー?」
こわかった。じぶんだけこんなことになるなんて。
「…」
いいたい。なんにもいえない=くるしい?
「…フィー…?………フィー!?」
おかしいな…しゃっくりしたときみたい。どうしよう、とまらない…
「フィー!!…」
あれれ…おねえちゃんの顔がよくみえなくなって…まっしろになっちゃった。
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「──声が出なくなったのは、精神的ストレスによるものだな…」
パパがおいしゃさんの伯父さんをつれてきてくれた。
「そんな…」
ママ、パパ…そんな顔しないで。フィー、悲しくなっちゃうよ…
──その日の夜、お姉ちゃんが言ったの。
「…フィー、お姉ちゃんと一緒に、お爺様の所に行きたいか?」
次の日に、お姉ちゃんと一緒におじいちゃんの所に行った。
パパや、ママとはなれるのはちょっとさびしかったけど…お姉ちゃんが一緒だから大丈夫。
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おじいちゃんのお家は、研究所になってるの。
なんでも…ひいおじいちゃんや、親友だったひとの研究をついでるんだって。
「…おお、来たか」
「お久しぶりです、お爺様」
「…」
おじいちゃんに会うのは数年ぶりで、ちょっとこわいけど…なんか懐かしいな。
「…フィー、昨日フォティアから話は聞いた」
おじいちゃんは、フィーの頭に手を置いた。
「元気になって、また話せるようになろうな」
そういうと優しく笑ってくれた。おじいちゃんのこの笑顔が好きだった。