マンゴスチンは果物の女王様
リルネットはお尻の辺りに硬くて熱いものを感じつつ、ネイクの長い睫の奥にあるリルネットよりも濃い紫色の目を見つめ返した。
ネイクの銀色の髪の毛はキラキラしている。
先程まで重ねていた形のよい唇は艶やかであった。
─ネイクは、ネイクのネイクが、更に硬くなっていたのだった……
コホンッ。
「リルネットはいつも頑張りやさんだね。」
ポンポンとリルネットの頭を優しく撫でる。
そして、リルネットの髪の毛にチュッとキスをした。リルネットの良い匂いがする。
ネイクは、ジッとリルネットを見つめた。
初めてのディー○キ○というのに、あのような官能的なディー○キ○が出来てしまうとは……
リルネットは素晴らしい、流石である。
何でも器用に出来てしまうのだ。
そして、努力も惜しまない。
すぐに復習して、学んだことを定着させる。
初めてというのにとても素晴らしいキスだった。
─僕の唯一の人、愛しいリルネット。
─可愛そうで可愛いリルネット、僕と同じ紫色の目を持つ人。
もう一度と……ネイクはジリジリとリルネットの顔に自分の顔を重ねようとした。
…その時であった。
ドンドンドン!!ガチャ!!
大きくドアを叩く音がしたかと思うと誰かが部屋に騒々しく入ってきたのだ。
ジーザス・デスモンド。ルイジアの弟で、デスモンド家の一番下の30番目の子である。
ルイジアがリルネットの専属侍女となった為、3年前からネイクの側で従事している。
昨日は、ジーザスを強制的に休ませていた。
ネイクがリルネットにプロポーズする時にジーザズがいるとややこしいというか、鬱陶しいというか、気分がぶち壊しになってしまう可能性大な為である。
ジーザスはルイジアと同じ赤い目と赤い髪で、髪の毛は上の方で一つに縛っているという風貌の少年だ。
背は高く筋肉質だが引き締まったしなやかな躰。整った顔立ちにモノクル(片眼鏡)を掛けている。美麗だが少し個性的である。
ジーザスが片手にトレーを持ちながら、リルネットを頭の先から足の爪先までジロジロと見出した。
ふむーッ、ほうほう。あらっあらあらあら~
「魔方陣越しで拝見するよりこれはこれは……なんともお美しいわね~~!このお嬢様♡いや~んその神々しい美しさ。す・・き♡」
ジーザスがずいっと、リルネットの方に近づく。すると、ネイクがリルネットを後ろから、ギューッと抱きしめ、片手てリルネットの目を覆う。
朝から変な者見てしまったね…
「これ以上見るな、リルネットが減る。」
片手でジーザスをシッシッと追い払う。
そんなネイクを横目に、ジーザスはリルネットに正式な挨拶をした後…
「あらま~~やだ~~主様ったら♡私はお嬢様に始めてお会いできてとっても嬉しくて、すこーしばかり見ただけなのに。見るな、だって~ケチ~、キャッ。もう本当に私の美しい主様ってば、溺愛粘着執着男なんだからっ。そんなんじゃリルネット様に嫌われるわよ~。」
バチンと、ネイクにウィンクする。
そうそう、これこれと言いながらジーザスがテーブルの上に皿を置いた。
皿の上には、フルーツが乗っている。
「そっ。これはね。ウフフッッ」
「ちんはちんでも、マンゴスチ~~ンよ♡うふふっ。果物の女王様ですって~~キャッ私みたい~」
ジーザスは、上半身を反らしポーズを取る。
とても鬱陶しい人柄だが、ネイクの側で3年間、遣えていたのだから、とても有能ではあるのだ。
キャッキャッとはしゃぐジーザスの背後には、肩の上に、くまゴーレムを乗せたルイジアがいつの間にかいた。
「お前は、相変わらず騒々しい、そして気持ちが悪い。」ジーザスの首筋に短剣を押し当てながら話す。「私の愛しいお嬢様が驚かれるだろ。」「これ以上お嬢様を見るな、喋るな。お嬢様が汚れるわ。」赤獅子が怒りあわらに、ジーザスの背後から牽制した。
ジーザスはぐるんと首を後ろにまわし
「あら~お久しぶり~姉上様♡それにしても相変わらずの荒々しさね~姉上様は。私のようにもうちょっと女らしく出来ないのかしら(※注※ジーザスは男である。)しかしそんな荒々しい赤獅子のような姉上様も、随分とお嬢様には、絆されたものね。顔に似合わず。かわいいもの好きの姉上様の心をつかんだのかしらね~。」
クスッとジーザスが笑う。
「こちらを見るな、喋るな、息を吸うな。汚れるわ。」「そして、私のお嬢様…そうっ!私が真にお遣えるするべきお嬢様を!ただの可愛いという一言で、すますな、阿呆か。このど阿呆めが。…この無礼者は、死をもってお嬢様に詫びろ!」ジーザスの首筋に当てられた短剣からツーッ、と血が流れ出た。
少し物騒な兄弟ゲンカが勃発しようとしていたが…。
「…とても美味しいです。」
リルネットが涼やかな声で話す。
ルイジアは、そんなリルネットを見て、先程の弟への殺意が少し収まったのであった。
ジーザスもルイジアに短剣を向けられたままだが、ほっこりと暖かい眼差しを送る。
ネイクがリルネットにマンゴスチンを、もう一つ食べさせる。
マンゴスチンを口の中に入れると、上品な甘味と爽やかな酸味が口いっぱいに広がった。マンゴスチンはこの王国では珍しく手に入ることはまずない果物だ。リルネットも書物で知っていただけだった。
「この果物はね、種からゴーレム達が育てたんだよ。」
ネイクは嬉しそうに微笑む。
…リルネットも…神々達が祝福してくれるようなそんな美しい微笑みを浮かべた。
「(ふーん、なる程ね。このエロ主様…。僕の魔力をたっぷり含んだ僕のゴーレムが育てたマンゴスチンを食べてスクスクと成長する!なんて変な想像してそうね~~やだわ~しかも、マンゴスチンのチンなんてね。やだやだ~)」
「(主様っ。気持ち悪っ!)」ルイジアとジーザスが同時に発する。
「(うるさい。僕はリルネットには心からの喜びを感じて、過ごしてほしいと思っているんだよ。どんな事柄に対してもね。その為には僕は全力を尽くすのさ。周りからどう思われようとね。)」
…そう、リルネットにはこの先少しでも心からの多くの喜びと幸せを感じてほしいのだ。
喜び、楽しみ、時には悲しみ怒りも心からの感情なら感じて僕に伝えてほしい。
そして、そんなリルネットの傍らには僕がぴったりと寄り添う…
─紫目として産まれたリルネット。可愛くて可愛そうなリルネット。
リルネットの笑みはいつも美しく光輝いている。
─だが、リルネットは、笑う以外の表情をあまりしたことがない。
怒ったり、泣いたりしたことがほぼなかった。
それは産まれて暫くのリルネットの境遇からだろうか。
この世に産まれでた瞬間から、膨大な魔力量があったリルネット。他の者…人間では到底考えれないほどの魔力をもって産まれた子。
産まれたばかりの赤子が、膨大な魔力のコントロールが出来ないと普通の人間なら思うであろう、膨大な魔力がコントロールできない状態で野放しにしたら非常に危険だと考えたのだろう。
(それは少しネイクのせいでもあるのだ。
リルネットが産まれたとき同じ紫目の赤ん坊が色々な騒ぎを起こしていたから…それがもう一人産まれたとこのタイミングで、世間が知ったらどうなるか…人々はきっと混乱してしまうだろう。)
紫色の目を持つリルネットはそんな状況から…閉じ込められたのだ。
……地下に……。両親によって……。
産まれてから3歳になるまで、地下に閉じ込められて、地下で過ごした。
三つ子の魂百までというが、リルネットの場合、産まれた時からの記憶が鮮明にある者は、より心に深い傷を残しているのだろう。
リルネットを膝の上に乗せて、リルネットにぴったりと寄り添っていたネイクは、リルネットを後ろから覗き見る。
ネイクの視線に気がついたリルネットは、またいつものように美しく笑うのであった。
─第6話に熱く続く
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