主様...!!お控えなさいませ。それ以上はいけません。
辺りが暗闇に包まれている。
新しい離宮の一室での出来事。
リルネットとネイクの共通の部屋のソファーに、ネイクの膝の上に座っているリルネット。
甘酸っぱい果物と温かな飲み物を飲んで、情報過多で頭が混乱していたが、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
いやいや、、今日久しぶりに再開した男性の膝の上に座り果物を食べさせてもらっているという変な状況ではあるが、、。
ネイクが、リルネットの後ろからネイクの手が届く全ての範囲で頭の先からリルネットの身体を1つの隙間も取りこぼすことなく優しく撫でてくれていた。
見る者によっては、執着的に執拗に舐めてとるように撫でているようで、変態的で恐ろしく感じ取ってしまうであろうが。
リルネットにとっては心地よくいつの間にか意識は夢の中へと、誘われた。
眠りと現実の狭間で、温かで柔らかなものが、リルネットの額に何度か触れていた。
濃い紫色の目が、リルネットの、白い肌に少し桃色がかっている愛らしい頬ををジッと見つめていたが、やがてソロソロとソファーにリルネットを横たわらせた。
そしてまた、リルネットの流れるような黒髪をゆっくりと撫で、額に再度口づけをした。
「愛しいリルネット。」
自然と笑みが溢れ出る。3年もの間、この愛しいリルネットと離れて過ごしていたのだ。
何度かリルネットから手紙が届き、ネイクはその度に嬉しさと共に恋しさや寂しさなどの感情とにさいなまれた。
感情のままに、魔力が漏れ出てしまい、幾つかの建物が半壊してしまったりということがあった。
手紙の返事を何日間もかけてリルネットへの募る想いを綴った。
国王達からの、国の今後を左右するような重要な依頼等よりもリルネットへの手紙の返事の方がネイクに取っては何百倍も大切であった……。
リルネットからの手紙が届くといつもは冷静沈着なネイクが、グダグダになってしまい、国の今後を左右する幾つかの依頼が滞ってしまった為、国王からリルネットへの手紙の返事を書くことは禁止されてしまった。
リルネットからの手紙も届かなくなっていた。
その時の絶望感といったら計り知れないものであった。スカノア大帝国を滅亡させても足りないくらいには……
国王が譲渡してくれ、(このまま対応しなければ国の甚大な損害に繋がっていただろう。)メイビス公爵にも許しを得て、リルネットの持ち物やリルネットの訪れる場所にネイクが開発した魔方陣を取り付け、魔方陣によりネイクからはリルネットの姿、声、温もりが認識することが出来たのであった。
そのような国王の対処が功をなし、ネイクの天才的な幾多の魔方陣により、勃発するであったろう戦争をすることなく、また穏便に隣国エステリア王国が、スカノア大帝国に吸収、合併することが出来たのであった。
ネイクの天才的で変態的な魔方陣はリルネットの小指に嵌められた指輪にも組み込まれていた。
この指輪の宝石は、ネイクがメイビス領にいる時に、リルネットの持つ宝石と交換したネイクの瞳の色によく似た濃い紫色の宝石だ
この指輪のお陰で、ネイクはリルネットの声や温もりを常に感じることか出来たのだ。
先程、リルネットを舐め回すように触っていた時に、指輪の魔方陣を解除し新たな魔方陣を指輪に組み込んでおいた。
「今日1日は色々と詰め込んで、疲れさせてごめんね。これからは、ゆっくりじっくりと慈しみ愛していくね……。」
そっと、白くて細い柔かなリルネットのてに口づけをする。
パチパチと暖炉の炎の音がしている。
再度、ネイクは形のよい唇をリルネットの額に近づける。軽く口づけをしてその合間にリルネットの心地のよい匂いを嗅いでみる。
長い睫毛の生えた瞼をゆっくりと閉じ、リルネットの匂いを嗅いだネイクは魂が心地よくなっていくのを感じた。
「(さて……このままドレスで寝てしまってはリルネットが心地良く眠ることが出来ない。
それはなんとも非常にかわいそうだ。そして僕もリルネットが心地よい眠りにつけれないのは非常に嫌だ。
フム……仕方がない。着替えさせてあげなくては)」
ネイクの細くて長い指がスルリとリルネットの鎖骨辺りに、触れるか触れないかそんなタイミングであった。
コンコンと扉がノックされ、ネイクに許可を得ることなく、扉がバタンと勢いよく開いた。
部屋の入り口には、赤獅子が如く真っ赤な髪と真っ赤な目のリルネットの専属侍女ルイジアがいた。
「主様...!!お控えなさいませ。それ以上はいけません。」
そんなルイジアをチラリと横目で捕らえるが、すぐにリルネットの方を向き、熱くも甘い眼差しで見つめながら、リルネットの心地よい眠りのためにこの美しいドレスを脱がせてあげなくては駄目ではないかと確固たる信念をもって遂行しているのに、なんだこいつは…という様にルイジアを一瞥したが、ルイジアは間髪いれずに「(この変態執着殿下めが)」
赤獅子はすごい勢いでリルネットの傍に駆け寄りネイクを部屋の外にへと追いやった。
さすがは、数々の隠密部隊を抱えているシャイルネンド公爵の娘ルイジアである。
岩をも砕く腕力と相手を操作する話術を持ってして、なんとか帝国で何年かに一人と言われる逸材、大帝国の宝といわれるネイクをを部屋の外に追い出すことができた。
ルイジアは美しいお嬢様をお守りすることが出来たのだ。
パタンと扉を閉め、手際よくこの愛らしくもかわいそうなお嬢様。
大蛇なような我が君主に愛されてしまったリルネットを丁重に労りながら、手早く湯浴みをし寝間着を着せて、寝心地の良い大きなベッドに横たわらせた。
「お嬢様。お休みなさい。
お嬢様の将来が幸せで満ち満ちたものとなられる事をルイジアは祈っております。」
─次の日─
柔かなレースのカーテンから日差しが差し込み。外からは小鳥のさえずりが聞こえてくる。
昨日の全ての出来事が、リルネットには、にわかに信じられないことばかりであったが、それでもいつものように朝は来るのだ。
フカフカのベッドで、んーと背伸びをする。
まだ、疲れが取れていないのか、ぼんやりした頭でゆっくりと目を開けたリルネットだったが、寝ぼけた頭に、急に銀髪の美しいネイクが目に飛び込んできた為、目をこれでもかという程、見開くリルネットであった。
─第3話に─ 熱く続く




