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紫目のネイクとリルネット  ~変態王弟殿下は隅々までねっとりと甘やかに愛したい~  作者: 鳳雷石 貴紬桃


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外堀を全て埋められた突然のプロポーズ。

領地から1週間かけて王都に到着しようとしていた馬車が一台。

馬車の中には少女と、少女の専属侍女が乗っている。少女の名はリルネット・メイビス。メイビス公爵家の長女である。


漆黒の長い艶のある髪に、どこまでも透けるような白い肌。少しピンクがかった紫色の瞳を持つ少女だ。

そっと左手の小指にはめられた綺麗な紫色の指輪を触り心を落ち着かせる。

そんなリルネットを優しく見ていたのは、真っ赤な髪と真っ赤な目を持つ侍女のルイジアであった。

ルイジアは、この道中リルネットに「この先、少々驚くこともあると思いますが、お嬢様の将来は幸せで満ち満ちたものとなられるででしょう。(幸せになられる…なられることを願っております。あの美しくも蛇のようなお方に見初められてしまったお嬢様…。)」とルイジアはリルネットの手を両手で包み込み、心までも包み込むような優しげな声で声をかけてくれる。

幸せを願い、何故だか少し憐れまれているようなそんな眼差しをリルネットに向けてくれるのだ。

リルネットの心を落ち着かせてくれる為か、はたまたルイジアの心を落ち着かせるためかは、わからないが声を掛けてくれるのだった。


-スカノア大帝国王立魔法学園-

歴史ある帝国随一の魔法学園である。リルネットはそんなスカノア大帝国王立魔法学園に来週から入学する事ととなっている。

幼少期から、魔方陣と薬学には、国内見渡しても指折りの優秀な教師に教えを仰ぎ熱心に学んできた。

毎日毎日様々な蔵書を貪り読み、幾つもの魔法陣をただひたすらに描き、様々な薬草を様々な技法で数々の薬効のある薬を作り出していた。

特に、ここ3年は何かに取り憑かれるようにただひたすらに没頭していたのであった。

学園で学べるとなると、全てにおいて領地とは比べ物にないであろう。

書物でしか、知らない薬草なども扱うことができるであろう。それらを考えると、普段は感情を表に出さないリルネットもワクワクとしていた。

やがて馬車は、活気があり洗練された王都から王城へと進んで行った。

王城に行くのは、国王の側近をしている双子の兄(2番目の兄)に会うためである。

双子の兄(3番目の兄)は、旧小国エステリア王国。現在はここスカノア大帝国に吸収された領土に、現国王の双子の弟殿下と共に過ごしている。

メイビス家の長男は、公爵領で両親と領地の経営している。

普段は領地にいる両親だが、リルネットが学園に入学するため、学園の手続き等で、リルネットより先に王都に到着している。

王城の門番から、通行の許可が出て、門から王城まで敷地内を馬車で進んでいく。

王城には本宮、離宮などがあり、リルネットが5年以上前に来た時と違い新しい建物が増えていたりした。

リルネットの領地。メイビス公爵領も、豊かな領地で、公爵の屋敷もそれなりに立派なものではあったが王城と比べると、きらびやかさがだんぜんと違っていた。

王城の敷地内は大きな噴水や綺麗な花々。

特に濃い紫色や様々な紫の花々が、両端に咲き乱れていた。草花が好きなリルネットは思わずホウッとため息をもらした。

とっさに小指の指輪をそっと触る。

濃い色合いの紫の花々を眺めているとふと1人の少年を思い出す。

リルネットが7歳から5年ほど一緒に公爵領で過ごした現国王の弟ネイク・アルビスである。

中性的な印象の整った顔立ちをしていた濃い紫色の目を持つネイク。

この世界では魔力量の高い者の中に至極稀に、金色の目と紫色の目を持つものがいる。

どちらの目を持つ者も、どの面においても優れているのだが、金色の目を持つものは、どちらかというと身体面がより優れ、紫色の目を持つものは頭脳がより優れている者が多かった。

3年前のある日突然ネイクが、王城に戻ることになり別れ際に、すべての事が終わったら、必ずリルネットをお嫁さんにするね、と言い、王城に戻って行った。

ネイクが王城に戻ってからというもの、リルネットがネイクにいくら手紙を送っても1度も返事もなかった。それでも何通か手紙を書いていたが、とうとう父親から手紙は書かないようにと注意された。

手紙を書くことも出来ず、あちらからも当然、何も音沙汰なく、年月だけが過ぎ去っていった。

ネイクの事は、とても深いところで惹かれ合う気持ちというのは持っていたのだと思う。

今でこそリルネットは魔方陣と薬草についての知識を学んでいるが、ネイクに出会うまでは、リルネットは魔方陣の天才と周囲から評価されていた。リルネットもそうなのだろうと思っていた。

しかし、その思いを木っ端微塵にするほどネイクの魔方陣に対してのそれは素晴らしいものであった。正確に素早く、誰も思いつかないような天才的な煌めき。

その煌めきを魔方陣の方式に沿って次々と反映していく。

ネイクは魔法陣と剣術に長けていた。キラキラの銀色の髪のネイクが剣術稽古をしているのを見つけると目が離せなかった。

紫色の花を見ていると、そんな昔のことがふと思い出されていた。

3年前のたった一言の別れ際の挨拶。その後何も音沙汰がなかった。

リルネットはメイクを心の奥底で待ち求めながらも、ネイクへの思いをきれいな箱の中に閉じ込めて、心の奥底にしまいこんでいた。

その感情が、この花々を見ていると、ふっと思い出されたのである。

本宮に到着し、馬車から降り従者に応接室へと案内される。

双子の兄の1人が現国王の側近をしている。父も前王妃とは縁のある血筋ということもあり、王城に顔を出すように両親から言われていた。

入り口からもしばらく歩き、きらびやかな扉の前で従者が立ち止まり、リルネットが到着したことを伝え扉が開かれる。

部屋の中に入ると、一瞬リルネットは驚いてしまったが、驚きを少しも感じさせないような優雅なお辞儀で部屋にいる王族に挨拶をした。

しかし心の中は何事かと少しざわついていた。少し軽い気持ち?で挨拶に来ただけだったのだが、思いもよらずそうそうたる顔ぶれの一同がこの部屋に集まっている。

リルネットの父や母。双子の兄の1人。そこに現国王陛下。現国王陛下の婚約者。前国王陛下。前王妃。

そして先ほど紫色の花を見た瞬間に思い出された王弟殿下。ネイクがそこにいた。

肩ぐらいまでの銀髪。精巧な人形のような顔かたち。とんでもない色気が漂っているネイクがそこにいた。どこからかブワッッ。キラキラと効果音が聞こえてくるかのようだ。

3年前の彼はもう少し中性的なものであったが、3年の歳月は、彼を少年から少し男性へと変えていた。蛹から蝶に変わるというが、蛹の時から美しさの化身であったが、今では美しさだけでは表されないものがあった。そしてまた更に輝きが増していくのであろう。この時点でも美しさの狂気が感じられる程だ。

ネイクの色香に当てられたのかリルネットの過去の仄かな想いが…、綺麗な箱に綺麗なリボンをかけ心の奥底に仕舞い込んでいたリルネットのネイクに対する思いが急に甦えり、リルネットの心臓はぴょぴょんと飛び跳ねていた。

リルネットは表情にはそれらを一切出さず、ただ正式な挨拶をし、深々と完璧なお辞儀をしていた。国王から許しが出るまでお辞儀し続けていたのだが、国王から少し焦った声で「もう少しお待ちなさい」と誰かを咎めているのであろうか?国王の威厳のある低い声がかすかに聞こえた。

リルネットの真正面から花の良い匂いが漂ってきた。国王から許しが出たので、リルネットは頭を上げると、そこには大きな花束が突然目に飛び込んできた。

様々な種類の花の色は、全て紫色であった。大きな花束の向こうにネイクが熱く甘い眼差しで、こう言った。

「私の一生を通してあなただけです。リルネット私と結婚してください。」

……………。

何の前置きもなく、唐突な甘い告白を受けリルネットは、瞬時に体中が赤くなり何の言葉も発することができず、ただ呆然としてしまうのであった。リルネットの他のものも皆、一瞬あっけに取られるというか、その場はしんと静まり返り呆然としていたのだが、国王の一声で、ハッと我に返ったのであった。

傍に控えていた従者が大きな花束を受け取り、何事もなかったかのように、皆が金の細工が施された赤い重厚な椅子に、それぞれ着席をした。

国王が自らを正すかのように、コホンと咳払いをした後、話を始めた。

「先程は突然のことで驚いたと思うが、我が弟と結婚してくれないだろうか。」

国王の声色は、威圧ある中にも、優しさが含まれていた。国王からそのように尋ねられるが、これは質問でなく命令であろう。こちらの返答等あってないものである。それは周りの面々を見れば明白である。短く、さっと周りを見渡すと、リルネットの母がニコニコしていて、少し目が潤んでいる。

「慎んでお受けいたします。」「そうか、我が弟を生涯よろしく頼む。」

気がつくと、いつのまにか隣に座っていたネイクに、そっと手を握られる。ネイクがニコリと微笑み。首を少し傾けると左の耳にきれいなピアスがキラリと揺れる。

そこからは、国王やその場にいた様々な人たちから今後の説明を受けた。

まず、1週間後に通うことになっている学園だがリルネットは、てっきり、いや当然だが、1年生から通学するつもりであったが、今年度から学園は飛び級制度を取り入れることとなったとのことで、リルネットは、入学試験が首席で大変優秀な成績だったため、飛び級にふさわしい人材ということで2年の学年からとなったようだ。

つまりは、ネイクと同じ学年だ。

通学についても、公爵領から王都の学園まで遠いため、最初から領地からの通いでなく双子の兄が住んでいる屋敷から通うつもりであったが、王城内に新しく建築した離宮があるため、そこから通うようになるとの事だ。

いろいろな重大な事柄が矢継ぎ早に告げられ、そのすべてが決定事項であるため、リルネットはすべての言葉ににこやかに頷くしかなかったのであった。

そこから程なくして、小規模な晩餐会があった。リルネットの父は「色々と事情があり、全て今日になってしまって申し訳なかった」父と母は娘の幸せを誰よりも心から願っている。短い言葉掛けであったが、両親の思いはしっかりと受け取れた。

何か事情があったのだ。

双子の兄メイビスからも励ましの声がかけられたり、前国王陛下からも恐れ多くも謝罪があった。リルネットにとって大事な事が突然このように急ぎ足になって申し訳ない。ネイクにも色々負担をかけてしまったが全ては整ったのだ。どうかネイクの申し出を受け入れてほしい。しかしネイクがリルネットに危害を加えるようなことをするのであれば、この話は全て取り消してもらってもいい。」

前国王陛下は、リルネットの幸せを願うような優しげな口調で話しじっとリルネットの紫色の目をみつめた。

晩餐会の間中ずっとリルネットの傍で手を握り、ネイクは微笑む。

「リルネット、この3年間ずっと会いたかったよ。手紙、渡せなくてごめんね。」

リルネットはコクンと頷いた。

「(リルネットをいつも見ていたけれど、やはり実物はその数倍も美しく私に幸せをもたらすね。)」ネイクの温かで華奢なようでガッシリとした手が少しふるふるとと震えてた。

最後のほうは小声だったのかあまり聞き取れなかったが、ネイクの熱くも、甘い思いは受け取れた。

いろいろな言葉掛けや、様々な事柄を一気に話され、リルネットはこの数時間、緊張や気持ちがついていけれない感情の中で過ごしていた。

ネイクがそんなリルネットを気遣ってくれたのか晩餐会を切り上げ、リルネットが過ごす離宮へと案内してくれた……

王城に来る途中に、馬車から覗いた新しい建物は、どうやらリルネットが過ごすための離宮だったらしい。

ネイクからリルネットの部屋を案内された。

それだけだったと思ったのであったが…。

何故今このような状況にあるのだろうか?

滑らかな肌触りの良いソファーの上に座っているつもりが、いつの間にかネイクの華奢なようにみえて、男性を感じさせるがっしりとした胸に持たれながら、膝の上に座り甘酸っぱい果物をネイクに食べさせてもらっているのはなぜだろう?

ネイクがリルネットを後ろから包み込み、果物を食べさせ、合間にリルネットの小指の指輪を丁寧に人差し指でなぞる。

リルネットは自分の後頭部を、ネイクがスーハーと嗅いでいるのを気付かないほどには、今日の一連の出来事はリルネットの体と心を疲れさせるには十分な出来事であった。


                                          -第2話に-熱く続く






お読み頂きありがとうございます!

これからどんどん変態的に甘く書いていきたいと思います。

ブックマーク、評価、リアクション頂くと嬉しいです。更にパワーアップすると思います(変態が?) 


どうぞよろしくお願いします!


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